12 / 49
第2話 驚きの新世界
11 クセの強い隊員に遭遇した詠哉
しおりを挟む⚠️女性読者は注意
まんまは書きませんが、ちょっとお下品なシーンもあります。ご容赦ください🙏
❈❈❈❈❈❈❈
腹も膨れたし、ふかふかのベッドもある。
さあ、寝ようかな、と思ったら、急に尿意が戻って来た。
部屋を出て、廊下を見舞わすと、小豆色の髪を首の後ろで結わえた20代くらいの男性がこっちに向かって歩いてきてた。ので、訊ねてみる。
「あの、すみません、トイレはどこですか?」
「ん? 誰?」
目が合うと、びっくりするくらい綺麗な紫の瞳でこちらを凝視する。なんか、俺、変かな?
しかし、ここの警備隊の騎士はイケメンしかいないのか? 会うやつ会うやつハリウッドスターかよって、整った顔立ちに鍛えられた身体の男ばかり。まあ、鍛えられていて体格がいいのは、警備兵や騎士なんだから当たり前なんだが、自分がとても貧相に思えてくる。
俺が東洋人のほりの浅い平凡顔なのが珍しいのか、穴があくと言いたいくらい、ガン見してくる。
「ああ。隊長のお客さまだね? セイヤ⋯⋯だったかな」
「はい。よろしくお願いします」
ジロジロ見て声も固かったのが、急に明るい表情で柔らかい声に変わる。
「で、すまないね、なんだったかな?」
「あの、トイレはどこにありますか?」
「んん? ごめんね『トイレ』ってなんだい? 何を探しているのか解らないと、案内出来ないかな」
は? 翻訳機能が働いてない? それとも、ここでは、トイレという概念がなくて、どこでもトイレなのか?
まさか、中世みたいに、路地が排泄物廃棄場所とか⋯⋯ いやいや、さっき、商店街で路地を通ったけど、清潔そうだっただろ。きっと、トイレとは呼ばないんだ⋯⋯ たぶん。
この人が意地悪で揶揄ってるんじゃないと思いたい。
「えと、便所、ハバカリ、セッチン、不浄、閑所、御手洗、厠、お手水や化粧室は通じないよな⋯⋯ ドイツ語やフランス語はトワレットだっけか? ワシントンクラブ(WC)は日本人の隠語で本当はwater closet⋯⋯」
どれも、この紫の人はキョトンとして通じていない。
マジで、大自然が全てトイレな世界なのか~!?
「便器はここでは使わないんですか?」
「便の器? ああ、肥壺の事。部屋にあるだろう?」
「へ? あったんですか?」
気づかなかった。
「あの⋯⋯」
「エアハルト。エディって呼んで?」
「エディさん、すみません。僕、部屋に案内されても、どこにあるのかよく解りませんでした。教えて貰えますか?」
「もちろん。中に入っても?」
態度が軟化したというか、急に馴れ馴れしいほどに親しげになる。ワーテルガーさんの客だというだけで、温かい対応になるんだな。
俺の肩を組むように部屋に入る。この人の方が10㎝以上背が高い。俺もまだまだ成長期のはずだけど、女神に造り替えられたときに、ここで固定にされてないよな?
窓際の、ベッドの横に置かれていた、フックがあって上着と鞄を引っかけた衝立を指すエディさん。
その向こうは、着替えの時の目隠しだと思ってたけど、綺麗なレリーフ造りがそれらしくない、美術品のような蓋のある大きめの壺があった。
まさか、使用後は窓から棄てるんじゃないだろーな。
特に便所特有のアンモニア臭や便のメタンガスっぽい臭いはしなかったから気づかないって。まあ、清潔感はあるな。
蓋を開けてみる。中に、白っぽい半透明の水饅頭みたいなもんが入ってた。
これを目指してするんかな?
「そう。ここに向かって、ね。遠慮なくどうぞ」
いや、そんな、満面の笑みでどうぞと言われても、見られてちゃ出来ませんて。
「なん言ってんの。男同士恥ずかしがることないでしょ」
なんて言って、鍛えられた上背のある大人のエディさんは、逃げられない素早さで俺のズボンの腰紐を弛めた。
「あら、思ったよりいいもの持ってんじゃん? 将来が楽しみダネ」
おお、女神さま感謝⋯⋯じゃなくて、この人何!? まさかのアレな人?
「ちょ、勘弁してくださいよ。人に見られてちゃご子息も萎縮しちゃいますよ。膀胱炎になったらどうしてくれるンすか?」
「ご子息とはうまいこと言うねぇ。あ、俺、衛生兵も兼ねてんの。怪我したり病気になったらちゃんと治療してあげるよ?」
小豆色の天使は、アレな人? 誰か助けて~!!
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる