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本編
第12話「着ぐるみ対策成功なり!」
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「変声器……?」
そういう物は存在しないのか、エイレーン様は不思議そうに首をかしげていた。
「名前はもちろん姿も声も隠してほしいのです!」
「…わかりましたわ、先生方に相談してみましょう。ユーリア様のお姿を隠したまま証言できるようにすればいいのね?」
「お願いします!!」
というわけで、エイレーン様はすぐに先生達に掛け合ってくれたらしく、準備にしばらくかかるので事件の聞き取りをする職員会議が開催されるのは五日後ということになった。その間は不気味なほど学院は平穏だった。
アレク殿下もシルヴィ様も学院には来ているようだったけれど忙しそうにしていて、エイレーン様は一人別室で授業を受けていると聞いた。騒ぎが落ち着くまではという学院側の配慮らしい。ルル嬢とミラ様は…学院にも来ていないようだ。赤着ぐるみ?あれは時々わたしの教室に顔を出して誰かを探しているようだけどわたしはレイチェル様の背中に隠れたり机の下にもぐりこんだり素早く教室から逃げたりしているので知らない。恐怖と怒りでしばらくあの着ぐるみに会いたくない。
そして運命の職員会議当日がやってきた。
「お腹が痛い…」
緊張とプレッシャーと恐怖でお腹が痛い。
許されるならこのまま回れ右をして寮の自室に逃げ込みたい。けれど冤罪をふっかけられているエイレーン様の無罪を証言できるのはわたしだけ…
相手が着ぐるみだろうと助けられるのに助けなかったら、きっと後で後悔する。
踏ん張るしかない。
会議は授業が終わった放課後に行われた。その日の授業は、何事もないようにまさかわたしが召喚されてるなどとばれないよう、努めて普段通りに過ごしたつもりだけど顔色は悪かったかもしれない。
ここで待つように、と連れられていったのは校長室。職員室へは扉ひとつで繋がっている。扉の向こうの職員室ではすでに事件に関わる全ての着ぐるみーズが集まって先生方を前に話し合いが始まっているようだ。
「大丈夫ですよ、あなたの姿はちゃんと隠れるように準備してますから。」
そう言って安心させるように微笑んでくれるのは保険医のカミュ先生。眼鏡の柔らかい雰囲気をもった癒し系先生だ。当然、「普通の人間」の姿でありわたしには心強い存在である。
「確かにあの日、ユーリアさんは保健室に来てましたしね」
「はい。たいしたこともなかったのにお手数をおかけして申し訳ありません…」
「いいんですよ、具合の悪い生徒を見るのがわたしの仕事ですから」
先生…!
大人の魅力たっぷりな優しい微笑みにうっとりします!
この世界では平凡な容姿の先生はもちろん、わたしの目には素敵なイケメン先生です。わたしを相手にしてもらえるなんておこがましいことは考えていないのであえて結婚相手の候補には入れていない。でも素敵。
職員室の中には校長室の扉から続くように保健室で使われているカーテンの衝立が並べられている。移動するわたしの姿が見えないように証言をする場所までいくつものカーテンの衝立でその道が隠されているのだ。証言をする場所にも、四方をカーテンで囲う衝立が用意されている。保健室のベッドの周囲にあるあれだ。保健室からもってきただけでは当然足りなかっただろうそれらは、カミュ先生の協力があったと聞いた。
「さて、そろそろですね。ユーリアさん、行きましょうか」
「は、はい……っ」
行きたくない。
怖い。
でも行くしかない。
万一にも着ぐるみーズに見つからないように、わたしが校長室に入ったのも職員会議が始まってから。そして呼ばれるのも話し合いが進んだ後だ。
カミュ先生が手を差し伸べてくれて、わたしは照れつつもそれにそっと手をのせ
先生のエスコートで立ち上がり、職員室へ続く校長室の扉を開けた―――。
み、見られてる…!
