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🐾ダンジョンと仲間とボクと🐾

🐾4 依頼内容とは

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 陽が差さないので、腹時計というか自分の感覚だけが頼りになるのだが、今回は、ドルガが金の懐中時計を持っていた。

「そんな高価そうな物、どうしたの?」
「あん? 今回の依頼主の預かり物だ。これが、依頼主の代行人だという証なのさ。勿論、報酬を受けとる時に返すさ」
「ふうん」

 勿論、探索者ハンターは信用問題なのでそんなことはしないけど、持ち逃げするとは思わなかったのかな?

 機械式の振り子時計を買うのだって庶民の年収くらいするというのに、更に小さい懐中時計なんて、幾らするんだか。

 ダンジョンはそんなに複雑な構造はしてなくて、今のところマッピングも簡単に済み、第一下層、第二下層と進み、三層目には僕では太刀打ちできない大型や俊敏な魔物が増えてきた。

 大きなリュックを背負い、サバイバルナイフを構えて腰の引けた僕は、魔物にとって格好の獲物なのだろう。
 次々襲ってくるけど、ドラゴニュートのゲイルの槍が、風の壁が、魔物の爪や魔法から守ってくれる。

 いつもなら離れた場所で見守っているけれど、ダンジョンではそうもいかない。

 不思議なのは、ゲイルやトゥグリが守ってくれること。
 いつもは僕のことは放置しているのに、今回に限って今みたいに守ってくれるのだ。

 隠れる場のないダンジョンだからなのかもしれないけど、少し気になる。
 まあ、彼らのガードがなければ、早々にあの世へ行くことになってたけれど。



 四日目には、目の前の階段を降りれば最下層だという所までやって来た。

「聞いていた予定より一日早いね?」
「いや? 明日一日で最下層を攻略できるかわからねぇだろ? とにかく行ってみないとな」
「そうだね」

 このダンジョンは、パワー型の巨獣やスピード型の魔獣が多く、定期的に間引き討伐が行われているし、過去にはダンジョンコアまで攻略を進められたパーティも居るので、大体の構造は事前にわかっている。

 あとは、この下の最下層だけだ。


「そういえば、ちゃんと聞いてなかったね。今回の依頼って何なの?」
「ん? ああ、そうだな」

 なんだか歯切れの悪いドルガ。

「ダンジョンコア付近にある隠し小部屋の中の、お宝を持ち帰ることだよ」

 飲料水代わりの薄いエールを飲みながら、ペイルが答えてくれる。

「それって大丈夫なの? もう誰かが先に持って帰っちゃってるって事はないの?」

 多くの人が入る有名なダンジョンならではの残念ポイント。
 それはダンジョン内に残された遺物は、先人にすでに持ち去られた後という事。

 構造や出没魔物の傾向が事前に解っているのは有利だし、安全性も高いけれど、その分、最深部未到のダンジョンに比べると旨味が少なくなる。

「それがな、大丈夫なんだよ。そのお宝を手に入れるにはある条件があって、クリアできるパーティがいなかったからな」
「ええ!?」

 ますます彼らの自信がどこから来るのか不思議だった。

 クリア条件を満たせるパーティが居ないような難易度の高いクエストを、僕達のパーティが本当にクリアできるのか。

 だけど、みんなは確信を持っているようだった──



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