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第一章 辺境の町
第189話 始動
しおりを挟む新たに短剣も手に入れた。
今回稼いだパーティー費用は全額私の武器に使っていいとリノが言ってくれたので、一部に魔鉄が入って強化された短剣を1000シクルで買うことにした。
せっかくだし少しでも良いものが欲しかったので、足りない分は自分の資金を足して支払ったよ。
これでも武器としては初心者レベルの安物だってブルボさんに言われちゃったけど、今まで使っていた100シクルの万能ナイフに比べれば、私にとっては超高級な品なんですけど。
刃の部分が全て魔鉄製の場合は5000シクルから手に入るらしく、強度も切れ味も段違いみたいなので、いつかは欲しいな。
でも初めて新品の武器を手に入れられて満足している。これで『短剣術』スキル、早くとれるといいんだけど。
リノも予備の短剣を一本、全財産を叩いて買っていた。前衛職だし、刃が折れたり切れ味が鈍ったりといった急なアクシデントがあることも考慮して、最低でも二本は持っていた方が安心だからといって……。
ブルボさんが彼女が買える金額の中で一番品質のいいものを探し出してきてくれて、650シクルとお得に買う事ができたんだ。
これは中古品だったけど、私のと同じで少量の魔鉄で強化した短剣だった。
耐久値は新品よりは落ちるらしいけど、性能的にはほとんど差がないよと太鼓判を押してくれて、更に値引きして売ってくれたんだよね。ブルボさん、ありがとう!
これでようやく、明日からの新パーティー始動に向けて武器の準備も整った。
◇ ◇ ◇
そうして迎えた三日目、ジニアの村には目立った問題は起きてなかったとギルドの受付で伝言を受けていたので、ラグナードとは予定通り開門時間に北門前で会うことが出来た。
――今日はいよいよ三人で、北の森の中奥に入る予定。
私達の実力では二次災害になる可能性が高く、怖くて行けなかったから初めて足を踏み入れる事になる。
迷いの魔樹以外にも、まだ対峙した事のない強い魔物がいっぱいいるというし、ちょっと緊張してきたっ。
「……お前らさえ良ければ、まずは10km程街道を行った後に、森の中奥より手前付近まで入ろう。その辺りでパーティー戦をして慣らしながら巨木群辺りまで進んでから、奥へと行くのはどうだ?」
と、提案された。
北門近くは、冒険者の他にも木こりや猟師もいて手は足りてるはずだから、少し遠くの狩場に行こうって言われたんだ。
巨木群近くならよく通っていたし、他より馴染みがある。その事はラグナードも知っているから、きっと私達の為にと考えて選んでくれたんだろう。
いきなり森の奥へ行くには彼と一緒でも怖かったので、とってもうれしい申し出だった。
「私達もそれがいいかな。道中、大きめの魔素溜まりがあれば『浄化』して進むんだよね」
「そうなるな。指示はその都度だすから」
「分かりました、頑張りますっ」
「うん。まあ、張り切りすぎないようにな。じゃあ、出発しようか!」
「「了解!!」」
――こうして、三人での初パーティー戦が始動した。
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