カーテンの衝立を挟んでいるとはいえ、たくさんの視線が突き刺さっているのはビシバシ感じる。こんな用意までさせて遅れて登場とはいいご身分だな!誰だよ!という視線が…痛い。
「落ち着いて、わたしがいますよ」
そういってぎゅっと手を握ってくれるカミュ先生はもはや神だった。
「ありがとうございます」
青くなる顔を意識しつつも無理に微笑んで頷いて
わたしはゆっくりと用意された証言室もどきに入る。同時に、カミュ先生の手も離れ
「では、頑張ってくださいね。わたしはあちらにいますから。」
先生は衝立の向こうへ行ってしまった。
「確かにわたくしはサンチェ子爵令嬢と言い合いになりました。けれど、誓って階段から突き落としたりしていません。」
「嘘よ!わたしを突き落としたじゃない!」
「あなたが勝手に飛び降りたのでしょう!!」
「2人とも落ち着いてください。お話は1人ずつで聞きますから」
衝立の向こうでは着ぐるみ同士が激しく言い合ってヒートアップしているけれど
わたしは自分が案外落ち着いていることに驚いていた。
怖く……ない?!
そう、怖くないのだ。
衝立効果なの…?!
同じ空間に着ぐるみーズがいる。聞いたところによれば多分全員集合である。とんでもない絵面だ。遠目にショーを眺めるのなら慣れたが近くにいるなんてありえない。絶対に怖いと思ってた。怖くないはずがないと。だからこそわたしはわたしの心を守るためにこの衝立を用意してもらったのだけど……
「エイレーン様には動機があります!エイレーン様は殿下と親しくしているわたしが許せなかったのです!いつもいつもそのことでエイレーン様には嫌味を言われていました!!あの日も!そのことで言い争いになったんです!」
「勝手なこと言わないでくださいませ!いくらあなたを嫌いでもわたくしは突き落としたりしません!」
「ほら!!エイレーン様はわたしが嫌いなんです!」
「当たり前でしょう?!あなたが嫌いなことが動機ならこの学院の全生徒に動機がありますわよ!」
「ひどいっっ先生方、聞きましたよね?!エイレーン様はいつもこうやってわたしを苛めるんです!!」
エイレーン様やるなあ。
全生徒がルル嬢を嫌ってるって言い切るなんて。いや大体合ってそうだけど。
それにしてもそこまで言われてめげない傷つかないルル嬢のメンタル半端ない……!わたしなら折れる。心がポッキリ折れる。引き篭りになるわ~。
新発見である。
わたしは余裕で彼らの痴情の縺れに聞き耳をたてることができた。余裕のよっちゃんである。余裕余裕超余裕!全く怖くない!
わたしは、わたしは……視覚をふさげば着ぐるみが怖くない………っっ!!!
その着ぐるみ姿さえ隠してしまえば、声だけならば彼らは普通の人間と大差ない。エイレーン様とルル嬢はアニメ声ではあるけれど地声でそういう人もいるにはいるので問題ない。
「サンチェ子爵令嬢、落ち着きなさい。リガール公爵令嬢もだ。」
この声は誰だろう。カミュ先生ではない。でも、美声…。
「先生方、原因を作った責任がある身として、発言をしてもよろしいでしょうか?」
この声は殿下かな。
うーん、美声は美声なんだけど17歳の声というよりもっと大人の男性の声みたい。まあ、いい声だよね。
皇子らしい尊大さが見え隠れしてるところとか下手に出ながらも受け入れられて当然みたいな空気を感じるところとか。
「まずは今回の件、発端は間違いなく愚かな言動をとっていたわたしにあること、謝罪させてください。わたしのせいでご迷惑をおかけして申し訳ありません。学生とはいえ皇子でありながらこのような失態を演じ、失望させました。エイレーン嬢にも…先日父である皇帝陛下と共に公爵家とエイレーン嬢に謝罪しました。重ね重ね、申し訳ありませんでした。」
衝立の向こうから、先生方が息を飲み驚く空気が伝わってきた。
殿下がこんな風にきちんと謝罪をするとは思わなかったのかもしれない。
まあ、わたしからしたら謝って当然なんだけどね?殿下の浮気が原因でこんなことになってるんだから。ほんと、わたしにも謝ってほしいわ。着ぐるみーズに関わりたくなかったのに!なかったのに!!
「けじめとしてエイレーン嬢との婚約は解消となりましたが、それはこの事件が理由ではなく、わたしの不貞です。エイレーン嬢に非はありません。婚約も、円満に解消されました。学内でわたし達の婚約の解消がこの事件のせいだという噂が流れているようですが…それは違います。」
「殿下…」
「そして元婚約者として、わたしはエイレーン嬢はやっていないと考えます。エイレーン嬢とは幼馴染でもありその人柄はよく知っています。エイレーン嬢は誰かを貶めるような行為はしません。人を傷つける行為を、よしとしない人です。」
おお?!
