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【萌々香 Ⅱ】
📵21 犠牲者の中に⋯⋯
しおりを挟む声を出さないように、そろりと下がる。
──大丈夫だよ
──風のが、音も遮断してくれるから
踏んづけた小石が跳ねて音を立てたけど、醜鬼達は気づかなかった。
本当に、足音も物音も遮断してくれているらしい。
──モモカの呼吸の音も心臓の音も、服や手足の動く音も、モモカの気配総てを絶ってるよ!
──安心して逃げて?
──怪我しないように、ゆっくり落ち着いてね
そうは言われても、あんなに高いところへは垂直に近い洞壁を登れないし、どちらが奥でどちらが出口に向かう道なのか、さっぱり判らない。
風の流れから、醜鬼と土塊の臭いがして、湿った空気なのが奥なのかな?
──ボクたち見てこようか?
怖いから、側にいてくれる方がいい。こんな所に取り残されるのは嫌だ。
光の精霊の干渉で、私の目は、テレビで見るナイトスコープで見たような感じに周りが見えているけど、本当は暗闇なのだろう。
生きている女性達が、こんな所で正気でいられるとは思えない。
数時間光のない地下道に閉じ込められただけでも、何日もいたような錯覚がすると聞いている。
冷えて固まった溶岩に塗り込められた醜鬼達の一角に、白い布が見える。私が借りている魔法士のローブに似ているけど、近寄ってみても半分は埋もれててよくわからない。
ただ、人間の女性で、私と同じ白髪だというのは判る。
「この人も『月无』(憑き無し)だったの?」
魔法士のローブを着ているからそんなはずはないのだけど。
──このニンゲン、元々色素の薄い凍土地帯の出身みたいダネ
──地毛が白いンだよ
──死んで、精霊との契約が無効になったから、精霊力が抜けて白髪に戻ってるんだね
──痕跡からして、火のと土のの精霊、それもあまり強くないやつだったみたい
──だから、アオイの火球や副産物の溶岩を無効化できなくて、焦げちゃったんだねぇ
──せめて、水のと契約してたらねぇ
──アオイ、同族コロシやっちゃったね
──人間の法では、同族コロシは大罪なんだよね?
──知らずにやったんだから、コロシじゃなくてカシツじゃないの?
──どっちにしても、やっちゃったね(笑)
クスクスと笑う精霊達。気紛れで生物らしさのある妖精と違って、精霊は感情がないんじゃなかったっけ?
──なんで? あるよ
次話
📵22 好みと拘りはあるようで
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