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第一章 辺境の町
第4話 生き抜くために……
しおりを挟む『異世界知識』と『種族エルフ』を選んだ残りの24ポイントで取れたスキルは14個。
……一応、これは夢だと思うけど現実だったらと考えてみて、遊ばず堅実に取ったつもり。
エルフの得意な魔法を強化して、体力、筋力不足を補う感じで。こう、無人島でサバイバルも出来るぜ的な?
異世界知識からするとメチャクチャ広い大陸みたいだし、どこに飛ばされるか説明なかったし、町の近くに落としてくれるとも限らないし、移動するのも大変そうだし?
なんか、めちゃめちゃ不安になってきたな……。
――よし、『幸運lv1』にめっちゃ期待しとこう!
なんたってただの運じゃなくて『幸運』だよ! 信じてる!
本当は時空間魔法も取りたかったんだけど、ポイント足りなくて泣く泣く諦めた。
四属性魔法以外の魔法はちょっとお高いんだよね、基礎ポイントが。それでも魔法が苦手な種族よりお得にとれるらしいけど。
『聖魔法』は絶対、取りたかったし。怪我とか病気とかが怖いから。『異世界知識』によれば、薬草やポーション等はあるし医師なんかもいるみたいだけど治療費共々、とってもお高いらしいからね。すぐ必要になりそうじゃない?
だから、時空間魔法じゃなくて聖魔法の方を選んだんだけど……正解であってほしい。
しかし私のポイント数でこのスキル構成ってどうなの? スキル数だけみれば14個でいっぱいあるように見えるけれど、レベルは高くないしほぼ魔法特化だし。
やっぱり身を守るために、武術系も1個ぐらい取っとくべきだったか? でもなぁ、武器が初期装備にあるかどうかも分かんないし……その点魔法なら装備とかなくとも身一つで大丈夫そうじゃない?
――そういえば、アイテムボックスとかスキルコピーとか経験値倍増系とかのチートっぽいやつ、スキル一覧に無かったよね。あったら欲しかった。
正直なところ、これが最適かどうか分からないけど、いっぱい考えて決めたことだから、正解だったらうれしい……とかなんとか考えているうちに、だんだん眠くなってきちゃったんですけど……。
だって最初に一言しゃべったきり天の声さん?もなんにも言わないし? 他に人もいるらしいけど相変わらず周りは真っ白で見えないし気配さえ感じないから。
だけど、そもそもたぶんこれはきっと夢だから、眠くて当たり前だよね!
ってことで素直に欲求に従うことにした。
さ、寝よ寝よ、おやすみなさい……。
◇ ◇ ◇
――というような事があった。
そうだよ、なんで忘れてたんだろ? 段々思い出してきたよ、自分のこと以外。
……あの夢っぽいもの、どうにかクーリングオフ出来ないかな。
まあ、訴える先が何処にっていうか、誰にっていうのさえ分かってない状況だけれども!
何でこんなのになってここにいるのかだけでも、誰か説明を! 天の声さんでも誰でもいいですから、説明プリ~ズ!!
……。
返事がない。
…………。
返事ぐらいしてくれないと、私が虚空に向かってブツブツと独り言ってる変な人っぽくなっちゃうんですけど~!?
………………。
ハイハイ分かりましたよ、もう。
答えてくれる気はないってことね。
そうだろうと思った……ワカッテタモン。
天の声のサポートはなさそうだし、とにかく考えなくっちゃ。
今、頬を撫でる涼やかな風や濃厚な森の匂い、目に前にある木の優しい肌触りなどの五感で感じられるこの状態、とても夢とは思えない。
さっき、色々と現状確認していた時に、ふと触れた耳は少し長めで尖ってたし、鏡が無いから詳しい変化は確かめられないけれど、たぶん外見はエルフになっちゃってるんだと思う。
ここに来てからどれぐらい時間がたったのかも分からないし認めたくないけれど……もうたぶん、異世界なんだろうな。
知らない間に飛ばされて来ちゃったんだ。
受け入れられるかどうかは別にしてそれが現実、なんだよね……きっと。
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