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オフ会のあと
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ーーギルドメンバー ミミミがログインしましたーー
ゲームのギルドチャット画面が、メンバーのログインを知らせる。
今日は棗は来ないだろうしと、ソロで狩場に来ていた。
「お、ねこまんまちゃん昨日はお疲れ様ー」
ギルドチャットでミミミーーこと、あゆみさんから話しかけられ、狩をしながらチャットを打つのは中々シンドイ。他のメンバーのチャットが踊る。
「昨日って何々!?」
「ねこまんま、ついにギルドオフ会デビュー!?」
「ミミミさん、昨日お疲れ様でした。すみません、今狩場で」
マウスをクリックしつつ、スキルのタイムラグの間に左手だけでタイピングする。両手じゃないと遅いって。
「いやぁ、ねこまんまちゃんがあんなに可愛いなんてー!」
「何々、ミミミさん!ねこまんまって結局男なの!?おっさんなの!?」
「ちょっと待って、それどっちも男じゃん! 女だって言ってるのに」
ーーギルドメンバー 檸檬がログインしましたーー
「ばんわっす」
「檸檬くん、昨日はお疲れ様ー」
「檸檬も昨日オフ会行ったのー?」
「あ、ハイ。行きました」
「うわー、俺も行けばよかった! ねこまんまって、結局どうなの?」
「あーー、それは秘密なんじゃないっすかね」
女だって突っ込みたいけど、チャット打つ余裕がない!悔しい!
ああー、今日はダメだな。狩りやめようかなーー。
ギルドチャットが気になって仕方ない。
「ねこまんま、今狩場?」
「そ。」
ーー檸檬がペアリング機能 転送 を使用しましたーー
会話ログにそんなシステム表示が出ると、狩場に檸檬くんが現れた。
「来ちゃった」
「わーい、じゃ援護お願い」
ペアリングしていると、ゲーム時間1日につき一度だけ相方の元へ飛べるという便利な機能がある。
この機能があるから、よく一緒に狩りをする檸檬くんと私のキャラ“ねこまんま”はゲームのペアリングーー結婚システムを利用している。
白系ピンクのショートヘアに赤い目、長めの睫毛、装備に“筋肉ムキムキローブ”を着ている。
大事なところは隠れているが、腕やお腹がムキムキに見えるアイテムで、攻撃力も上がる優れものだ。
レア装備だし美人キャラがムキムキってかっこいいと思うんだけどなー。
パーティを組んで経験値がお互い入るようにしたまま、1時間黙々と狩りをしていく。
「レベル上がりそ?」
「まだ全然ー!檸檬くんは?」
「こっちもまだまだ。そろそろ戻ろうよ。アイテム持ちきれない」
「了解」
唄う者ギルドのある街に戻ると、ドロップしたアイテムを分けてギルド部屋に向かった。
「ねこまんまお疲れー」
会話ログを見るといつの間にかあゆみさんが落ちていて、棗がインしている。
「あれ?棗まだ東京にいるんじゃなかったの?」
確かオフ会で2泊3日くらいするって聞いたような。
「まだこっちいるよー。これ今、ギルマスのPC借りてるんだ。ミミミも後ろで見てるよー」
するとギルドチャットが荒れだした。
「え、棗とミミミさんそういう関係!?」
「うわーー聞きたくなかったーー」
「爆乳美女の部屋……やばい鼻血が」
「雑誌に載るようなイケメン美容師と美女!リア充め!爆ぜろ!」
ギルドメンバーの阿鼻叫喚が流れ続ける。
