気づいたら異世界ライフ、始まっちゃってました!? 

飛鳥井 真理

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第一章 辺境の町

第254話 豊かな恵み

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 そんな事を思いながら走っていたら、先頭にいた彼が停止の合図を出した。

「よし。ここで一旦休憩してから、森の中に入ろう」

「「了解!!」」


 早速、シルエラさん直伝の万能ドリンクを飲む。気力、体力、魔力を効果的に回復する飲み物で、十種類の果物と薬草を使って作るジャムがベースなっている。
 魔法を使って調理することで、素材との相乗効果をもたらし、一段上の味と効能になったもの。
 微かな甘みとまろやかな喉越しの美味しい飲料水で、飲んだ直後からじんわりと活力が沸き上がってくる感じなんだよね。栄養ドリンクの強化版ってとこかな?
 冒険のお伴に最適なので、シルエラさんに教えて貰ってからずっと、三人分作って持ってきているんだ。お世話になってます。

 それと一緒に、魔力と栄養を手早く補給するため、こちらも微量だけど魔力回復効果のあるお手製のドライフルーツや干し肉も食べておいた。

 勿論リノはそれだけだと足りなくて動けなくなる可能性があるので、来る前に早朝から開いている屋台で購入した串焼肉をさっそく広げていた。
 おおっ、走った後にすぐ肉肉しいのを食べれる胃がすごい……結構な重量だけど……大丈夫そうね? 幸せそうな顔で頬張り、何本もきれいに平らげていってるし。
 うんうん、森の中に入ってしまえば落ち着いて飲食なんて出来ないからね、今のうちにお腹を満たしておくといいよ。

 三人とも補給が終わり、自分とリノに支援魔法で『HP回復』と『MP回復』を掛け直しておく。一時間しか効果が持たないので、今日もこまめに掛けていくつもり。

 休息を取っている間にすっかり雨も上がり、雲の切れ間から陽が射してきた。霧雨を浴びてしっとりと濡れてしまった防具や服を、生活魔法の『乾燥』で乾かしてから森の中へと入っていった。






 いつも以上に鬱蒼とした森の中を、魔物に注意しながら慎重に進む。何が見つかるかなぁとワクワクしながら、二人の後について歩いていく。
 希望のものが全て見つかるとうれしいけど、どうかな? あったらいいなぁ。

 まず、入ってすぐに目につくのが、淡い光を放つ水光茸スイコウダケ

 姿形はどこかマッシュルームに似ていて、今日のような雨降りの日に群生して生えてくる。

 水光茸スイコウダケというのは『鑑定』すると……。


【 水光茸スイコウダケ:薬用茸

 効能:HP・MP微量回復効果

 可食:生食不可
    火を通すと美味   
    乾燥させたものにはHP・MP微量回復効果が付くので
    ポーションにも使う

 採取:季節を問わず雨の翌日のみ群生するが、一日で消滅する
    林や森の生木に生える 】


 となってて、下級ポーションの原材料となる茸のこと。

 今回は、私達がいつも使用しているパワーポーションの素材を主に集めに来たんだけど、作成には延寿の木の葉、三つ葉草の花、水光茸、魔石の四つが必要らしいので、欲しかった素材の一つではある。

 それに水光茸は、ポーションほどの即効性はなくとも、干したものを食べるだけでHP・MPが微弱回復していくという効果があるのも魅力的だよね。
 熱を加えても効き目が落ちない為、料理やお茶にと手軽に使える利便性の高い薬用茸だから自分達用のもいっぱい欲しい!

 まぁ、あちこちの樹の幹にびっしりと群生しているから、今日中なら取り放題なんだけどさ。でもこれだけの量があるのに、一日で全部跡形もなく消えてしまうっていうんだから本当、不思議な茸だよね。

 条件が揃えば年中採れる為、冒険者ギルドでも通年依頼が出ていて、乾燥させてから売ると二倍の価格で買取してくれるという、冒険者としてもお得な常設依頼なので、出来るだけたくさん採りたい。

「まだ来たばかりだっかだし、嵩張って荷物になるからな。今採取するのはやめとこう」

「そうですね。森の中なら探さないでもいいくらい、何処にでもありますもんね」

「うん、分かったよ」

 と言うわけで、 水光茸スイコウダケは帰る前に採取することにした。




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