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駅前から自宅まで約8分の間に迷子になりました

日本列島投げ矢の旅? 第一村人発見! ★

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「あっクシュッ」
 くしゃみで目が覚めるのがデフォルトになりかけだ…。 
 今日も天気は良いみたい。空気が澄んでて美味しいけど、肌寒くて、昨日と比べて湿気が足りぬ。喉がガビガビ。このままじゃ風邪引いちゃうよ。

 起き上がって、バキバキになった肩や腰を伸ばして、深呼吸。やっぱり、毛布も何もないから冷えたなぁ。
 三角座りのまま膝におでこくっつけて朝まで動かず寝たから、お尻の底と腰が痛い…。地味におでこも少し痛いかな。
 あ、ちゃんとスマホは手放さなかったし、ペットボトルも眼鏡も蹴飛ばしてなかったよ。
 元々、普通にベッドに横になってても、スマホ触ってて寝落ちして、朝まで握ったままはよくある事で、電池が切れる寸前ってパターンね。

 眼鏡かけて、ミルクコーヒーポッケに突っ込み、繁みを越える。
 小川の水を含みうがいを数回。眼鏡を外して、顔を洗う。眼鏡を川の流水に沈め、水滴を振り払う。

 さて、再び人里目指して歩くかな。


 すぐそこの林の中で小鳥が鳴く。飛来しては何かを拾い、飛び立っていく。
 やはり高い位置で、樹の幹と枝の又からヤマネかリスっぽい小動物が顔を覗かせ、目が合いそうになると引っ込む。
 どうでもいいけど、──いやよくない、気になるしちょっと嬉しい──ここの生き物、懐っこいとまではいかないものの警戒心薄い?
 普通、野生動物って、見たくても近寄ろうとする気配だけで逃げちゃうよね?
 昨日の妖精の環フェアリーサークルのハーブの実を啄んでた小鳥も声かけても小首をかしげるだけで飛んでかなくて、食事続けてたし。
 いやぁ、良いところだ。自然との距離感が丁度良い。

 ほっこりした所で、小川沿いの林から出て、再び草原地帯の端を、南西(多分)に向かって緩やかな下り坂を歩き始める。

 昨日はソフトクッキー2枚とミルクコーヒー少ししか摂ってないから、昨日よりかは元気出ない気もしたが、気にしたら負けや、少なくとも気持ちは明るく前向きに行かな、ね?
 なんか、1~2度お腹すいたピークを乗り越えると、そんなに感じなくなってくるよね。
 この後に来るだろう猛烈な飢餓感が恐いけど。

 もう、時間は気にしない事にした。スマホは電池が心配だったし、気にしても仕方ない。仕事も既に昨日一日丸々無断欠勤だ。そして今日もそうなるだろう。このままだと当分続くんやろなぁ。
 せめてお父さんや弟達には連絡できへんかなぁ。
 友達は、関西離れてから殆ど連絡とってへんし、職場の人は連絡先知らん。東京の人ってそんなもんなのか、私が馴染めてなかっただけなのか、誰も連絡先聞いてこなかったし、聞かれないから私も気が引けて聞けなかったし、それで特に不便は無かった。
 会社の出納事務所と、直属の上司?シフトを組む首席の人が私の携帯の番号知ってれば、それで仕事は回ってた。
 なんとも寂しい。関西での職場の人は、同僚同士で連絡先交換してたし、年に数回しかない定休日に、みんなで食事に行ったり、誰かの家に集まったりしてた。

 あかん、暗くなる話題はやめとこ。

 とにかく、腹具合と太陽の位置で、大体の時間を読むだけで、特に問題ない。後で元の生活に戻った時に色々聞かれたとしても、昼頃とか夜はとかで良いだろう。

 そんな事より、当面の問題は3つ。

 まず、食事がとれない事。もう少し秋に入ってれば、木の実とか何かあったんだろうけど、まだ花が咲いてるか、花が落ちて結実してすぐくらい。茸は知識がないとヤバそうだし。

 そしてティッシュペーパーが心もとなくなってきた。2つあった内の1つが主にトイレ事情に消えた。今日で無くなるに違いない。葉っぱか?葉っぱで拭くのか? それとも、川沿いでして下全部脱いで川で洗うのか? 水滴を拭くもん無いで? どないすんねん。

 お風呂も2日間入ってない。タオル無いし、濡れたままやと風邪引くわ。火は熾せないし拭くもん無いし、石鹸シャンプー無いし、あっても川でそんなん流せないし、ああ~汚ギャル(死語?)になる~。
 それに、お風呂に浸からないと、表在菌だか常在細菌だかが正常化されず、よくない体臭の原因になったり、病気になりやすかったりするんだよね。
 外人の体臭がキツいのは、肉食文化なだけじゃなくてシャワーばかりで湯船にあまり浸からないからだって…

 見た目もそう良い訳でもない40後半(ただし見た目はアラフォー)の女が臭かったら、目にも鼻にも毒のもはやただの公害だよね。(ちょっと自虐入りました)

 インド式に、手を水で濡らしてから拭って、も1度手を洗う。…嫌だ。

 なんとしても、今日中に人里を見つけねば!