「そんな関係じゃないけどね! おっかない番犬もいるし。部屋の隅っこでオトナシクシテマスヨ」
ゲームの中の棗がジロリとした表情で、ギルドチャットではなく近場にいる人だけ見れるチャットを流す。
「ねこまんまさぁ、なんで連絡先教えてくんないのー」
「あ、断ったんだ」
「うん、檸檬くんも交換してないって言ってたし。リアルで棗と取る連絡なんて、ナイ」
「うわっひでー。どうせ檸檬とは交換したんでしょ」
「まぁ一応?ゲームのヨメだし?」
「差別だーー! 俺もねこまんまの後ろでモンクの甘い汁吸いたかったーー」
「そんなんだからペアリング相手いないんだよ! しっかり働け紐男!」
◇◇◇
カタカタとタイピングしていると、パソコンの横でスマホが光った。電話だ。
「もしもーし」
「ねこまんま?今電話いい?」
「うん。なんか画面の中で棗が騒いでるけど、イイデショ」
画面の中では棗が一人で暴れていた。ギルド部屋の中は攻撃されてもダメージを受けない。
"二人してROMかよ?怪しすぎる"とかなんとかログが流れる。
「あのさ……俺朝、眼鏡、持って出たよね?」
「え?うん。カフェでポケットにかかってたよ」
「うわー。今気づいたけど、多分どっか落とした。明日学校なのに最悪」
「えっ、無いの!?……ちょ、ちょっと一応バッグ見てみる」
トートバックをガサガサ漁ると…………え、いつの間に入ったのさ……
「檸檬くんごめん、ありました……」
「あ゛ーーーー」
「え、全然気づかなかった。電車とかで入ったのかなぁ?」
帰りの電車も途中まで一緒で、同じ県内とは聞いていたけど一駅違いだった。最初すいていたものの途中で混みぎゅうぎゅうだったから、入るならあの時かーー
「まぁ電車ん中落として踏まれた、とかじゃなくて良かった。着払いでいいから送ってくんない?」
電話越しに低めの声が流れ、さっきの“最悪”ってつぶやきも脳裏を過ぎり困ってるんだろうなと想像する。
「んーー、檸檬くん家さ、きっとそんな遠くないよね?届けようか?」
「え、流石に悪いっすよ」
「まぁ車あるしさぁ」
ゲームの中でギャンギャン騒ぐ棗を放置して二人ログアウトした。
部屋着からギリギリ外出出来る服に着替え、聞いたコンビニに向かう。
ゲームのギルドチャット画面が、メンバーのログインを知らせる。
今日は棗は来ないだろうしと、ソロで狩場に来ていた。
「お、ねこまんまちゃん昨日はお疲れ様ー」
ギルドチャットでミミミーーこと、あゆみさんから話しかけられ、狩をしながらチャットを打つのは中々シンドイ。他のメンバーのチャットが踊る。
「昨日って何々!?」
「ねこまんま、ついにギルドオフ会デビュー!?」
「ミミミさん、昨日お疲れ様でした。すみません、今狩場で」
マウスをクリックしつつ、スキルのタイムラグの間に左手だけでタイピングする。両手じゃないと遅いって。
「いやぁ、ねこまんまちゃんがあんなに可愛いなんてー!」
「何々、ミミミさん!ねこまんまって結局男なの!?おっさんなの!?」
「ちょっと待って、それどっちも男じゃん! 女だって言ってるのに」
ーーギルドメンバー 檸檬がログインしましたーー
「ばんわっす」
「檸檬くん、昨日はお疲れ様ー」
「檸檬も昨日オフ会行ったのー?」
「あ、ハイ。行きました」
「うわー、俺も行けばよかった! ねこまんまって、結局どうなの?」
「あーー、それは秘密なんじゃないっすかね」
女だって突っ込みたいけど、チャット打つ余裕がない!悔しい!
