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身体が痛い
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朝ーー身体があちこちズキズキすると思いながら、ぼんやり目を開けると人の肌が目の前にあった。
檸檬くんだ。
昨日檸檬くんに押し倒されてーー
そう思い出すと、サッと顔が熱くなる。
電車で寝てしまった檸檬くんを車に乗せて、駐車場からエレベーターで部屋に運んで。
上を脱がせて勝手に身体を拭いたのは悪いと思ってる。
でも一日パークで遊んで、潔癖ではないけどあのままベッドに横たえるのはかなり抵抗があった。
かといって客人を床に寝かせるわけにもいかない、とそれなりに葛藤した。
眠い身体を引きずるように、自分もメイクを落とし、シャワーを浴びた。
お風呂から出ると起きた檸檬くんに押し倒され、お説教されーー
キャーーーーーーッ
思い出すと恥ずかしくなって両手で顔を覆う。
眠くて、理性が働かなかったせいだ!
絶対そうだ!
私は付き合ってない相手とそういうことしないし、檸檬くんもそういう人じゃない……と思いたい。
これまでチャットしたり会った印象では、そういう人では、ない。
でも夜中で、パーク行って疲れてて、お互い判断力が鈍っててーー。
そこであんなイケメンとーー
うんうん、と一人で自身に言い聞かす。
押し倒された後、しばらくして上から退いてくれた檸檬くんは、そのままシャワーを貸してほしいと浴室に消えていった。出てきたかと思えば、先寝ようか、床かベッドかとぼんやりする私に再び覆いかぶさりーー
あの顔で色気を帯びた破壊力!!
そう、ハタリと思ったところでまた恥ずかしくなって両手で顔を覆った。
檸檬くんはすよすよと眠っている。
寝顔も美しい。
そっとベッドを出た。
◇◇◇
朝食ができる頃、檸檬くんは目を覚ました。
「あ、お、おはよう」
「……はよっ……ざいます……」
前もそうだったけど、寝起きはあんまり良くないらしい。
「……夢ーー?……」
ベッドから身体を起こし、眠そうに腕で目元を抑えている。
「ん?何か言った? スクランブルエッグにケチャップかける人? 」
「あ……かけます。洗面所借りても?」
「どうぞ! 上の棚に、タオル入ってるから好きに使ってー……」
ベッド横に畳んでおいた服を着て洗面所に消えていった檸檬くんは、程なくして顔をタオルで抑えながら戻ってきた。
その姿は、いつかの光景を彷彿とさせる。
「ふふ、檸檬くんて、寝起き弱いよね」
「昔から……シャキッと起きれなくて……」
レタスやきゅうりトマトのサラダに、スクランブルエッグ、ベーコンを焼いてバタートーストと珈琲、一応ジャムも出した。簡単だけど朝ごはん。
二人で朝食をとった。
「おいしい……誰かに朝食作ってもらうの、久しぶり」
「それはよかった。今日時間は大丈夫なの?」
「はい。休みなんで」
もぐもぐと咀嚼しながら、なんて切り出そうかと考える。
「あのさ、昨日はーー」
「すっ、すみませんでした」
突如檸檬くんが、勢い良く頭を下げる。
「え、えぇ!?」
「俺……何処からが夢なのか覚えてなくて……」
……あぁ、何事もなかったことにしよう的な話かな?
「いきなり、怖かった、ですよね? それなのに朝食の用意から服まで洗ってもらって……本当にすみません」
「あ、怖いとかは全然! 」
「全然……なんだ。あのさ、桜、俺うやむやにしたいとかではなくて、最低だけど本当に覚えてなくて……」
まさかのパターンだった。
「俺、昨夜何をしたーー?」
食事を取る手をとめ、背筋をぴんと正した檸檬くんは、真面目な表情でそう告げた。
手に持っていた箸が落ちる。そ、それを私に言わせるのーー!?
朝から、このイケメンに!?
檸檬くんだ。
昨日檸檬くんに押し倒されてーー
そう思い出すと、サッと顔が熱くなる。
電車で寝てしまった檸檬くんを車に乗せて、駐車場からエレベーターで部屋に運んで。
上を脱がせて勝手に身体を拭いたのは悪いと思ってる。
でも一日パークで遊んで、潔癖ではないけどあのままベッドに横たえるのはかなり抵抗があった。
かといって客人を床に寝かせるわけにもいかない、とそれなりに葛藤した。
眠い身体を引きずるように、自分もメイクを落とし、シャワーを浴びた。
お風呂から出ると起きた檸檬くんに押し倒され、お説教されーー
キャーーーーーーッ
思い出すと恥ずかしくなって両手で顔を覆う。
眠くて、理性が働かなかったせいだ!
絶対そうだ!
私は付き合ってない相手とそういうことしないし、檸檬くんもそういう人じゃない……と思いたい。
これまでチャットしたり会った印象では、そういう人では、ない。
でも夜中で、パーク行って疲れてて、お互い判断力が鈍っててーー。
そこであんなイケメンとーー
うんうん、と一人で自身に言い聞かす。
押し倒された後、しばらくして上から退いてくれた檸檬くんは、そのままシャワーを貸してほしいと浴室に消えていった。出てきたかと思えば、先寝ようか、床かベッドかとぼんやりする私に再び覆いかぶさりーー
あの顔で色気を帯びた破壊力!!
そう、ハタリと思ったところでまた恥ずかしくなって両手で顔を覆った。
檸檬くんはすよすよと眠っている。
寝顔も美しい。
そっとベッドを出た。
◇◇◇
朝食ができる頃、檸檬くんは目を覚ました。
「あ、お、おはよう」
「……はよっ……ざいます……」
前もそうだったけど、寝起きはあんまり良くないらしい。
「……夢ーー?……」
ベッドから身体を起こし、眠そうに腕で目元を抑えている。
「ん?何か言った? スクランブルエッグにケチャップかける人? 」
「あ……かけます。洗面所借りても?」
「どうぞ! 上の棚に、タオル入ってるから好きに使ってー……」
ベッド横に畳んでおいた服を着て洗面所に消えていった檸檬くんは、程なくして顔をタオルで抑えながら戻ってきた。
その姿は、いつかの光景を彷彿とさせる。
「ふふ、檸檬くんて、寝起き弱いよね」
「昔から……シャキッと起きれなくて……」
レタスやきゅうりトマトのサラダに、スクランブルエッグ、ベーコンを焼いてバタートーストと珈琲、一応ジャムも出した。簡単だけど朝ごはん。
二人で朝食をとった。
「おいしい……誰かに朝食作ってもらうの、久しぶり」
「それはよかった。今日時間は大丈夫なの?」
「はい。休みなんで」
もぐもぐと咀嚼しながら、なんて切り出そうかと考える。
「あのさ、昨日はーー」
「すっ、すみませんでした」
突如檸檬くんが、勢い良く頭を下げる。
「え、えぇ!?」
「俺……何処からが夢なのか覚えてなくて……」
……あぁ、何事もなかったことにしよう的な話かな?
「いきなり、怖かった、ですよね? それなのに朝食の用意から服まで洗ってもらって……本当にすみません」
「あ、怖いとかは全然! 」
「全然……なんだ。あのさ、桜、俺うやむやにしたいとかではなくて、最低だけど本当に覚えてなくて……」
まさかのパターンだった。
「俺、昨夜何をしたーー?」
食事を取る手をとめ、背筋をぴんと正した檸檬くんは、真面目な表情でそう告げた。
手に持っていた箸が落ちる。そ、それを私に言わせるのーー!?
朝から、このイケメンに!?
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