 林の中と違って、草原地帯で陽にあたってると、暑い。汗かくと余計疲れる。お風呂に入れないのに、バッドスメル女一直線になる!
 
 暑さ避けと日焼け避けに、草原ではなく、林の中を川沿いに歩くことにした。足元はあまりよくないけど、木の根っこさえ気をつけてれば、つっかけでも歩ける。
 わりと涼しくて、最初からここを歩けばよかったと後悔した。


 ───── ◆ ◆ ◆ ───────


 てくてく。てくてく。ちょろちょろ。てくてく。ちょこ。…てくてく。てくてく。

 私は今、すっごい嬉しそうな顔をしてるに違いない。にこにこよりかはニヤニヤ寄りの締まりのない顔だ。
 そんなに川幅の広くない小川の向こう側で、小鳥は鳴くし飛来しては飛び去っていく。たまに水浴びしてる子もいる。
 草陰や樹の枝葉の隙間から覗くヤマネかリスっぽい小動物も、同じ個体なのか別の個体なのかは判らないが、たまに見かける。

 ──っああ!触りてぇ!! 超もふもふしたい!
 クッキーからナッツをへっぺがして食べさせてあげたい! 手から食べるところ見たい! いや、クッキーに混ぜて焼いてるから、小動物には油脂と糖分が高過ぎて、既製品だから添加物もあるだろうしあげられないけど。
 
 可愛いイキモノを愛でながら、ほっこりした気持ちでポッケからミルクコーヒーを出して、キャップを外す。残り半分切ったなぁ。

「うぶっブフェッ、ガハッガハッ」

 …ミルクコーヒー、死んでた。

 うわぁ、マジか、ショック!
 北海道産生クリーム100%使用のとろけるカフェオレ~!! どうして死んじゃったのォ!?

 …いや、だいたい予想出来る事ですけれどね。
 安定剤は添加されてても防腐剤や保存剤は入ってないのを確認して買ってるし、開栓後は冷蔵庫で保存して下さいと明記してあるし、更には、常温で放置すると、膨張して蓋が飛ぶことがあるとも書かれている。
 水分はともかく、コーヒーだって結局は、強引な言い方をすれば煎り豆の煮出し汁で有機物だし、乳成分に至っては、濃厚生クリーム使用とか、こんだけ暖かければただの牛乳だって腐るのは目に見えてる。しかも、ポッケに入れて、ふりふり歩いてたし、自分の体温でぬくめてたわ。これで腐るなと言うのが無理な話だろう。
 駅前のベンチで飲むのこっちにしてれば、今頃は炭酸乳酸菌飲料が手元にあったかもしれない。アレなら…いや、乳製品ってところで同じかな。

 小川から離れた場所に、植物を避けて中味を棄て、川の水で濯いでまた少し離れた場所に棄て、小川の水を汲み入れる。

 いやぁ、一気にテンション下がったわ。
 さっきまでのニヤニヤ笑顔がどんより曇り顔になるが、まわりの小鳥や小動物には関係なく、遠巻きに見守ってくれてる。と思っとこう。

 ───── ◆ ◆ ◆ ──────

 やや俯き加減にとぼとぼ歩いてると、遠くに、初めて、人の声が聞こえてきた!!
 まだ遠いのか、何を話してるかまでは解らない。
 私は伸び上がって、繁みの向こう、声のした高原地の方を覗う。

 細身なのか、長身なのか、スラッとしたシルエット。多分男性。女性のような丸みは感じられない。
 3人居る。
 でも、なんだろう、あの格好。大芸大母校の裏山に居たなぁ、あんなの。

 革製品っぽい胸当てブレスト脛当てグリーブ、手袋などを装備していて、背中に矢筒と弓、腰に短めの剣を佩いている。
 他にも、縦長の盾を背負って短槍を抱え、腰にも日本刀より短くナイフや包丁よりは長い剣を佩いている人。
 膝までの長さの貫頭衣に革製の胸当ての上から、膝裏までの長さのマントを羽織ってて、クロスボウを背負っている人は、腰に短めの矢筒を下げて、杖?棍?錫杖?を両手で掲げ持っている。他の2人はブーツなのに、この人は柔らかそうな革の靴に革の脚絆ゲートルだ。
 服装は全体的に黄ぃ茶色い姿で、どう見ても全員が全員、RPGゲームやファンタジーアニメのキャラクターみたいな格好だ。アニメかゲームのコスプレーヤーかな?

