143 / 163
心を守ってくれた優しい人
🚫5 眩しい笑顔の⋯⋯
しおりを挟む待って、この人は本当にあのマクロンさんなの?
頭の中の理解が追いつかない。
まるで人が変わったようで、どこか違和感があって納得がいかない。
違和感⋯⋯
渋茶色にもオリーブグリーンにも見えるサラサラの髪は、手触りも色味も間違いないけど⋯⋯
眼が! 緑味の強いダークヘーゼルの瞳だったのが、七色の輝きを放つオパール色!
「ああ、眼の色が戻ってるかい? 精霊に感染させてたからダークヘーゼルの眼の色だったけど、元々は色素の薄い眼なんだ。両親の血族にね、稀に出るんだよ。髪もね、薬剤錬成魔法士に見合った精霊をおろしてるからこんな色だけど、生まれつきはやはり色素が薄いんだ。家系の色だね」
精霊をおろしてる? 降霊術? 守護精霊じゃなくて、ワザと、緑気系の精霊を憑かせてたって事?
「そう。萌々香は賢いね。その通り。私には、特にこれといった決まった守護精霊はいないんだ。かの国なら『月无』と呼ばれちゃうね」
萌々香と一緒だね。そう言って笑うマクロンさん。
「⋯⋯ざけるな! 片腕で、それも素手で剣圧を抑えられる人間が居るかっ!?」
「テメェ、ナニモンだ、正体見せやがれ」
剣士と魔法士が、起き上がって怒鳴り散らす。
なんともお口の汚いこと。
チラッと視線だけを背後にやって、ため息をつくマクロンさん。
「はぁ。私の魔力を受けて、まだ解らないのか。他国出身だとしても、霊気や魔力を読む事は出来るだろうに」
「所詮、己の力量と目の前の格上の敵との差も判らぬ愚か者ですよ、我が君。相手にする事はありません」
なにげに当たりの柔らかそうなイサナさんも、丁寧な口調で落としていく。
「この後、逃亡したり刑に服して解放された後に、再び萌々香に執着されてもかなわんからな」
私を抱えたまま、襲撃者達に振り返って左腕を後ろに横払いすると、濃い髪色がサッと抜け落ち、瞳と同様、七色の輝きを放つオパールホワイトの銀髪になる。うう、眩し。
「ふむ。この方が、髪の色も萌々香とお揃いでいいな。評議会国にはもう戻らないから、このままでいいか」
確かに、私の地毛に似てる。マクロンさんの方が圧倒的に煌々しいけど。
それよりも驚くのが、マクロンさんから放たれる圧倒的な魔力と霊気。
霊圧って言うのかな? 眼にも見えないし物理的に触れる物でもないのに、圧されるような錯覚を起こすほど。
あの国に居た時は、私より弱かったのに、本当はこんなに強かったんだ。
「あ、ああ、あんた、その髪、霊圧、まさか、竜太子?」
「私をそう呼ぶ者もいるが、竜太子では無いよ。親族が竜血の一族というだけで、私自身は政治には係わらないからね」
そう言って微笑むマクロンさんは、髪と眼の色が明るくなって、眩しかった。
次話
🚫6 有名無実?
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。
転生はデフォです。
でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。
リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。
しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。
この話は第一部ということでそこまでは完結しています。
第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。
そして…
リウ君のかっこいい活躍を見てください。
鉄子(鉄道好きな女子)の眼鏡魔王と付き合っています
キハ
ファンタジー
人たらしと魔族たらし(敵、地位が低い関係なく気に入ったら優しくするのが好きなど)で恋愛に強引な眼鏡女子魔王(十六夜頼子、鉄道好きな女子の鉄子、乗り鉄、収集鉄、時刻表鉄、583才、地味)と恋愛に不器用で奥手なおたくの彼(水島)が付き合う話、ある出来事(8話)で恋人の水島が大好きになります。
魔王(頼子)の喜びは水島の喜び水島の喜びは魔王(頼子)の喜び。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる