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第2話 驚きの新世界

11 クセの強い隊員に遭遇した詠哉

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⚠️女性読者は注意

まんまは書きませんが、ちょっとお下品なシーンもあります。ご容赦ください🙏


 ❈❈❈❈❈❈❈


 腹も膨れたし、ふかふかのベッドもある。

 さあ、寝ようかな、と思ったら、急に尿意が戻って来た。

 部屋を出て、廊下を見舞わすと、小豆色の髪を首の後ろで結わえた20代くらいの男性がこっちに向かって歩いてきてた。ので、訊ねてみる。

「あの、すみません、トイレはどこですか?」
「ん? 誰?」

 目が合うと、びっくりするくらい綺麗な紫の瞳でこちらを凝視する。なんか、俺、変かな?
 しかし、ここの警備隊の騎士はイケメンしかいないのか? 会うやつ会うやつハリウッドスターかよって、整った顔立ちに鍛えられた身体の男ばかり。まあ、鍛えられていて体格がいいのは、警備兵や騎士なんだから当たり前なんだが、自分がとても貧相に思えてくる。

 俺が東洋人のほりの浅い平凡顔なのが珍しいのか、穴があくと言いたいくらい、ガン見してくる。

「ああ。隊長のお客さまだね? セイヤ⋯⋯だったかな」
「はい。よろしくお願いします」

 ジロジロ見て声も固かったのが、急に明るい表情かおで柔らかい声に変わる。

「で、すまないね、なんだったかな?」
「あの、トイレはどこにありますか?」
「んん? ごめんね『トイレ』ってなんだい? 何を探しているのか解らないと、案内出来ないかな」

 は? 翻訳機能が働いてない? それとも、ここでは、トイレという概念がなくて、どこでもトイレなのか?
 まさか、中世みたいに、路地が排泄物廃棄場所とか⋯⋯ いやいや、さっき、商店街で路地を通ったけど、清潔そうだっただろ。きっと、トイレとは呼ばないんだ⋯⋯ たぶん。

 この人が意地悪で揶揄からかってるんじゃないと思いたい。

「えと、便所、ハバカリ、セッチン、不浄、閑所、御手洗、かわや、お手水や化粧室は通じないよな⋯⋯ ドイツ語やフランス語はトワレットだっけか? ワシントンクラブ(WC)は日本人の隠語で本当はwater closet⋯⋯」

 どれも、この紫の人はキョトンとして通じていない。
 マジで、大自然が全てトイレな世界なのか~!?

「便器はここでは使わないんですか?」
「便の器? ああ、肥壺の事。部屋にあるだろう?」
「へ? あったんですか?」

 気づかなかった。

「あの⋯⋯」
エアハルト。(古語で栄誉と強いの意)エディって呼んで?」
「エディさん、すみません。僕、部屋に案内されても、どこにあるのかよく解りませんでした。教えて貰えますか?」
「もちろん。中に入っても?」

 態度が軟化したというか、急に馴れ馴れしいほどに親しげになる。ワーテルガーさんの客だというだけで、温かい対応になるんだな。

 俺の肩を組むように部屋に入る。この人の方が10㎝以上背が高い。俺もまだまだ成長期のはずだけど、女神に造り替えられたときに、ここで固定にされてないよな?

 窓際の、ベッドの横に置かれていた、フックがあって上着と鞄を引っかけた衝立を指すエディさん。

 その向こうは、着替えの時の目隠しだと思ってたけど、綺麗なレリーフ造りがそれらしくない、美術品のような蓋のある大きめの壺があった。

 まさか、使用後は窓から棄てるんじゃないだろーな。

 特に便所特有のアンモニア臭や便のメタンガスっぽい臭いはしなかったから気づかないって。まあ、清潔感はあるな。
 蓋を開けてみる。中に、白っぽい半透明の水饅頭みたいなもんが入ってた。

 これを目指してするんかな?

「そう。ここに向かって、ね。遠慮なくどうぞ」

 いや、そんな、満面の笑みでどうぞと言われても、見られてちゃ出来ませんて。

「なん言ってんの。男同士恥ずかしがることないでしょ」

 なんて言って、鍛えられた上背のある大人のエディさんは、逃げられない素早さで俺のズボンの腰紐を弛めた。

「あら、思ったよりいいもの持ってんじゃん? 将来が楽しみダネ」

 おお、女神さま感謝⋯⋯じゃなくて、この人何!? まさかのアレな人?

「ちょ、勘弁してくださいよ。人に見られてちゃご子息も萎縮しちゃいますよ。膀胱炎になったらどうしてくれるンすか?」
「ご子息とはうまいこと言うねぇ。あ、俺、衛生兵も兼ねてんの。怪我したり病気になったらちゃんと治療してあげるよ?」

 小豆色の天使は、アレな人? 誰か助けて~!!




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