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月がきれいだった
10.真偽の珠!!
しおりを挟む──真偽の珠!!
そんなものまで存在するのね。適当に嘘八百並べなくてよかった。
もちろん、本当の事を織り混ぜた、私的見解も混ざっているけど、私が本気でそう思っているから、反応しなかったのね。私には、嘘のつもりはないから。
魔導が普通にある世界だから、この先も何があるかわからないし、自分からは何も言わないように気をつけて、色々訊かれてもなるべく言えないことは言わないようにして、絶対に嘘は言わないようにしよう。
真偽を量る珠って、一般的に流通しているのかしら? それとも、高貴な人だけの特別な物なのかしら?
「もう一つ訊いておこうかな。今、君はいくつなのかな?」
「……15歳です」
もうすぐ16歳になるけど、そこまで言わないでおこう。
結婚できる年が、条件付きで16歳からだと言わなくてよかったんだろうと思う。おそらく、この流れは。
贄の姫だと言っていたし、死なないけど贄と言うなら、次に考えられるのは、神や高貴な人への貢物。
聖別したとかなんとか体のいいことを言っても、なんのことはない、妾にされるという事だろう。
貴族や王様に召し上げられてもどんな扱いを受けるか判からないし、その対象が神様だった場合、人型で言葉が通じるとは限らない。
このピアスが人外の意思にも有効ならわからないけれど、最悪、獣や魔物みたいな神様に生贄としてバリバリ食べられちゃうかもしれない。
4~5年の猶予は出来たかな? 花嫁になるのは20歳からですよと宣言したし。
臓器を提供するとか丸ごと食べちゃう生贄的な意味なら、子を授かる云々は関係ないだろうし、敢えて、結婚できる年齢を訊いて来たのは、そう言う目的があるからだろう。
異状妊娠から産褥や流産もそうだけど、身体の内から腐る病気の可能性まで言ったから、たぶん、20歳になるまでは大丈夫のはず?
「仕方ない。身体が出来上がるまで、このまま飼っておくしかないね」
私に聴こえてないつもりだったのだろうけど、小声で呟いても、静まり返ったこの部屋では、しっかり聴こえてますよ?
或いは、私如きに聴こえたところで問題ないとでも思ってんのかな。くそぅ。悔しい。
飼っておく、だって。『なんとかの姫』とか言っておいて、ペットか家畜と同じ扱いじゃないのよ。
この部屋で軟禁されるのかな?
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