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本編
第37話「清々しいほどの現実逃避」
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「え………?」
今なんて
「だからゲーム。あんたもやってたんでしょ?」
「な、なんのことか……わからない、んだけど………」
ルルは怪訝な顔をして
ついていた肘をはずしそれから真面目な顔になってわたし見つめた。
「あんた……ここがゲームの世界だって知ってるんじゃないの?って……どういう意味よその顔」
「ルル…」
わたしの言わんとすることに気づいたのか
ルルは瞬時に顔を真っ赤にして叫んだ。
「あんたこそ現実逃避してるんじゃないわよッッこの!姿を!見て!現実だと思える方がどうかしてるでしょ!!」
えー…
でもーー
ねー?
「下手くそな演技してんじゃないわよ!!」
ルルはもう、湯気がたちそうなほどご立腹だ。
テーブルを叩いて立ち上がるという、漫画やドラマでしか見ないようなわかりやすい行動で声を荒げる。
「ルル…落ち着いて?」
「っっだから何なのよその顔は?!なんでわたしの方がそんな痛い子ちゃんみたいな目で見られなきゃいけないのよ?!」
「ルル…もしかして15歳とか?」
「中2病じゃないわよ!!」
「じゃあ…もしかして……」
「宇宙と交信もしてないわよ!!!」
すごい。
ルルったら素晴らしい!この打てば響く反応、即座にくる軽快な突っ込み。やだなにこの子楽しい…!
「だからそのすごい逸材に出逢ったみたいな顔はやめなさい!!!!!」
ルルが本気で怒り出したので大人しくルルの話を聞くことにした。
「二度とふざけた突っ込みしたら許さないからね」
「ひどいっわたし、ルルとならコンビくんでもいいと思ったのに…!」
「いつわたしが漫才やりたいって言ったのよ?!」
「一緒にこの世界に漫才旋風を巻き起こしましょう!」
「やるか!!」
漫才というものがないこの世界でならわたし達、伝説になれると思うのに残念だ。
これは口説き落とすのに苦労しそうである。
…ルルに睨まれた。
「本当っに、あんたふざけてるわね?!見苦しいというかいっそ清々しいほどの現実逃避だわ」
「だってルルが変なこと言うから。」
この世界がゲームの中だなんて。
そんな馬鹿げたことがあるものか。
「あんただって一度くらいは疑ったことあるんじゃないの?」
逆に一度もなかったらその方がどうかしてるわよ、と言ったルルの言葉に思い出す。
「そういえば…着ぐるみショーがどこかで見たことある内容だなとかあれに合わせて婚約してたみたいだな、とかは……」
「しっかり疑ってるじゃないの。………着ぐるみショーってなによ?」
それはルルを巡るアレク様達のバトルのことだと説明すれば、
ルルはまた真っ赤になって俯いて、恥ずかしそうに唸った。
「最悪…黒歴史……」
とりあえずルルの肩をぽん、と優しく叩いておいた。
気にするな。誰でも作るものである。
「せっかくだから聞いておきたいんだけど、ルルはなんで逆ハーを築こうとしてたの?」
「あんた…人の傷口にぐいぐい塩塗ってくるわね…」
ちょっとくらい遠慮とかないわけ?と呆れられたけれどルルは答えてくれた。
「調子のってたのよ。4人ともイケメンに見えてたし選びたくなかったの。イイ男達に囲まれて取り合いされるって気持ちよかったし。他の生徒達に嫉妬されるのも気持ちよかったわね。」
大方予想通りの答えだ。
正直なところを言えばわからなくはない。やるかやらないか、否、やれるかやれないかであるだけで、乙女の夢だと思う。
「まあ…それもあっさり解散になったし……そもそも着ぐるみだったけどね。」
「わかる。」
もう一度わたしは大きく頷いてルルの肩をぽんと叩いた。
「でも結局のところ、ルルは誰のことも好きじゃなかったのよね」
ちやほやされるだけで満足だったならそういうことだ。
わたしだったらもっと先に進…結婚前提のお付き合いがしたい。
「…そうね。思い出してみるとホスト遊びしてたみたいなものね。」
「ホスト」
「本当にホストクラブ行くとドンペリとか入れないといけないしそれに比べたら安上がりだったわよねー。…着ぐるみだったけど。」
「着ぐるみだったけど。」
もはやルルとの間の合言葉が「着ぐるみ」になりそうである。
初めてわかり合える同士に出逢えて感無量だ。
「ルルは前世の自分のこと覚えてるのね?」
「そりゃ…あんたは覚えてないの?」
すごく驚かれた。
「自分のことだけ覚えてないの。」
「…そう。だから受け入れられないのね……」
そうかもしれない。
「わたしはわたしとしてここで生きてきたし、前世のことは知識としてしか覚えてないから。」
「そう……」
でもその方が幸せかもね、と。
ルルはまた寂しそうな顔をした。
「ね、ルルはキャバ嬢時代の知識でアレク様達をメロメロにしてたのよね?どんなテクニックがあるのか知りたいな!よかったら教えて?」
暗くなりそうだった雰囲気を変えようと、わざと明るい声で話題を変えた意図に気づいてくれたのか、
ルルも笑った。
笑って、わたしの言葉に返事をした。
「いつまでもその調子で逃げられると思ったら大間違いよ。さっさと現実受け入れて対策練るわよ!」
ルルの声がめちゃくちゃ低くてびっくりした。
今なんて
「だからゲーム。あんたもやってたんでしょ?」
「な、なんのことか……わからない、んだけど………」
ルルは怪訝な顔をして
ついていた肘をはずしそれから真面目な顔になってわたし見つめた。
「あんた……ここがゲームの世界だって知ってるんじゃないの?って……どういう意味よその顔」
「ルル…」
わたしの言わんとすることに気づいたのか
ルルは瞬時に顔を真っ赤にして叫んだ。
「あんたこそ現実逃避してるんじゃないわよッッこの!姿を!見て!現実だと思える方がどうかしてるでしょ!!」
えー…
でもーー
ねー?