 そうか、ここは太子町の敏達天皇陵のお山だったのか! …んな訳無いよね。

「う~ん、よく出来てるなぁ。そういえば芸大のキャンパス走り回ってた警官なんか本物みたいやったしなぁ。あの、警棒かピストルを押さえて腰落とした走り方とか、制服とか。学外で走ってたら捕まってたな、アレ」
 警官を装うのは違法行為だ。学校内の映像学科の実習だかサークル活動だかだから赦される。
 他にも、学内の広場や校舎の裏山で、マジもんの戦隊ヒーロー撮影かと思うような5色の全身タイツ仮面が、ゴリラクジラと動物を足して割ったような着ぐるみ怪人と闘い、バックで5色の爆炎が上がる本格的な撮影してて、学園祭フライパンカーニバルで上映されてたっけ。まさに『青春と芸術は爆発』を地で行ってたよなぁ。

 でも、なんだろう、コスプレーヤーと思われる姿だというだけでなく、なんとなく声をかけづらい。
 和気あいあいとコスプレを楽しんでる様子ではなく、緊迫した雰囲気だ。

 急に、3人の内、短剣と弓矢を持っていた人が何か叫ぶ。な、なんじゃ? 何言ってるのか解らん。英語や中国語、ハングルじゃなさそう。

 短槍を持っていた人が背中から盾をとり、構えて、盾の横から短槍を突き出す。
 私には彼らの陰になってて見えなかったが、一昨日の山犬?が彼らを襲ったらしい。
 しかも一匹じゃなかった。

 短剣を構えた人が一匹仕留める。短槍の人は二匹。錫杖の人は2人から下がった所で見てるだけに見える。

 なんか、いよいよ本当に、RPGかアニメみたいになってきたなぁ。

 山犬?が全滅して3人がホッと緩んだ瞬間。3人の周りが少し暗くなる。陽が陰ったのか、高い位置に何か覆いかぶさってきたのか。

 後者だった。

 鷹や鷲というよりかは最早アラビアンナイトに登場する巨鳥ルフみたいに巨大な鳥が、戦闘機みたいに急降下してきたのだ。
 翼を広げた幅は4~5mないか? でかいわ。

 マケドニアの長槍ならともかく、短剣や人の身長よりちょっと長いだけの短槍で倒せる相手とは思えない、ってか、攻撃あたってないし。牽制にもなってないし。
 背中の弓矢が活躍する場面と思われたが、取り出して矢を番える余裕も無いようだ。まあ、実際使ったとして、目や口の中以外、細い木の矢でそんなに効果あるとも思えない。それくらい、巨鳥は肉厚で巨大だった。しかも大きさに見合わず、かなり動きが速い。

 怪鳥ラドンみたいに超音波でも発っせるのか、巨鳥が鳴き叫ぶと、短槍のオニーサンの盾の一部が欠けて、全体にヒビが入る。
 短剣のオニーサンの得物は粉々に砕けてしまった。仕方なしに、短槍のオニーサンが自分の腰の短剣を投げて渡す。
 それまで後ろでみてた弩と錫杖のオニーサンが、突然大声を張り上げた。イタリア語やフランス語でもなさそう。中高音の良い声だな。

 するとどうでしょう。巨鳥の片方の翼に火がついて、きりきり舞いに墜落する。
 2人が駆け寄り、短槍と短剣で突き刺し斬りつけ、時々巨鳥の怪音波に負傷しつつも、なんとかとどめを刺す。
 魔法?を使ったらしい錫杖のオニーサンが、腰のポーチからでっかいナイフを出してきて、怪鳥を解体し始めた。

 今、私がみたものは、
──特撮映画の撮影?
──なんとかビジョンの空中放映?
──疲れから見た幻覚?
 アゴがカックーンと落ちそうだった。肩はもう落ちてるよ。元々なで肩やしね。

 さて、本当に、ここはどこ?
        
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