こ、これは…あるのか?!復縁あるのか?!こんな風に擁護されたらエイレーン様嬉しいでしょう!殿下もついこの間まで追いかけてたルル嬢なのにすっぱりだな!もしかしたらもしかしたらこの2人もう一度……?!
「どうしてそんな人の味方するんですか?!殿下はわたしを好きだと言ってくれましたよね?!」
ここでルル嬢キターーー!
空気を全く読まずのKY発言!何がすごいって今の発言を聞いてその台詞が言えるっていうのがすごい!もう殿下の気持ちは自分にないことくらいすぐわかる発言だったのに!エイレーン様を擁護するということはルル嬢の狂言だと言ってるも同義なのにさすが鉄のメンタル!いやダイヤモンドか?!
「その件については後日改めて話し合おう。ここで話し合うことではない。」
「殿下?!…シル!殿下がっっ」
「話し合いにはわたしも参加させていただきますが、今後わたしを愛称で呼ぶことは控えてください」
「そんな……2人ともどうしてっっ…レイ?!レイは信じてくれるよね?!」
「サンチェ子爵令嬢、申し訳ない。ここは素直に話した方がいい。」
「なっ?!みんな…どうして?!どうしてそんな……っっひどい!!」
おおっと!ルル嬢、逆ハー崩れたりぃぃぃぃぃぃ!
味方と思っていた着ぐるみにあっさり裏切られたぁぁぁあ!憐れ!憐れである!気分爽快である!
ルル嬢は泣き崩れているようで、ひっく、ひっく、とか、シクシクとかものすごくわざとらしい泣き声が聞こえてくるけれど慰める人はいないようだ。
そんな中から、
初めて聞く声が響いた。
「大丈夫だよ、ルル。誰もいなくなっても僕がいるよ。僕だけはルルの味方だ。」
「ミラ…」
初登場、緑のヤンデレ着ぐるみです!!
声は男にしては可愛らしい幼さを感じる。15.6歳ならとっくに声変わりがすんでそうなんだけど、その声はボーイソプラノで他の着ぐるみとは違った。
「先生方、僕のことを忘れていませんか?僕は現場を見てました。エイレーン様がルルを突き落とすところをはっきり見ました。ルルは嘘をついていません。」
異議あり!!!
そういう物は存在しないのか、エイレーン様は不思議そうに首をかしげていた。
「名前はもちろん姿も声も隠してほしいのです!」
「…わかりましたわ、先生方に相談してみましょう。ユーリア様のお姿を隠したまま証言できるようにすればいいのね?」
「お願いします!!」
というわけで、エイレーン様はすぐに先生達に掛け合ってくれたらしく、準備にしばらくかかるので事件の聞き取りをする職員会議が開催されるのは五日後ということになった。その間は不気味なほど学院は平穏だった。
アレク殿下もシルヴィ様も学院には来ているようだったけれど忙しそうにしていて、エイレーン様は一人別室で授業を受けていると聞いた。騒ぎが落ち着くまではという学院側の配慮らしい。ルル嬢とミラ様は…学院にも来ていないようだ。赤着ぐるみ?あれは時々わたしの教室に顔を出して誰かを探しているようだけどわたしはレイチェル様の背中に隠れたり机の下にもぐりこんだり素早く教室から逃げたりしているので知らない。恐怖と怒りでしばらくあの着ぐるみに会いたくない。
そして運命の職員会議当日がやってきた。
「お腹が痛い…」
緊張とプレッシャーと恐怖でお腹が痛い。
許されるならこのまま回れ右をして寮の自室に逃げ込みたい。けれど冤罪をふっかけられているエイレーン様の無罪を証言できるのはわたしだけ…
相手が着ぐるみだろうと助けられるのに助けなかったら、きっと後で後悔する。
踏ん張るしかない。
会議は授業が終わった放課後に行われた。その日の授業は、何事もないようにまさかわたしが召喚されてるなどとばれないよう、努めて普段通りに過ごしたつもりだけど顔色は悪かったかもしれない。
ここで待つように、と連れられていったのは校長室。職員室へは扉ひとつで繋がっている。扉の向こうの職員室ではすでに事件に関わる全ての着ぐるみーズが集まって先生方を前に話し合いが始まっているようだ。
「大丈夫ですよ、あなたの姿はちゃんと隠れるように準備してますから。」
そう言って安心させるように微笑んでくれるのは保険医のカミュ先生。眼鏡の柔らかい雰囲気をもった癒し系先生だ。当然、「普通の人間」の姿でありわたしには心強い存在である。
「確かにあの日、ユーリアさんは保健室に来てましたしね」
「はい。たいしたこともなかったのにお手数をおかけして申し訳ありません…」
「いいんですよ、具合の悪い生徒を見るのがわたしの仕事ですから」
先生…!
