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ゲームでの対話
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「画面見ててもいい?」
「うん。あ、変なアイテムとか、スキルのセットとかダメ出しされそうで怖いけど」
改めて隣に腰を下ろした檸檬くんと、一緒にパソコンの画面を覗き私がゲーム操作をする。
手持ちに入っている“宴会用のヅラ”というアイテムを見られて「これいらないでしょー」なんて話しながら。
ゲームの“友達リスト”を開き、チャットのブロック一覧から“ゴールド”からのチャットブロックを解除する。
「ブロックしてたんだ?」
「うん……ギルド抜けてしばらくは、現実での連絡無視したら個別チャットが送られてきててしつこくって……」
ゴールドへのチャット画面を開き、文字を入力していく。
“ご無沙汰してます。家の近くで以前ゴールドさんに貰った写真と似た人を見かけたんだけど……もしかしてこっちの方いらしてますか? 違っていたらすみません”
「こんな感じでどうかな?」
「いいんじゃないか? 送ってみよう」
ゲームに入っていたようで、すぐに返事が来た。
“久しぶり! やっとブロック解除してくれたんだ! 今日回った何処かにやっぱりいたんだなーー。俺さ、少し前にこっちに転勤になったんだ! お互い休みの日にでも、飯いこーよ!”
“ってかまず現実の連絡先もブロック解除してくんない?”
今日回った何処かに、ということは、何ヶ所か目星をつけて回ったんだろう。
“現実のゴールドさんと仲良くするつもりはないから、もう私のこと探したりしないでほしい。住所特定とか普通に考えると怖いことしていますよ”
“えーー、そんな硬いこと言わずにさ。ゲームの相方が現実でも恋人になるとか、よくあるじゃん。SNSのソフトクリーム写真ねこまんまなんだろ? 美人でびっくりした。一回くらい会ってから決めてくれよ”
いやいやいや……なんでこの人はこんなに私に執着するんだろう。それともゲームで知り合う女の子みんなにこういうことしているんだろうか?
以前も会おうとか顔写真送れとか、元は仲良くゲームしていたはずなのに、散々連絡が来るようになって本当に困った。
固まっていると背中にふわりと温かい感覚がして、両サイドから伸びた腕がキーボードを叩いた。
“今はゲームでの相方も違う人と組んでるし、彼氏もいるから無理です。 しつこいと警察に言いますよ。兎に角もう、探し回るようなことしないでください”
檸檬くんは私に代わって“ねこまんま“からゴールドへそうチャットを送らせると、フレンド一覧から“ゴールド”をまたブロッックに戻した。
「ごめん、なんかイラッとしてつい……彼氏いるってことにしておけば、こういうのは大丈夫」
「あ……助かった。ありがとう廉くん。なんか……前のことも思い出すと怖くて鳥肌が。こっちの方転勤してきたんだ……やだなぁ」
「厄介だね。とりあえず家と容姿、はっきり特定はされてなかったみたいで良かった。SNSの写真、普段のかわいい系の桜より美人系のメイクだったもんな」
かわいい系と言われてドキッとする。
「こ、これなら、今日泊めてもらわなくても大丈夫かも! 食材はどたばたのお礼ってことで受け取ってーー頑張って自炊してね」
檸檬くんの家に居候させてもらう理由も無くなったし、帰ろう! 一気に言葉を吐き出しパタリとノートパソコンを畳んで立ち上がる。
「いやいや、流石に様子見た方がいいって。また来たらどうすんの。しばらく寝泊まりして行きなよ」
手首を掴まれながらそう言われ、いろんな意味で心臓が跳ねた。
自意識過剰かもしれないけど、確かにまた来られるようなことがあっては怖い。
でも檸檬くんにあまり迷惑もかけられない。
立ち上がったままうーんと考えていると、
「それに、ハンバーグもまた作って欲しい。食べたい。ゲームもまだ一緒にしてないし」
椅子に座った檸檬くんは子犬のような瞳で上目遣いしてきた。
