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🐾消えたアイツらを探して🐾
🐾3 ダンジョンから現れたアンノウンな僕
しおりを挟む僕は、ドルガ達のパーティの荷物持ち兼雑用係で、戦力にはならなくても、掻き回して戦況を変えるのに敵を撹乱したり引きつけたりする役目を負っていたけれど、メンバーとして登録はされていなかった。
脆弱な肉体の僕を慮っての事ではなく、その方が都合がよかったからだ。とは後から知った。
もちろん、初期のメンバーは、特殊能力もなく、体力腕力脚力すべてに於いて低級な僕を戦わせたくないから、みんなで守ってやるだけだからいいと思っていたらしい。
だけど、メンバーが替わっていく内に僕も成長し、生活魔法を一部使い、荷物持ちをして、戦闘で囮や遊撃を担当するようになると、僅かな小遣いで使える便利屋になっていく。
その、資格を有していない、未成年の僕をダンジョン内へ連れ回し死なせた事を、過失致死傷害罪に。
保護の対象である僕を守り切れず、ダンジョン内へ置き去りにしたことで、探索者としては倫理違反と見做され、次に何かやれば探索者資格を永久剥奪もやむなしと言うことを承諾させた上での、半年間活動停止処分を、ドルガ達は受けているらしい。
そして、ドルガが大怪我をしているとかで、療養転院の名目で、彼らはこの街から姿を消した。
それが、僕が生贄にされた後一週間かかって彼らが外に出られてから更に一週間後の事で、未だに彼らの消息は不明だった。
探索者資格を活動休止処分を受けている以上、探索者協会にも半年以上、顔を出していないらしい。
火に焼べられたことを恨みに訴えようにも、彼らの所在は不明。
現在、どこでなにをしているのかも不明。
ダンジョンからふらっとたったひとりで出て来た僕は、身元を証明できなくて、半年間ダンジョンの中でどうしていたのかも説明できなくて。
まさか、生贄として祭壇の火に焼べられた後、神さまと同調して再生しました。
ダンジョンから出るために、体を鍛えながら魔法を神さまに習ってましたって言ってみても、信じてもらえるとは思えなかったし、他にいい言い訳も思いつかなかった。
何も持っていなければ怪しさ爆発級なので、魔獣の皮を剥いで煮詰めて鞣したものを繋ぎ合わせて背嚢を作り、小粒の魔石を少々と非常用携帯食、着替え用の古着などをポケットから出して詰めておく。
一応、骸骨戦士が持っていた安物の短剣と小型丸盾を装備しておいた。
比較的新しい大怪我の痕跡──背中の爪痕や脇腹に噛み痕があり、半年間陽光に当たらなかった分白い肌をしていたので顔色も悪い印象を与え、中で倒れて迷っていた駆け出しの探索者に見えたのは幸運だった。
協会や支援機関の人達は、何も覚えてませんと言う僕の苦しい言い訳を、大怪我が原因の記憶喪失と捉えた。
隠し部屋で拾ったドッグタグは、西の方の異国の街の探索者協会が発行したものなのは辛うじて判ったものの、名前のところが獣の爪に削られ、盗賊鼠の牙で形も欠けていたのも幸いして、異国出身の探索者で大怪我による記憶喪失と言うことで落ち着いた。
言葉? ロスクラリスと同調している利点がここでも活きてくる。
ロスクラリスは古代からの神さまで、言葉や自然界の知識には不自由しない。
僕の言葉も、周りの人達には都合よく聞きたい言語に聴こえるし、違和感を感じない認識阻害効果があった。
神さまの存在値と理の力場は、どこにでも違和感なく存在する事ができる特殊な効果があったのだ。
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