大人の魅力たっぷりな優しい微笑みにうっとりします!
この世界では平凡な容姿の先生はもちろん、わたしの目には素敵なイケメン先生です。わたしを相手にしてもらえるなんておこがましいことは考えていないのであえて結婚相手の候補には入れていない。でも素敵。
職員室の中には校長室の扉から続くように保健室で使われているカーテンの衝立が並べられている。移動するわたしの姿が見えないように証言をする場所までいくつものカーテンの衝立でその道が隠されているのだ。証言をする場所にも、四方をカーテンで囲う衝立が用意されている。保健室のベッドの周囲にあるあれだ。保健室からもってきただけでは当然足りなかっただろうそれらは、カミュ先生の協力があったと聞いた。
「さて、そろそろですね。ユーリアさん、行きましょうか」
「は、はい……っ」
行きたくない。
怖い。
でも行くしかない。
万一にも着ぐるみーズに見つからないように、わたしが校長室に入ったのも職員会議が始まってから。そして呼ばれるのも話し合いが進んだ後だ。
カミュ先生が手を差し伸べてくれて、わたしは照れつつもそれにそっと手をのせ
先生のエスコートで立ち上がり、職員室へ続く校長室の扉を開けた―――。
み、見られてる…!
カーテンの衝立を挟んでいるとはいえ、たくさんの視線が突き刺さっているのはビシバシ感じる。こんな用意までさせて遅れて登場とはいいご身分だな!誰だよ!という視線が…痛い。
「落ち着いて、わたしがいますよ」
そういってぎゅっと手を握ってくれるカミュ先生はもはや神だった。
「ありがとうございます」
青くなる顔を意識しつつも無理に微笑んで頷いて
わたしはゆっくりと用意された証言室もどきに入る。同時に、カミュ先生の手も離れ
「では、頑張ってくださいね。わたしはあちらにいますから。」
先生は衝立の向こうへ行ってしまった。
「確かにわたくしはサンチェ子爵令嬢と言い合いになりました。けれど、誓って階段から突き落としたりしていません。」
「嘘よ!わたしを突き落としたじゃない!」
「あなたが勝手に飛び降りたのでしょう!!」
「2人とも落ち着いてください。お話は1人ずつで聞きますから」
衝立の向こうでは着ぐるみ同士が激しく言い合ってヒートアップしているけれど
わたしは自分が案外落ち着いていることに驚いていた。
怖く……ない?!
そう、怖くないのだ。
衝立効果なの…?!
同じ空間に着ぐるみーズがいる。聞いたところによれば多分全員集合である。とんでもない絵面だ。遠目にショーを眺めるのなら慣れたが近くにいるなんてありえない。絶対に怖いと思ってた。怖くないはずがないと。だからこそわたしはわたしの心を守るためにこの衝立を用意してもらったのだけど……
「エイレーン様には動機があります!エイレーン様は殿下と親しくしているわたしが許せなかったのです!いつもいつもそのことでエイレーン様には嫌味を言われていました!!あの日も!そのことで言い争いになったんです!」
「勝手なこと言わないでくださいませ!いくらあなたを嫌いでもわたくしは突き落としたりしません!」
「ほら!!エイレーン様はわたしが嫌いなんです!」
「当たり前でしょう?!あなたが嫌いなことが動機ならこの学院の全生徒に動機がありますわよ!」
「ひどいっっ先生方、聞きましたよね?!エイレーン様はいつもこうやってわたしを苛めるんです!!」
エイレーン様やるなあ。
全生徒がルル嬢を嫌ってるって言い切るなんて。いや大体合ってそうだけど。
それにしてもそこまで言われてめげない傷つかないルル嬢のメンタル半端ない……!わたしなら折れる。心がポッキリ折れる。引き篭りになるわ~。
新発見である。
わたしは余裕で彼らの痴情の縺れに聞き耳をたてることができた。余裕のよっちゃんである。余裕余裕超余裕!全く怖くない!
わたしは、わたしは……視覚をふさげば着ぐるみが怖くない………っっ!!!
