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自由民ギルド ロックウェル支部
⛔1 同行者
しおりを挟む思ったより高く買ってもらえてほくほく。
この国の土地性と、魔物の特性を覚えるため、街からはそう離れない場所で、採集クエストの繰り返しである。
「まあ、モモカは丁寧に収穫するし、査定しやすく同量でまとめてあるからな。そのまま利用したり売店に出せるのが、価格に評価額がプラスされるのだろう」
「そうそう。本当に初めてなのかと疑っちゃったものね」
結局、ガヴィルさんとキミカさんが一緒に街の外へついて来てくれる事になった。
ガヴィルさんの監理局支部副長としての仕事はいいのかと訊くと、副長が多少留守をしたからといって困るほど職員は無能じゃないと笑ってくれたので、お言葉に甘えることにした。
一応、この国での私の身元保証人でもある。
キミカさんも、遠出しなくていい分夕方には子供の元に帰れるので、ちょうどいい小遣い稼ぎだと請け負ってくれた。
私の事を知る人は少ない方がいいだろうという、ギルドマスターの配慮もある。
「本当は、俺がついて行きたいくらいだがな」
「ダメですよ、さすがにギルマスは堪えてもらわないと」
受付の金髪金目のお姉さんが恐い表情をする。
「あれ、ギルマスがつくと目立つからとか業務が滞るからとかじゃないのよ」
コソッとキミカさんが教えてくれる。
マディラさんから聞いてるから知ってるけど、あのお姉さんは、ガヴィルさんに片想い中らしい。自分が私に付き添うと申し出たのに却下されたという流れは、少々居心地悪かった。
キッと睨まれても、私のせいじゃないし、親子ほど年の差があるのに恋敵を見るような目で見られてもねぇ?
「自分が側にいられないなら、隣にいる人は誰でも羨ましくて妬ましいのよ。子供相手に大人げないというか必死さがいっそ哀れというか」
そう言ってキミカさんは笑うけど、もしかして、お姉さんの片想いは有名なんかな?
チラッとガヴィルさんを見てみるけど、受付のお姉さんの方を見る事はない。
──まあ、嫌いではないみたいだけど
──好きでもないみたいね
──タイプではなさそうだよ
──子供好きで、温かい雰囲気の可愛い人がいいみたい
──モモカはタイプなのかな
いやいや、だから、親子ほど違うんだってば。それじゃロリコンでしょ。
日本では、ロリコンと言えば幼女性愛嗜好と勘違いされるけど、原作のロリータは12歳の出会いから17歳で産褥で亡くなるまでの物語だ。
少女性愛嗜好、うん、ドンピシャか。彼がそんな目で私を見ていたらの話だけど。
そう言えば、マクロンさんは幾つくらいだったんだろう。
見た感じ、大学生から新社会人、いってて三十前だと思ったけど、ガヴィルさんが34歳なら、マクロンさんも実は二十代後半だったのかな。
今日のクエストも無事達成してキミカさんを見送り、ガヴィルさんと並んで仲良く今日の出来事の復習をしながら、救済監理局ロックウェル支部サライ館へ帰宅した。
⛔2 朝からドヤ顔
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