負けた。完敗だ。
このビジュに勝てる人がいたら教えて欲しい。
「うん。あ、変なアイテムとか、スキルのセットとかダメ出しされそうで怖いけど」
改めて隣に腰を下ろした檸檬くんと、一緒にパソコンの画面を覗き私がゲーム操作をする。
手持ちに入っている“宴会用のヅラ”というアイテムを見られて「これいらないでしょー」なんて話しながら。
ゲームの“友達リスト”を開き、チャットのブロック一覧から“ゴールド”からのチャットブロックを解除する。
「ブロックしてたんだ?」
「うん……ギルド抜けてしばらくは、現実での連絡無視したら個別チャットが送られてきててしつこくって……」
ゴールドへのチャット画面を開き、文字を入力していく。
“ご無沙汰してます。家の近くで以前ゴールドさんに貰った写真と似た人を見かけたんだけど……もしかしてこっちの方いらしてますか? 違っていたらすみません”
「こんな感じでどうかな?」
「いいんじゃないか? 送ってみよう」
ゲームに入っていたようで、すぐに返事が来た。
“久しぶり! やっとブロック解除してくれたんだ! 今日回った何処かにやっぱりいたんだなーー。俺さ、少し前にこっちに転勤になったんだ! お互い休みの日にでも、飯いこーよ!”
“ってかまず現実の連絡先もブロック解除してくんない?”
今日回った何処かに、ということは、何ヶ所か目星をつけて回ったんだろう。
“現実のゴールドさんと仲良くするつもりはないから、もう私のこと探したりしないでほしい。住所特定とか普通に考えると怖いことしていますよ”
“えーー、そんな硬いこと言わずにさ。ゲームの相方が現実でも恋人になるとか、よくあるじゃん。SNSのソフトクリーム写真ねこまんまなんだろ? 美人でびっくりした。一回くらい会ってから決めてくれよ”
いやいやいや……なんでこの人はこんなに私に執着するんだろう。それともゲームで知り合う女の子みんなにこういうことしているんだろうか?
以前も会おうとか顔写真送れとか、元は仲良くゲームしていたはずなのに、散々連絡が来るようになって本当に困った。
固まっていると背中にふわりと温かい感覚がして、両サイドから伸びた腕がキーボードを叩いた。
“今はゲームでの相方も違う人と組んでるし、彼氏もいるから無理です。 しつこいと警察に言いますよ。兎に角もう、探し回るようなことしないでください”
檸檬くんは私に代わって“ねこまんま“からゴールドへそうチャットを送らせると、フレンド一覧から“ゴールド”をまたブロッックに戻した。
「ごめん、なんかイラッとしてつい……彼氏いるってことにしておけば、こういうのは大丈夫」
「あ……助かった。ありがとう廉くん。なんか……前のことも思い出すと怖くて鳥肌が。こっちの方転勤してきたんだ……やだなぁ」
「厄介だね。とりあえず家と容姿、はっきり特定はされてなかったみたいで良かった。SNSの写真、普段のかわいい系の桜より美人系のメイクだったもんな」
かわいい系と言われてドキッとする。
「こ、これなら、今日泊めてもらわなくても大丈夫かも! 食材はどたばたのお礼ってことで受け取ってーー頑張って自炊してね」
檸檬くんの家に居候させてもらう理由も無くなったし、帰ろう! 一気に言葉を吐き出しパタリとノートパソコンを畳んで立ち上がる。
「いやいや、流石に様子見た方がいいって。また来たらどうすんの。しばらく寝泊まりして行きなよ」
手首を掴まれながらそう言われ、いろんな意味で心臓が跳ねた。
自意識過剰かもしれないけど、確かにまた来られるようなことがあっては怖い。
でも檸檬くんにあまり迷惑もかけられない。
立ち上がったままうーんと考えていると、
「それに、ハンバーグもまた作って欲しい。食べたい。ゲームもまだ一緒にしてないし」
椅子に座った檸檬くんは子犬のような瞳で上目遣いしてきた。
負けた。完敗だ。
このビジュに勝てる人がいたら教えて欲しい。
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