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本編
第35話「ピンクの元ビッチ着ぐるみに大興奮」
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大きな頭に大きな身体。
ふわふわしていた髪はぼさぼさでその顔の半分以上を覆い隠していた。
ピンクの髪の毛からギロリと覗く瞳が鋭い眼光でこちらを見て―――
「答えなさいよ。どうなの?このわたしを見て、本当に可愛いと思ってるの?!」
ルルルルルルルルルルルル嬢!!!
絶対に逃がさない、そんな勢いでわたしの部屋に入り込んできたルル嬢は
血走った目でわたし達を睥睨するとまずレイチェル様に狙いを絞った。
「っひ!」
エイレーン様は気絶し、レイチェル様は震えている。けれどルル嬢は逃がさない。答えなさい、とレイチェル様に迫った。
「嘘もお世辞もいらないわ!正直に答えなさい!わたしを本当に可愛いと思ってる?!」
ルル嬢に眼前ぎりぎりまで迫られたレイチェル様はルル嬢の形相に恐れおののき首を振る。何度も何度も肯定の意味で首を縦に振り同じように隣で震えるわたしに視線で助けを求める。
ああ、ルル嬢は心を壊してしまっているのだ、と。
レイチェル様の瞳に一瞬憐れみの色が浮かんだように見えた。
このルル嬢の姿を見れば、誰もが感じることだろう。
あれほど可憐に振る舞っていたルル嬢が、身なりも気にせず夜着のままぼさぼさの髪を振り乱し血走った目でこんな質問をしてくるのだ。アレク様達を失ったショックで壊れてしまったのかもしれない、と。
誰しも思うはずだった。
確かに恐ろしくはある。
でも――
「あんたはどうなの?!あんたの目にわたしはどう見えてるの?!」
ルル嬢は舌打ちをして、レイチェル様からわたしへ視線を移した。
何故だろう、わたしにはルル嬢が泣いているように見えた。必死に、助けを求めているように見えた。
髪を振り乱し、血走った目で聞いてくるのは、誰かにわかってほしいと訴え叫んでいるように見えたのだ。
「答えなさい!!」
黙るわたしに苛立ったルル嬢の檄が飛ぶ。答えないわたしにレイチェル様も縋るような視線を向けてくる。
だけどわたしは考える。
考えて考えて考えて――
ルル嬢の言葉の意味を、その奥に隠された意味を、必死に考えた。
「ルル…様、は……」
「わたしは?!」
ルル嬢の両手がわたしの肩を掴み、さらに近づいた顔にもわたしは怖れなかった。
ルル嬢が、求めている答えはなんだ。
何と答えてほしくて、ルル嬢はここまで狂乱しているのか。
「ルル様…―――――わたくしの目にはあなたは、着ぐるみに……見えます」
「…何ですって?」
どさり、と音がして隣を見れば
レイチェル様まで気絶して倒れてしまっていた。2人は後で介抱するとして、今はルル嬢に向き合うことにする。
「あるいは―――…コスプレ、でしょうか?」
「鏡を見たらこれでしょ、今までは自分が一番可愛いって思ってたのに急に不気味に見えて驚いたのなんのって。」
「それで錯乱したのですね」
「そりゃそうでしょう?!これよ?!この姿よ!?」
「わかります。」
あれからわたし達は、プロ侍女さんの帰りを待って気絶したエイレーン様とレイチェル様を託しルル嬢の部屋へ移動した。
ルル嬢の部屋は荒れ放題だったが今は関係ない。わたし達は部屋へ入るなり座ることもせず話し始めた。
「一体なんのドッキリよ!!」
ルル嬢が叫ぶ。
「どこにもカメラはないしいつまで経ってもこの姿のままだし!服を脱いで、みて、も……」
ごくん。
わたしは思わず、唾を飲み込んだ。
「ぬ、脱いでも…?」
ルル嬢がわたしを見つめる。
「……見たい?裸。」
わたしは力強く頷いた。
見たい。できれば、どころじゃなく本気で見たい。じっくり調べたい。くまなく調べたい。
チャックが本当にないのかどうか、服の上からではなく裸になってもらって確認したい。
「…いいわよ。」
「本当に?!」
「この身体に羞恥心なんてないわよ。」
「ぜひ。」
ルル嬢はそのまま、自分の服に手をかける。夜着姿のままだったのでボタンを外せばあっさりとその裸体が……
「…セクシーな下着ですわね」
「そう?持っている下着は全部こんなものよ。」
わたしの下着はいたってシンプルな機能性重視のものですが?