「下手くそな演技してんじゃないわよ!!」
ルルはもう、湯気がたちそうなほどご立腹だ。
テーブルを叩いて立ち上がるという、漫画やドラマでしか見ないようなわかりやすい行動で声を荒げる。
「ルル…落ち着いて?」
「っっだから何なのよその顔は?!なんでわたしの方がそんな痛い子ちゃんみたいな目で見られなきゃいけないのよ?!」
「ルル…もしかして15歳とか?」
「中2病じゃないわよ!!」
「じゃあ…もしかして……」
「宇宙と交信もしてないわよ!!!」
すごい。
ルルったら素晴らしい!この打てば響く反応、即座にくる軽快な突っ込み。やだなにこの子楽しい…!
「だからそのすごい逸材に出逢ったみたいな顔はやめなさい!!!!!」
ルルが本気で怒り出したので大人しくルルの話を聞くことにした。
「二度とふざけた突っ込みしたら許さないからね」
「ひどいっわたし、ルルとならコンビくんでもいいと思ったのに…!」
「いつわたしが漫才やりたいって言ったのよ?!」
「一緒にこの世界に漫才旋風を巻き起こしましょう!」
「やるか!!」
漫才というものがないこの世界でならわたし達、伝説になれると思うのに残念だ。
これは口説き落とすのに苦労しそうである。
…ルルに睨まれた。
「本当っに、あんたふざけてるわね?!見苦しいというかいっそ清々しいほどの現実逃避だわ」
「だってルルが変なこと言うから。」
この世界がゲームの中だなんて。
そんな馬鹿げたことがあるものか。
「あんただって一度くらいは疑ったことあるんじゃないの?」
逆に一度もなかったらその方がどうかしてるわよ、と言ったルルの言葉に思い出す。
「そういえば…着ぐるみショーがどこかで見たことある内容だなとかあれに合わせて婚約してたみたいだな、とかは……」
「しっかり疑ってるじゃないの。………着ぐるみショーってなによ?」
それはルルを巡るアレク様達のバトルのことだと説明すれば、
ルルはまた真っ赤になって俯いて、恥ずかしそうに唸った。
「最悪…黒歴史……」
とりあえずルルの肩をぽん、と優しく叩いておいた。
気にするな。誰でも作るものである。
「せっかくだから聞いておきたいんだけど、ルルはなんで逆ハーを築こうとしてたの?」
「あんた…人の傷口にぐいぐい塩塗ってくるわね…」
ちょっとくらい遠慮とかないわけ?と呆れられたけれどルルは答えてくれた。
「調子のってたのよ。4人ともイケメンに見えてたし選びたくなかったの。イイ男達に囲まれて取り合いされるって気持ちよかったし。他の生徒達に嫉妬されるのも気持ちよかったわね。」
大方予想通りの答えだ。
正直なところを言えばわからなくはない。やるかやらないか、否、やれるかやれないかであるだけで、乙女の夢だと思う。
「まあ…それもあっさり解散になったし……そもそも着ぐるみだったけどね。」
「わかる。」
もう一度わたしは大きく頷いてルルの肩をぽんと叩いた。
「でも結局のところ、ルルは誰のことも好きじゃなかったのよね」
ちやほやされるだけで満足だったならそういうことだ。
わたしだったらもっと先に進…結婚前提のお付き合いがしたい。
「…そうね。思い出してみるとホスト遊びしてたみたいなものね。」
「ホスト」
「本当にホストクラブ行くとドンペリとか入れないといけないしそれに比べたら安上がりだったわよねー。…着ぐるみだったけど。」
「着ぐるみだったけど。」
もはやルルとの間の合言葉が「着ぐるみ」になりそうである。
初めてわかり合える同士に出逢えて感無量だ。
「ルルは前世の自分のこと覚えてるのね?」
「そりゃ…あんたは覚えてないの?」
すごく驚かれた。
「自分のことだけ覚えてないの。」
「…そう。だから受け入れられないのね……」
そうかもしれない。
「わたしはわたしとしてここで生きてきたし、前世のことは知識としてしか覚えてないから。」
「そう……」
でもその方が幸せかもね、と。
ルルはまた寂しそうな顔をした。
「ね、ルルはキャバ嬢時代の知識でアレク様達をメロメロにしてたのよね?どんなテクニックがあるのか知りたいな!よかったら教えて?」
暗くなりそうだった雰囲気を変えようと、わざと明るい声で話題を変えた意図に気づいてくれたのか、
ルルも笑った。
笑って、わたしの言葉に返事をした。
「いつまでもその調子で逃げられると思ったら大間違いよ。さっさと現実受け入れて対策練るわよ!」
ルルの声がめちゃくちゃ低くてびっくりした。
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