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第一章 辺境の町
第174話 お店巡り
しおりを挟む準備ができたので、夢見亭から一番近い魔道具屋さんへとやって来た。
ここでは、魔道具によく使われるものを中心に、直接持ち込んだ方が高く買い取って貰えるものを売る。
スモールボア二体分の魔石と牙、毛皮の他にも、ゴブリンやホブゴブリン等の魔石、聖魔水晶も出したところ、店主のマールさんが快く査定してくれて、ほとんど全部買い取ってくれた。
やっぱり雨上がりに森の中奥にまで入って取ってきただけあって、品質が良かったみたいだね。結構いい値がついたよ。
次に向かったのは薬屋。
ポーションの素材を持ち込んで安く作ってもらう。今日は午前中だけの活動と短かったけど、ラグナードが採取場所を把握してくれていたから割りと集められた方だと思う。
パワーポーションには、延寿の樹の葉と三つ葉草の花、水光茸と魔石の粉が必要なんだけど、三つ葉草の花以外は全て揃えられたからね。
店内には私達だけしかいなくて空いていたので、早速受付でポーションの作成を依頼してみると、了承して貰えた。よかった。
ただ、十人も入ればいっぱいになってしまうような小さな店舗なので、大量に持ち込んだ素材は裏に直接運んで欲しいと頼まれた。了解です。
細い裏道を通って回り込んでみると、お弟子さんが忙しいそうに薬草の仕分けをしながら待機してくれていた。どうやら今日は、納品に来る冒険者も多く受け入れ体制は整っているみたいね。
指示通り、種類別に分けて納めていく。その時品質チェックをされたんだけど、やはり聖魔法で乾燥させた水光茸や発光花はワンランク上の品になっていたようです。
良いものが出来ると凄く喜んでくれて、全て引き取らせて欲しいと言われた。それならと、ポーションに使う以外の薬草も出してみた。量は少ないけど傷止草や酔止草などいいのが採れたので持って来てたんだよね。こっちも即決で買い取りが決まりました。よかった。
たくさん納品したので、引き換えに、私達が作成依頼する予定だったパワーポーションは、手間賃無しで無料で作ってくれることになった。持ち込んだ延寿の樹の葉二十九枚の内、十四枚分はお代に消えたけどね。
残りは十五枚だから約半分になっちゃったけど、それでも安いのでお願いする事にした。
正規品は一度だけラグナードから安く譲って貰って飲んだことがあるんだけど、即効性が売りだから凄くよく効くんだ。
HP・MP回復効果のある下級ポーションって、私とリノには一番欲しい効果だったし。
普段は、薬師のお弟子さん達が作成した劣化品を中心に半額くらいのを安く購入して使っていた。
通常より回復率と回復速度が落ちるけど、ゆっくり時間を掛けて回復していく魔道具よりはずっと早く効くから使い勝手がよかったんだよ。正規品は高くてとても買えなかったからね。
冒険のお供には欠かせない必需品だし、今回のは一本600シクルの正規品が十五本分。それと引き換えになるならいいかなって。
だって本来なら、9000シクルになるんだよっ。日本円にしたら九十万円っ。命が掛かっているとは言え、消耗品にこのお値段……むちゃくちゃお高い!
困った事に、今までの節約生活で貧乏性になっているから何かもったいなく感じちゃう……。でも命大事に、だからねっ。もうその場で快諾しましたとも!
最後にラグナード行きつけの居酒屋さんにスモールボアのお肉を卸した。ここは前に白チーズ茸を持ち込んだお店だね。
一番いい部位を持って来たので店主さんからは高評価だったよ。いい笑顔で買い取ってくれた。よかった。
「さて、これで一通り売り終わったな」
「はい、お疲れ様でした。じゃあ、これから三人で打ち上げをしませんか? もうお腹ペコペコですっ」
「確かにお腹空いたねぇ。食材はいっぱいあるし、宿で料理しようか。ラグナードもそれでいい?」
「ああ、いいよ。じゃあ飲み物でも買っていくか?」
「そうですね。それと甘味も欲しくないですか? この時間ならまだロカの店が開いているかもですよ!」
「おおっ、いいな! ついでに寄っていくかっ」
「うん。あそこのクッキー美味しいもんね」
ふふっ、楽しみだなぁ。
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