まさか着ぐるみが服を脱いだらいっちょこれから勝負しにいくぜというようなセクシーすぎる紐パンが出てくるとは思いませんでした。色はピンクなのにデザインは色気ムンムンなやつとか。脱いだらすごいんですと地でいくやつですね。毎日が勝負とか見習うべきですかね?
「このままでもいいでしょ。別に脱いでもいいけど。」
「いえそこまでは。…いややっぱり全部見たいかも。」
でもまずは背中から拝見。チャックがあるかくまなくチェック!
「チャックとかさー、あったらいいなって自分でも探したのよ。でも自分じゃ後ろまで上手く探せないでしょ。よく見てみて。」
ね?ある?どう?どうなの?!
と
ルル嬢が興奮気味に聞いてくる。
「ブラも外していいですか?」
「いいわよ。」
お言葉に甘えて、後ろホックをぱちりと外した。ルル嬢のお胸は大きい。ぷるるんっと弾ける音がしそうな勢いでブラが外れた。さすが二次元の夢を詰め込んでいるだけはある。
「どうなの?!あった…―――――」
ガチャリ
「ユーリア様!ご無事ですか?!」
「ユーリア様!大丈…――」
「お嬢様!!」
「……………え……?」
「「ユー、リア……様?」」
「………と」
なだれ込んできた3人と、
裸のルル嬢にそのルル嬢のブラを外しているわたし。
「……………」
「……………」
「……………」
「と……」
「とりあえず違うから……っっ!!!」
誤解!!
ふわふわしていた髪はぼさぼさでその顔の半分以上を覆い隠していた。
ピンクの髪の毛からギロリと覗く瞳が鋭い眼光でこちらを見て―――
「答えなさいよ。どうなの?このわたしを見て、本当に可愛いと思ってるの?!」
ルルルルルルルルルルルル嬢!!!
絶対に逃がさない、そんな勢いでわたしの部屋に入り込んできたルル嬢は
血走った目でわたし達を睥睨するとまずレイチェル様に狙いを絞った。
「っひ!」
エイレーン様は気絶し、レイチェル様は震えている。けれどルル嬢は逃がさない。答えなさい、とレイチェル様に迫った。
「嘘もお世辞もいらないわ!正直に答えなさい!わたしを本当に可愛いと思ってる?!」
ルル嬢に眼前ぎりぎりまで迫られたレイチェル様はルル嬢の形相に恐れおののき首を振る。何度も何度も肯定の意味で首を縦に振り同じように隣で震えるわたしに視線で助けを求める。
ああ、ルル嬢は心を壊してしまっているのだ、と。
レイチェル様の瞳に一瞬憐れみの色が浮かんだように見えた。
このルル嬢の姿を見れば、誰もが感じることだろう。
あれほど可憐に振る舞っていたルル嬢が、身なりも気にせず夜着のままぼさぼさの髪を振り乱し血走った目でこんな質問をしてくるのだ。アレク様達を失ったショックで壊れてしまったのかもしれない、と。
誰しも思うはずだった。
確かに恐ろしくはある。
でも――
「あんたはどうなの?!あんたの目にわたしはどう見えてるの?!」
ルル嬢は舌打ちをして、レイチェル様からわたしへ視線を移した。
何故だろう、わたしにはルル嬢が泣いているように見えた。必死に、助けを求めているように見えた。
髪を振り乱し、血走った目で聞いてくるのは、誰かにわかってほしいと訴え叫んでいるように見えたのだ。
「答えなさい!!」
黙るわたしに苛立ったルル嬢の檄が飛ぶ。答えないわたしにレイチェル様も縋るような視線を向けてくる。
だけどわたしは考える。
考えて考えて考えて――
ルル嬢の言葉の意味を、その奥に隠された意味を、必死に考えた。
「ルル…様、は……」