その着ぐるみ姿さえ隠してしまえば、声だけならば彼らは普通の人間と大差ない。エイレーン様とルル嬢はアニメ声ではあるけれど地声でそういう人もいるにはいるので問題ない。
「サンチェ子爵令嬢、落ち着きなさい。リガール公爵令嬢もだ。」
この声は誰だろう。カミュ先生ではない。でも、美声…。
「先生方、原因を作った責任がある身として、発言をしてもよろしいでしょうか?」
この声は殿下かな。
うーん、美声は美声なんだけど17歳の声というよりもっと大人の男性の声みたい。まあ、いい声だよね。
皇子らしい尊大さが見え隠れしてるところとか下手に出ながらも受け入れられて当然みたいな空気を感じるところとか。
「まずは今回の件、発端は間違いなく愚かな言動をとっていたわたしにあること、謝罪させてください。わたしのせいでご迷惑をおかけして申し訳ありません。学生とはいえ皇子でありながらこのような失態を演じ、失望させました。エイレーン嬢にも…先日父である皇帝陛下と共に公爵家とエイレーン嬢に謝罪しました。重ね重ね、申し訳ありませんでした。」
衝立の向こうから、先生方が息を飲み驚く空気が伝わってきた。
殿下がこんな風にきちんと謝罪をするとは思わなかったのかもしれない。
まあ、わたしからしたら謝って当然なんだけどね?殿下の浮気が原因でこんなことになってるんだから。ほんと、わたしにも謝ってほしいわ。着ぐるみーズに関わりたくなかったのに!なかったのに!!
「けじめとしてエイレーン嬢との婚約は解消となりましたが、それはこの事件が理由ではなく、わたしの不貞です。エイレーン嬢に非はありません。婚約も、円満に解消されました。学内でわたし達の婚約の解消がこの事件のせいだという噂が流れているようですが…それは違います。」
「殿下…」
「そして元婚約者として、わたしはエイレーン嬢はやっていないと考えます。エイレーン嬢とは幼馴染でもありその人柄はよく知っています。エイレーン嬢は誰かを貶めるような行為はしません。人を傷つける行為を、よしとしない人です。」
おお?!
こ、これは…あるのか?!復縁あるのか?!こんな風に擁護されたらエイレーン様嬉しいでしょう!殿下もついこの間まで追いかけてたルル嬢なのにすっぱりだな!もしかしたらもしかしたらこの2人もう一度……?!
「どうしてそんな人の味方するんですか?!殿下はわたしを好きだと言ってくれましたよね?!」
ここでルル嬢キターーー!
空気を全く読まずのKY発言!何がすごいって今の発言を聞いてその台詞が言えるっていうのがすごい!もう殿下の気持ちは自分にないことくらいすぐわかる発言だったのに!エイレーン様を擁護するということはルル嬢の狂言だと言ってるも同義なのにさすが鉄のメンタル!いやダイヤモンドか?!
「その件については後日改めて話し合おう。ここで話し合うことではない。」
「殿下?!…シル!殿下がっっ」
「話し合いにはわたしも参加させていただきますが、今後わたしを愛称で呼ぶことは控えてください」
「そんな……2人ともどうしてっっ…レイ?!レイは信じてくれるよね?!」
「サンチェ子爵令嬢、申し訳ない。ここは素直に話した方がいい。」
「なっ?!みんな…どうして?!どうしてそんな……っっひどい!!」
おおっと!ルル嬢、逆ハー崩れたりぃぃぃぃぃぃ!
味方と思っていた着ぐるみにあっさり裏切られたぁぁぁあ!憐れ!憐れである!気分爽快である!
ルル嬢は泣き崩れているようで、ひっく、ひっく、とか、シクシクとかものすごくわざとらしい泣き声が聞こえてくるけれど慰める人はいないようだ。
そんな中から、
初めて聞く声が響いた。
「大丈夫だよ、ルル。誰もいなくなっても僕がいるよ。僕だけはルルの味方だ。」
「ミラ…」
初登場、緑のヤンデレ着ぐるみです!!
声は男にしては可愛らしい幼さを感じる。15.6歳ならとっくに声変わりがすんでそうなんだけど、その声はボーイソプラノで他の着ぐるみとは違った。
「先生方、僕のことを忘れていませんか?僕は現場を見てました。エイレーン様がルルを突き落とすところをはっきり見ました。ルルは嘘をついていません。」
異議あり!!!
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