ああー、今日はダメだな。狩りやめようかなーー。
ギルドチャットが気になって仕方ない。
「ねこまんま、今狩場?」
「そ。」
ーー檸檬がペアリング機能 転送 を使用しましたーー
会話ログにそんなシステム表示が出ると、狩場に檸檬くんが現れた。
「来ちゃった」
「わーい、じゃ援護お願い」
ペアリングしていると、ゲーム時間1日につき一度だけ相方の元へ飛べるという便利な機能がある。
この機能があるから、よく一緒に狩りをする檸檬くんと私のキャラ“ねこまんま”はゲームのペアリングーー結婚システムを利用している。
白系ピンクのショートヘアに赤い目、長めの睫毛、装備に“筋肉ムキムキローブ”を着ている。
大事なところは隠れているが、腕やお腹がムキムキに見えるアイテムで、攻撃力も上がる優れものだ。
レア装備だし美人キャラがムキムキってかっこいいと思うんだけどなー。
パーティを組んで経験値がお互い入るようにしたまま、1時間黙々と狩りをしていく。
「レベル上がりそ?」
「まだ全然ー!檸檬くんは?」
「こっちもまだまだ。そろそろ戻ろうよ。アイテム持ちきれない」
「了解」
唄う者ギルドのある街に戻ると、ドロップしたアイテムを分けてギルド部屋に向かった。
「ねこまんまお疲れー」
会話ログを見るといつの間にかあゆみさんが落ちていて、棗がインしている。
「あれ?棗まだ東京にいるんじゃなかったの?」
確かオフ会で2泊3日くらいするって聞いたような。
「まだこっちいるよー。これ今、ギルマスのPC借りてるんだ。ミミミも後ろで見てるよー」
するとギルドチャットが荒れだした。
「え、棗とミミミさんそういう関係!?」
「うわーー聞きたくなかったーー」
「爆乳美女の部屋……やばい鼻血が」
「雑誌に載るようなイケメン美容師と美女!リア充め!爆ぜろ!」
ギルドメンバーの阿鼻叫喚が流れ続ける。
「そんな関係じゃないけどね! おっかない番犬もいるし。部屋の隅っこでオトナシクシテマスヨ」
ゲームの中の棗がジロリとした表情で、ギルドチャットではなく近場にいる人だけ見れるチャットを流す。
「ねこまんまさぁ、なんで連絡先教えてくんないのー」
「あ、断ったんだ」
「うん、檸檬くんも交換してないって言ってたし。リアルで棗と取る連絡なんて、ナイ」
「うわっひでー。どうせ檸檬とは交換したんでしょ」
「まぁ一応?ゲームのヨメだし?」
「差別だーー! 俺もねこまんまの後ろでモンクの甘い汁吸いたかったーー」
「そんなんだからペアリング相手いないんだよ! しっかり働け紐男!」
◇◇◇
カタカタとタイピングしていると、パソコンの横でスマホが光った。電話だ。
「もしもーし」
「ねこまんま?今電話いい?」
「うん。なんか画面の中で棗が騒いでるけど、イイデショ」
画面の中では棗が一人で暴れていた。ギルド部屋の中は攻撃されてもダメージを受けない。
"二人してROMかよ?怪しすぎる"とかなんとかログが流れる。
「あのさ……俺朝、眼鏡、持って出たよね?」
「え?うん。カフェでポケットにかかってたよ」
「うわー。今気づいたけど、多分どっか落とした。明日学校なのに最悪」
「えっ、無いの!?……ちょ、ちょっと一応バッグ見てみる」
トートバックをガサガサ漁ると…………え、いつの間に入ったのさ……
「檸檬くんごめん、ありました……」
「あ゛ーーーー」
「え、全然気づかなかった。電車とかで入ったのかなぁ?」
帰りの電車も途中まで一緒で、同じ県内とは聞いていたけど一駅違いだった。最初すいていたものの途中で混みぎゅうぎゅうだったから、入るならあの時かーー
「まぁ電車ん中落として踏まれた、とかじゃなくて良かった。着払いでいいから送ってくんない?」
電話越しに低めの声が流れ、さっきの“最悪”ってつぶやきも脳裏を過ぎり困ってるんだろうなと想像する。
「んーー、檸檬くん家さ、きっとそんな遠くないよね?届けようか?」
「え、流石に悪いっすよ」
「まぁ車あるしさぁ」
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