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🐾ダンジョンと仲間とボクと🐾

🐾2 メンバーとボクの力関係

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 ラルクが疑うならよそへ持って行けと言ってくれたおかげかみんなは「そこまで言うならいいけどよ」と、納得した訳じゃなくてもこの場はおさめてくれた。

銀貨三枚分の小銀貨と銅貨を、ゲイル達三人が殆どを分け、2~3日軽食を食べられるくらいの小銭を袋に残して返してくれた。

「まあ、仕留めたのはゲイルの氷雪魔法だからな、お前の分け前は、解体手数料と売却交渉分だ。もっと欲しけりゃ、高く買い取ってもらいな」

 豹の獣人ペイルは、上半身より長い太めの尾を揺らして去って行った。あの尾は自慢らしく、実際、女の子にも人気がある。

 ドラゴニュートと呼ばれる爬虫人のゲイルは、二足歩行する蜥蜴か鰐のような姿で、風と水の魔法と槍を使い分ける戦闘の達人である。
 爬虫類や両生類の獣人は、グロテスクな外見か、竜族のように神々しいかのどちらかで、特にゲイルは、鋼のような光沢のある鱗が鎧を纏ったかのような重厚感ある姿なのに素速い動きが出来る、神の御使みつかいか戦神の如く格好いい戦士だ。

 僕の襟を掴んで吊り上げていたじんのドルガは、この中では古株で、後頭部から肩にかけてもふっとしていて、厚い毛皮を通しても判る上腕や胸の筋肉は厚く盛り上がり、ひょろっとした僕には羨ましい限りである。

 僕は、立派なたてがみもおヒゲもないしふさふさの尻尾もない。
 走るのだって殆どの種族より遅いし、殆どの種族より力もない。 

 魔力値も低くなく内包魔力は、あるのに魔法は殆ど使えない。
 握力や腕力、肩も背筋もそれこそ全身の筋力が低いから、彼ら獣人の使う武器も使いこなせない。

 つまり、僕はモテなかった。どんな種族の女の子にも。

 もっと子供の頃は魔法もまったく使えなかったし、力も今よりもなくて、全身禿げた喋る猿人の仲間なんじゃないのかと言われていた。

 獣相もなく、毛を刈られた赤裸のサルとイジられた事もあったけど、僕を養ってくれた探索者ハンター達は
「お前は、今は少なくなってしまった人間だろう。この辺りじゃ見かけないが、絶滅したとは聞いてないし、お前の親だっているはずだろ? いつか、探しに行けばいいさ」
と、笑って可愛がってくれていた。

 多産で繁殖力の強い獣人が最も多く、もふもふ獣人か爬虫人、またはそれらとの半人ばかりで、人間• •は非常に少なくなってしまったらしい。
 僕は、そのまれになってしまった『人間』の子供──


 ❈❈❈❈❈❈❈


 青矮性翼竜ブルー・ワイバーンの代金を節約してもそろそろ食べ尽くしそうな頃、虎人のドルガから声をかけられた。

「次の依頼はダンジョンだ。何日か潜ることになるが、魔物が多めに棲む層があるらしいから、準備は余裕を見てくれ。大丈夫か?」

 陽の差さない地下迷宮は、松明やカンテラなど灯りも必要だし、食糧も現地調達出来るか判らない。
 荷物も多くなりそうだけど、なるべくコンパクトに纏めなきゃ。

「何日かって、どれくらいなの?」
「現地まで馬車で3日、中は正直判らねぇな」
「何年か前に、虎人とドラゴニュート、熊人の3名で最下層まで五日、帰りはダンジョンコアのワープでひとっ飛びってきいたぞ?」

 今のリーダーは虎人のドルガで、依頼を選ぶのも彼が多く、女の子にモテる人当たりのいい豹人のペイルが情報を仕入れてきたり、下調べしたりする。

「熊人ほど膂力りょりょくはないがスピードはこっちのが上だし、ゲイルの魔法もある。そう変わらないだろう」
「わかったよ。往復馬車で6日間、中は5日~7日間の予定で余裕を持たせて準備するよ」
「ああ、今回も鳥人のトゥグリを連れていくからな」
「ええ? ダンジョンなのに、大丈夫なの?」
「本人が行くっつってんだ、大丈夫なんだろ? そもそもこの話を持ってきたのはアイツなんだ」


 少し前から仲間に加わった、ハーピイよりかは人間かもね? な姿でメスの鷹の鳥人 トゥグリ。

 彼女は、鳥人ならではの高い位置から急降下で爆発的な攻撃力を出すバックアタッカーで、猛禽類の視力と観察力で斥候も兼ねている。
 天井のある暗い地下迷宮で、その役割ロールは果たせるのだろうか?

 多少の不安はあるものの、本人が一番よく解っているのだろうから、敢えて聞き直したりはしないで、準備を始めることにした。




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