79 / 308
第一章 辺境の町
第79話 迷いの魔樹④
しおりを挟むそれから迷いの魔樹をもう二体倒した。
前回の反省を生かして、速攻で火魔法を連打したんだけど、中々上手くいったんじゃないかと思う。
後は魔樹の弱点である、核の部分が魔力探知とか出来たらもっと正確に狙えるんだけどなぁ。う~ん……どうやるんだろ?
巨木群に辿り着いた後、虹色の葉を採り終えたところで太陽が真上に来た。
ここで一旦採取を切り上げる事にする。
途中で自分用に果実も少し取ったので背負子も八割くらい埋まったし、町まで帰るのにここからすぐ街道へ出ようか。午後からは又、東の草原に行かなきゃだし。
虫根コブ草の緊急依頼も当分続く予定だから! それに夕食後はリノと、魔法の特訓する約束もあるしね。
……なんかすっごく忙しいんですけどっ。予定がぎっしりじゃないですか!
お金がなくて休みも全然取れないし、異世界まで来て社畜並みに働いてないこれ――!?
それでもこの日は今までで一番の高額買取になったから、頑張った甲斐があったっ。
そのお金で数日分の着替えと、念願の革鎧を手に入れることが出来たしね。ようやく紙装備を卒業したよっ。う、うれしい。
何の付与魔法も付いてなくて、革鎧にしては安物の1500シクルだけど、今までよりはずっと丈夫だし、前に買った鎧下を重ねて着れば、より防御力が上がるっていうからいいんだっ。
革鎧を買うついでに、鍛冶屋のブルボさんにゴブリンの持ってたロングソードを視てもらったところ、少し研ぎ直せば十分使えるとの事でその場で手入れをしてくれた。
剣術スキルは持ってないからどこまで扱えるか分からない。でも、今までは身を守る武器が万能ナイフだけだったから、持っているだけでも安心感があっていい。
ちょうど合う鞘とベルトも見繕ってくれて、こっちは革鎧を買ってくれたおまけだと無料にしてくれたよ、ありがとうブルボさん! お金がないからすっごく助かるよ!
◇ ◇ ◇
夕食後は、リノと魔法の練習。
あれから、食べなきゃ動けない倒れちゃうっていう症状が一日しか経ってないのに少し緩和された気がするって言ってくれた。
昨日渡したMP微量回復効果つきのウルルの実のドライフルーツを、一度に食べ切らないで、少しずつ時間をおいて食べてみるように言った事を守ってくれたみたい。
食欲は変わらないけど、我慢できないような飢餓感が少し減ったみたいで、こんなこと今までなかったってすっごく喜んでくれた。
なので、今日も一番効果があるらしい聖魔法で『治療』して、念のため支援魔法も重ね掛けしてから練習をしてみることに……。
最初にするのは、魔力が少なすぎてちょっとしか出来なかったという、魔力操作。
私のやり方を教えて、二人でやってみる。リノがやってた方法も教えて貰って、どっちがやり易いか試してみたり。う~ん、人に教えるのって難しいや。
そうして色々試行錯誤している内に、彼女の魔力が底をついたので終了することにした。
最後に体調を確認したところ、なんだか体が軽くなったって言う感じにとどまったんだけど、何かしらは出来たっぽいのかな、これ?
一緒にパーティーを組んで冒険したいねって事も話してて、せめて途中で倒れないようにするのが当面の目標。まだ時間はかかりそう。
短剣を手に入れるまでには、何とかなってるといいけど。
リノもお金を貯めるのに苦労しているみたい。そうだよね、駆け出しの冒険者は大変なんだよ。
町中の仕事は安全な分、やっぱり依頼料は安いみたいで宿代と食費で精一杯らしい。
宿泊している宿はお風呂代が別料金で節約のため入れないというので、聖魔法の『浄化』で全身きれいにしてあげたら、すっごく喜んでくれた。良かった。
短剣を手に入れられたら一緒に北の森に行こうねと約束をして、その日は帰っていった。
10
お気に入りに追加
922
あなたにおすすめの小説
転移ですか!? どうせなら、便利に楽させて! ~役立ち少女の異世界ライフ~
ままるり
ファンタジー
女子高生、美咲瑠璃(みさきるり)は、気がつくと泉の前にたたずんでいた。
あれ? 朝学校に行こうって玄関を出たはずなのに……。
現れた女神は言う。
「あなたは、異世界に飛んできました」
……え? 帰してください。私、勇者とか聖女とか興味ないですから……。
帰還の方法がないことを知り、女神に願う。
……分かりました。私はこの世界で生きていきます。
でも、戦いたくないからチカラとかいらない。
『どうせなら便利に楽させて!』
実はチートな自称普通の少女が、周りを幸せに、いや、巻き込みながら成長していく冒険ストーリー。
便利に生きるためなら自重しない。
令嬢の想いも、王女のわがままも、剣と魔法と、現代知識で無自覚に解決!!
「あなたのお役に立てましたか?」
「そうですわね。……でも、あなたやり過ぎですわ……」
※R15は保険です。
※小説家になろう様、カクヨム様でも連載しております。
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【転生先が四天王の中でも最弱!の息子とか聞いてない】ハズレ転生先かと思いきや世界で唯一の氷魔法使いだった俺・・・いっちょ頑張ってみますか
他仲 波瑠都
ファンタジー
古の大戦で連合軍を勝利に導いた四人の英雄《導勝の四英傑》の末裔の息子に転生した天道明道改めマルス・エルバイス
しかし彼の転生先はなんと”四天王の中でも最弱!!”と名高いエルバイス家であった。
異世界に来てまで馬鹿にされ続ける人生はまっぴらだ、とマルスは転生特典《絶剣・グランデル》を駆使して最強を目指そうと意気込むが、そんな彼を他所にどうやら様々な思惑が入り乱れ世界は終末へと向かっているようで・・・。
絶剣の刃が煌めく時、天は哭き、地は震える。悠久の時を経て遂に解かれる悪神らの封印、世界が向かうのは新たな時代かそれとも終焉か────
ぜひ読んでみてください!
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
転生王女は現代知識で無双する
紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。
突然異世界に転生してしまった。
定番になった異世界転生のお話。
仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。
見た目は子供、頭脳は大人。
現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。
魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。
伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。
読んでくれる皆さまに心から感謝です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる