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第一章 辺境の町
第54話 何だなんだ!?
しおりを挟む虫根コブ草は、冒険者ギルドからもらった採取一覧表によれば、大きさによっては一コブ銅貨一枚以上と、かなりお高く買い取ってくれるらしい。
一株から一度に最低でも三十個は取れるみたいだから、見つけられればかなりお得。
だって、十コブがゴブリン一体分の価格だよ?
今、掘り出せたのが三十四コブだから一株でゴブリン三体分かぁ……。
安全だしこっちで採取すべき?
『鑑定』があるから場所の特定も容易に出来るし、それに北の森よりずっとか近いし。
ただ、他の冒険者が怖いというかねぇ。私、弱いし。
身の安全のために避けまくってるせいもあって、ラグナード以外の冒険者にはまだまともに会ったことないから何とも言えないんだけど。そのラグナードもこの町に来てから一度も会ってないんけどさ。
採取中心だとそこまで強い冒険者はいないと思うけど、用心のために毎日通うのはちょっと保留しとこう。
根のコブひとつを残し埋め戻しして、採取したことがばれないように隠しておく。魔法を使って軽く隠蔽作業をすると、草原の草に紛れてどこだか分からないまでになった。本当、魔法って便利だよね!
また一ヶ月後には採れるまでに成長するらしいから、こういうの大切だよね? 『マップ作成』にマークしておいたから迷わず来れるし。
まだまだあるけど、ギルドが混んで来る日没より前に帰りたいから、あと一ヶ所だけ掘ってやめとこうと思う。
ふふっ、東の草原に来てよかった。
魔物にも一度も出会わなくて安全だったし、短時間だけなら今日のようにこっそり通うのもいいかもね。
条件のいいレアな薬草を見つけられてたくさん採取も出来たので、いい気分で町に向かって街道を歩いてたんだけど……。
――アレは何?
道の真ん中に、なんか変なボロ布……のようなものが落ちてるんですけど……う~ん?
……ま、まさかこれって……人!?
し、死んでないよね?
えっ、動いてないんだけど……あれって、生きてるの!?
ど、どうしよう?
「……うっ……ぅ」
あ、生きてた。ちょっとモゾッって動いた。
……しょうがない。
異世界的には見捨てるのが常識なんだろうけど、目の前で生きてるらしい人を放っておくなんて、そんなこと……やっぱり出来ないよね。
……助けるか。
頼むからいきなり襲ってこないでよ。
「だ、大丈夫、ですか?」
とりあえず、少し離れたとこから声をかけてみた。
「お、おぉ……た……」
「ん? おおた?」
え? なんて? よく聞き取れなかった。
今「おおた」って言った……?
「ぉ、おなか、すぃ……た……」
――パタリ。
「……えええぇぇっ!?」
力尽きた!?
なになにお腹すいてるだけだったの、この子? 慌てて駆け寄って、そっと手を伸ばすと……。
ガシッと腕を捕まれた!!
――ひぃっ、演技だったの~!?
お、追い剥ぎっ? だ、誰か、……騙され……。
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