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Ⅳ.幸せに忍び寄る悪夢
5.リアルアクションゲーム
しおりを挟む魔族。魔素を糧に存在する、精霊のように実体のない霊的存在。精霊がプラスなら、幽鬼や魔族はマイナス。
私の中ではそんなイメージだった。
これが悪魔なら、天使の堕天した姿とか、悪意に堕落した人の心の醜い部分から生まれた悪鬼、イドの怪物(負の方向の潜在意識から具現化した魔物)なんかを想像する。
目の前に居るソレは、まさしくそんな感じの負の存在だった。
暗い影が立ち上がって揺らめきながら、まるで噴き出す瘴気や穢れを支えに浮遊しているかのよう。首から上であろう部分はキョロキョロと辺りを見廻すかのように振れる。
背には翼らしき影も開いたり閉じたりしている。
幻影のようにはっきりしないのに、脳裏に焼き付く鮮明な存在感。
「絶対に触れるなよ?」
悪魔と呼ばれた、宙に投影された影のようなモノを警戒しながら、ドルトスさんは、喉を鳴らした。
「ただの穢れなら、巫女の浄化で剥がすことも出来るが、魔族の闇の欠片は染みこんで存在値そのものを書き換えてしまうからな。元には戻らないぞ」
何それ、怖すぎる。触れたらアウトだなんて、ライフポイント一回きりのアクションゲームですか? 魔界村だって装備と下着分一回までは赦されるのに。
小学五年生の頃、お家が珈琲自慢の喫茶店をしている同級生の家に集まって、クラスのみんなで夏休みの共同研究をまとめた事があった。
その日は、お店はお休みだったけど、みんなで自由にテーブルについて宿題を進めていた。
その内、男子が何人か真面目に取り組むのに飽きて、奥にある古いゲーム機を触りだした。
本体カバーの鍵がかかってなくて、蓋を開けて小銭を投下するところのセンサーの針金を弾くと、お金を入れたのと同じ反応をしてタダで何回も出来るので、次第にみんなが夢中になった。
攫われたお姫様を助けに行く髭面の騎士が、攻撃を食らったりモンスターに触れると鎧が弾け飛んでなくなり、ピンクのハート柄のトランクス一丁で走り回る事になる。一部の人には有名なゲームだったらしい。
難易度が高く、無料で繰り返しプレイできたのに、結局誰もクリア出来なかった。
当時、私は見てただけだったけど、ふとそんな思い出が蘇った。
──やり直しが利かないのに、命が懸かった、難易度最高最悪のリアルアクションゲーム
そう思えてならなかった。どこか、現実味がないのだ。
壁の向こうで城壁を引っ掻く闇落ちの隣村の人だったものや獣たちがゾンビ映画のようなのも、余計にそう思えるのかもしれない。
闇落ちは、異界から来た悪意が乗り移った動く死体で、民家が丸々入るほど厚みがあってかなりの高層な城壁を越えることはない。
けれど、この、瘴気と穢れを振り撒きながら揺らめく影のような悪魔は実体がなく、何もその進行を遮ることは出来ず、精霊や妖精達が魔力障壁を張ったところで、空間の裂け目を通って転移してくるから、悪魔には効果がない。
そして、最も魔力が集まる場所──私と、私を守護してくれる精霊や妖精達が集まっている避難所の一つ──を感知して、衛士隊達を無視して一直線に来たのだ。
サヴィアンヌやフィリシア、アリアンロッドやシーグも、霊気魔力共に高いので、目印になるのだろう。
周りの人を巻き込まないために、私は狼犬のままのシーグと共に、避難所を離れる事にした。
妖精達は、サヴィアンヌと私の髪に差した白絹草の花に棲む三鈴を残して、最も私達から遠い場所に避難させた。
本当は三鈴も避難させたかったけど「ワタシが居ないと、セルティック達と連絡が取れないでしょ?」と言って、残ってくれたのだ。
闇落ちとは比較にならないほどの穢れと瘴気を発する悪魔に震えは止まらないのに、小さな彼女は強がって微笑んでくれた。
《やっぱリ、結構強い魔族ダワ。ワタシの呪いは足止めになるカならないカ程度のものネ。でモ、動きの速度ト攻撃の威力を弱める事ハ出来るワヨ。任せてチョーダイ》
「心強いお言葉だね、女王陛下。動きを鈍らせるだけでも充分助けになるよ」
ドルトスさんは、下唇を舐めて、青白く魔力を帯びた長剣を握り直した。
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今更ですが、昨年の作品ですが、今年もファンタジー小説大賞にエントリーしてます
今後の展開への期待とか作品として至らない点への感想とか、応援メッセージなどよろしくお願いします
他の作品もエントリーしてます
古い順に
『異世界って異国よりも言葉が通じないよね!?』
『幸運のスニャイムと遊び人Lv.1』
『ダンションの奥底で殺された「下等種族」の僕、古代神と同化して最強のチカラを手に入れたので、奴らに復讐してやろうかと思います』
『聖女も勇者もお断り🙅』
『棄てられました』『聖女も勇者もお断り🙅』『婚約「破棄」ですか?』の三作品以外休載状態ですが
お気に召した作品があればよろしくお願いします🙇
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−−−−−−
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試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
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