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第一章 目覚めた記憶
第72話 一番人気!
しおりを挟む残りの二人、ハロルド様とロイド様は上級生だからここでは会えない。出会いイベントまではおあずけです。
確か、ゲーム開始時点でハロルド様は一つ上の学年にいて、ロイド様は最終学年の五年生だったはず。先輩と後輩の関係もいい……燃えるよね!? うふふっ、待ち遠しいなぁ。
画面越しじゃなくっていよいよ三次元の皆に会えると思うと……はぁ、幸せすぎ。またまた、いっぱいドキドキしてきたっ。
……わたし、今日だけでこんなに心臓酷使してて、これから持つんだろうか……大丈夫?
余計な心配もしながら講堂の中に入っていくと、思った通り中は広くて豪華、まさに乙女ゲームの世界って感じでキラキラしてた。いいねいいねっ。
さて、普通なら大勢の新入生の中から攻略対象のイケメン三人を探すのは大変じゃないのかって思うでしょ。だけど大丈夫、わたしにはゲームの記憶がある。
ヒロインは、偶々、周囲の子達が話していたクリストファー王子達の噂を聞いて興味を持つ。
そして、女生徒達の押さえきれない黄色い声と熱い視線の先を追っていくと、噂の人の後ろ姿を垣間見る事が出来る……というもの。
うん、シナリオ通りちゃんと確認出来たよ。 設定通り見事な銀の髪と緑の髪の人。派手な髪色だなぁ、茶色系の髪色が多いので遠くからでもすぐ彼らだって分かる。
まぁわたしも乙女ゲームのヒロインらしく、ザ・ピンクって感じの特殊な髪色で同じくらい目立ちまくっているけどね。さっきから、好奇な視線をチラチラと感じるし。
とにかく二人は並んで座っているみたいで、頭の先の方だけちょこんっと見えた。
シリル様とフレデリック様ですよ……高位貴族達が座る前の方の席に本当にいる……。
すごい、本物だぁってことで感動したんだけど、やっぱり早く麗しいご尊顔とか含めて全身を拝んで見たいです!
クリストファー様はまだこの場面ではいない。
ただ、もうすぐ始まる新入生代表の挨拶で壇上に上がる予定で、その時に必ず見ることが出来るからそこまでは我慢だね。
王立学園の在学資格は十三歳から十七歳までの間で、その間ならいつ入学してもいい。
そして一年以上在学すれば飛び級して卒業することも可能という条件もあるんだけど、これは王族のために設けられた制度だと言われている。
王族としての公務や警備上の問題などもあり、クリストファー第二王子の在学期間の予定は最長三年。
親密度が上がらないと一年で卒業してしまい攻略不可になるという難易度の高さだ。
それでも金髪碧眼で、まさに女の子の理想の王子様らしい王子様が攻略対象に一人いるのは王道だよね。
最初のうちは、王族らしく傲慢で俺様なところがまた堪らなくいいんだ! その後、ゲームが進むとヒロインにだけにやたらと甘く、優しくなるのもねっ。デレた時の破壊力は凄かったんだよ。
前世でも一番人気の高い攻略対象で、彼の背景にはピンクのハートが飛びまくっていたなぁ。
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