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竜族の棲む深い森の中で
🔇13 スカウト?
しおりを挟む森の方からは、武器を担いだ(番えた)戦闘職の二人が歩いて来る。
目の前では、格闘家と斥候(RPGゲームで言うところの盗賊系?)が少し腰を落として、私の動きを警戒しつつ立ち塞がっている。
そして、魔法士が、怖い眼を向けて私の正面に立つ。
「お嬢ちゃんには、選ばせてやろう」
何をかなー? 是非とも辞退させていただきたいな。
「自発的に仲間になってくれると、こちらの手間も省けるし、楽しくやっていける。
でも、それが嫌だというなら、仕方ないね。
ひとつ。魔獣使いが、主に馴れるまでの魔獣に付ける、隷属の首輪を付けて我らと行動を共にするか」
いやいや、ツラい絵面だよね。トゲトゲのついた首輪を付けた土佐犬やブルドッグを想像しちゃう。その横に、同じ首輪を付けた私がちょこんと座ってる。いや、ツラいわぁ。
「ふたつ。お嬢ちゃんから仲間に入れてくださいと頼みたくなるように、周りの誰かをお世話しちゃおうかな?」
脅し? 脅しだよね? それ。お世話するって、何をするの? 怖すぎる。
「みっつ。この世には『使い魔法』って魔法があってね? だがまあ、これは本当は使いたくないんだよ? せっかくのお嬢ちゃんの精霊の守護や魔獣に好かれる特技が死ぬ可能性があるからね」
──簡単なのは、死んでる魔法の強い生き物を使い魔にする魔法
──これだと、一度殺される必要があるし、ボクらの守護契約は解除されちゃうよね
──モモカが好きだから、側を離れないし力を貸し続けるけれど、生きてる時ほどの魔法の効果値は出ないから利用価値は下がるね
──使い魔契約のマスターの性質を受け継いで、モモカがモモカじゃなくなったら、持ってる魔力頼りのただの不死者傀儡になるし、ボクらは手助けしないよ
──面倒なのは、モモカの心を縛って、生きたまま隷属させる方法。傀儡使いの特殊な魔法があるけど、契約を解除するまで膨大な魔法を消費し続けるし、術者に負担が大きいから、よほど魔力の高い魔法士か、固有能力や特殊技能で限定強化された人じゃないとやらないよね
──アイツ、そんな力なさそうだから、やらないんじゃない?
──だから、あまりやりたくないけど、ナンデショ?
──デメリット大きいよね
──そこまでしてもモモカが欲しいんだよね?
──諦めてどっか行ってくれないかなぁ?
──やっちゃう?
──どこに飛ぶか解らないけど、座標なしで次元間穿孔で飛ばしちゃおっか?
いや、それ怖くない? 壁の中に埋まったり海底だったり雲より高い上空だったりしたら、死んじゃうよね?
この魔法士のオジサンも怖いけど、精霊達の対処法もちょっぴり、いや、かなり怖いよ。
本当にはやらないと信じたい。それよりも、この人達は、もしかして、竜燐を拾ってこいって依頼を出した人達?
私の噂を聞きつけて、試してた? しかも後つけてきて、こんな無茶ぶり提案してる?
世の中こんな人達ばかりではないと思うけど、ガヴィルさんが能力の詳細は明らかにするなと言ったのが、よく解った気がした。
次話
🔇14 襲撃者は強引で悪いスカウトマン
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