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第一章 辺境の町
第95話 ようやく本物の!?
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「スライム講習会」は正午からの開始なのでまだ時間があるし、午前中は一度、本屋さんに行ってみようか。
エルフの得意な魔法のレベルが全然上がらないから、それをなんとか強化したい……自己流じゃ無理そうだしね。
連日の迷いの魔樹討伐で得た資金を持って、この町に一軒だけある本屋へと向かう。メイン通りに店を構えており、冒険者ギルドからも近いので前から場所だけは知っていた。
ただ、店内が外から見えない造りになっていて、お金がない内はお店の中に入るには敷居が高かったんだよね。異世界の本屋さんってどうなっているんだろう?
ドキドキしながら魔法陣が刻印されたドアを開けて店内に入ると……。
中は明るくて二十平米ほどあり、想像していたよりも広い店内には、多くの書籍がきれいに陳列されていた。
基本的に主要都市以外の本屋と言えば古本屋さんらしいけど、このお店もそうなのかな?
そして……。
ここで店番をしていたのは……ひとりのエルフの女性だった。
ほ、本物のエルフですよ、皆さん! 大好きな本物の生エルフを生で見れるなんてっ、あぁ生きてて良かった!!
ファンタジー世界の生き物がちゃんと生きてて、目の前で動いてるんだよっ。あっ、こっち見てくれた!
うわぁ、やっぱり本物は言葉にならないほど神々しいですっ、年齢不詳の美麗さだよ!!
はわわっ、今の私、目深にフードを被ってるから、不審人物っぽく見えちゃわない!? え~い、もう外套取っちゃえっ、ついでにスカーフも!
「お、おはようございましゅっ」
「あらあら、この街で同族を見るなんて久しぶりね。会えて嬉しいわ、いらっしゃいお嬢さん」
店先でパタパタと身支度を整えて噛みながら挨拶する私に、ニコニコしながら挨拶を返してくれた。
「はい、お邪魔しますっ。あ、私ローザと言います。今日はよろしくお願いします!」
「くすくすっ、これはどうもご丁寧に。私は店主のシルエラと申します。これから贔屓にしてくれると嬉しいわ。今日はどういった本をお探しですか?」
「えっと、魔法書を見たいんですけれども」
「はいはい。それならいろんな種類の在庫がございますよ。どの魔法書をご覧になりますか?」
「とりあえず、基本魔法教本と四属性魔法書、聖属性魔法書、あと支援魔法書があれば見せてほしいんですけど……」
エルフは全ての魔法に適性がある。金額にもよるが可能な限り早目に手に入れておきたいので、まず価格調査をしないと!
「……基本魔法教本に四属性魔法書? ねぇ、失礼だけど貴方……もしかしてとってもお若いんじゃない? おいくつなの?」
「えっ? 十六才ですけど……」
な、何かまずかったかな?
年齢を聞いたシルエラさんの顔が、ち、ちょっと怖くなっちゃったんですけど!?
「十六才!? ってまだまだ子供じゃないの! 基本魔法も使えない成人前の子が人間の町にひとりで来るなんてっ…… 貴方どこから来たの? ま、まさか家出とか!?」
「ち、違います!」
「じゃあどうして? いくら外の世界に興味があっても、普通成人になる八十才までは住んでるところを出ないものよ」
おぅ、それは知らなかった……。
じゃあ私、めちゃくちゃ子供じゃん? エルフの感覚でいくと幼児みたいなもんじゃないのこれ!? そりゃシルエラさんが驚く訳だよ……。
でも本物のエルフなら知ってて当然の情報なんだし……ど、どうしよう!?
こんなに真剣に心配してくれる人に嘘はつきたくないし、異世界から来たことだけ隠して……。
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