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第二章 シークレットステージ

第81話 改良を重ねる

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 研究意欲を刺激された職人たちは活発に意見交換を行い、短期間で様々な改良点を見つけ出していく。

 通信距離を伸ばす方法も見つかった。 

 その方法とは、これまでとは違う魔石の組み合わせ方のことある。



 この世界の魔石は、内包魔力が高いほど色が濃い。

 そして魔力が高い魔石ほど、高性能の魔道具が作れると言うのが常識だった。

 なので今まではセオリー通り、色の濃い方の上から順に選んで組み合わせ作っていたのだが、それよりも同じ濃度のものを揃えて使う方が、雑音無くきれいに遠くまで送受信出来るということが分かったのである。

 そして、そこに新しく発明された強化の魔方陣を組み合わせて性能を上げる方法の開発も進んで、安定して付与できるまでになる。

 そうしてついに、念願の量産化が可能になったのだという。


「ただ、改良を重ねた今もまだ、ダンジョンの中と外を繋げられるような万能型の通信器具は、出来上がっていないらしいけどね」

「それでも画期的ですわよね?」

 シリルの話を聞いたヴィヴィアンが尋ねる。

「そうだね。これで、ダンジョン内で行方不明になった冒険者を捜索する手段が一つ増えたことになるし……」

「それはとってもいいことですわ。今まで主な捜索は、人海戦術だけだったと聞いておりましたし」

「うん。順調に普及すれば、救われる命も出てくることでしょう。それに、使い方が簡単なのもいい」

「そうなんですの?」

「ええ、そうなんです」

 使い方は通信したい時に、魔道具に直接触れながら自分の魔力を流すだけでいいのだという。

 それだけで、あらかじめ設定したリンク先に声を届ける事が可能だというので、確かに簡単であるとヴィヴィアン達も思った。



「私達の装着するものに、ピアスやブレスレットなど肌に直接触れるのを選んだのは、これが理由かな」

「ああ、成る程。わざわざ触れなくても使えるようにというのは、使用中だと見て直ぐ分からないようにするためでしたか」

 シリルの説明に、フレデリックが納得したように頷いた。

「そうだね。これなら普通に話しているのと変わらないでしょう? 危険を排除出来ると判断しました」

「さすがシリル様ですわ。よく考えられていますのねぇ」

「ええ、本当に。シリル様とご一緒できてよかったですわ」

 リリアンヌとヴィヴィアン、二人の美少女からの心からの賛辞に、普段はあまり動かない表情を少し緩めたシリル。

 ちょっと嬉しそうだ。




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