「わたしは?!」
ルル嬢の両手がわたしの肩を掴み、さらに近づいた顔にもわたしは怖れなかった。
ルル嬢が、求めている答えはなんだ。
何と答えてほしくて、ルル嬢はここまで狂乱しているのか。
「ルル様…―――――わたくしの目にはあなたは、着ぐるみに……見えます」
「…何ですって?」
どさり、と音がして隣を見れば
レイチェル様まで気絶して倒れてしまっていた。2人は後で介抱するとして、今はルル嬢に向き合うことにする。
「あるいは―――…コスプレ、でしょうか?」
「鏡を見たらこれでしょ、今までは自分が一番可愛いって思ってたのに急に不気味に見えて驚いたのなんのって。」
「それで錯乱したのですね」
「そりゃそうでしょう?!これよ?!この姿よ!?」
「わかります。」
あれからわたし達は、プロ侍女さんの帰りを待って気絶したエイレーン様とレイチェル様を託しルル嬢の部屋へ移動した。
ルル嬢の部屋は荒れ放題だったが今は関係ない。わたし達は部屋へ入るなり座ることもせず話し始めた。
「一体なんのドッキリよ!!」
ルル嬢が叫ぶ。
「どこにもカメラはないしいつまで経ってもこの姿のままだし!服を脱いで、みて、も……」
ごくん。
わたしは思わず、唾を飲み込んだ。
「ぬ、脱いでも…?」
ルル嬢がわたしを見つめる。
「……見たい?裸。」
わたしは力強く頷いた。
見たい。できれば、どころじゃなく本気で見たい。じっくり調べたい。くまなく調べたい。
チャックが本当にないのかどうか、服の上からではなく裸になってもらって確認したい。
「…いいわよ。」
「本当に?!」
「この身体に羞恥心なんてないわよ。」
「ぜひ。」
ルル嬢はそのまま、自分の服に手をかける。夜着姿のままだったのでボタンを外せばあっさりとその裸体が……
「…セクシーな下着ですわね」
「そう?持っている下着は全部こんなものよ。」
わたしの下着はいたってシンプルな機能性重視のものですが?
まさか着ぐるみが服を脱いだらいっちょこれから勝負しにいくぜというようなセクシーすぎる紐パンが出てくるとは思いませんでした。色はピンクなのにデザインは色気ムンムンなやつとか。脱いだらすごいんですと地でいくやつですね。毎日が勝負とか見習うべきですかね?
「このままでもいいでしょ。別に脱いでもいいけど。」
「いえそこまでは。…いややっぱり全部見たいかも。」
でもまずは背中から拝見。チャックがあるかくまなくチェック!
「チャックとかさー、あったらいいなって自分でも探したのよ。でも自分じゃ後ろまで上手く探せないでしょ。よく見てみて。」
ね?ある?どう?どうなの?!
と
ルル嬢が興奮気味に聞いてくる。
「ブラも外していいですか?」
「いいわよ。」
お言葉に甘えて、後ろホックをぱちりと外した。ルル嬢のお胸は大きい。ぷるるんっと弾ける音がしそうな勢いでブラが外れた。さすが二次元の夢を詰め込んでいるだけはある。
「どうなの?!あった…―――――」
ガチャリ
「ユーリア様!ご無事ですか?!」
「ユーリア様!大丈…――」
「お嬢様!!」
「……………え……?」
「「ユー、リア……様?」」
「………と」
なだれ込んできた3人と、
裸のルル嬢にそのルル嬢のブラを外しているわたし。
「……………」
「……………」
「……………」
「と……」
「とりあえず違うから……っっ!!!」
誤解!!
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