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誰の手を取ればいいの
23.ユーフェミアの追及
しおりを挟む「ねえ、シス?」
「なあに?」
「なんかあった?」
アルメルティアが、馬車で隣に座るシスティアーナの顔を覗き込む。
「どうして? 何もないわよ」
「顔赤いし。アレクお兄さまの失礼がそんなに恥ずかしかった? 怒ってる?」
「へ、平気ではないけれど、怒るほどではないわ。大丈夫よ?」
「ふぅん?」
ユーフェミアは納得していないのか、頰を両手で挟み込んで自分の方を向かせ、システィアーナと目を近くで合わせる。
「正直におっしゃい。アレクお兄さまと、何か、今までと違う事があったでしょう?」
「そ、そんな事は」
「もお、ミア姉さまはすぐ、シスとアレクお兄さまと何かあると結びつけたがるのよねぇ」
「え、何もないわ」
「でもねぇ、お兄さま、少し前に言ってらしたわ? ティアって呼んでいるのは、小さい頃の名残で、今でもその面影がお兄さまの中で抜けないからだって」
さきほど、自分の好きな下ろし髪を女性らしくていいと言ってもらったばかりなのに、子供扱いだったと判って少し落ち込むシスティアーナ。
「あ、ごめんなさい、子供っぽいと思ってるとか、子供扱いをしているって意味じゃないと思うわ?」
「そうね。小さい頃は今よりそばで、みんなと一緒にいたから、その思い出を大切になさってるという意味だと思うわよ」
「そう⋯⋯ 私も、リーナよりもみんなといる方が何倍も多くて、本当に兄妹のように大事に思わせていただいてるわ」
「「私もよ」」
ホッコリしたところでこの話は終わり。と思ったシスティアーナに、ユーフェミアは追及して来た。
「で? 何があったの?」
逃げられそうもない。目的地までまだ時間はあるのだ。
「具合が悪そうになさっていたのをお見かけして、訊ねたら長く眠れていない日が続いていると仰られたので、安眠効果のあるハーブティーを淹れて飲んでいただいたの」
「それだけ?」
「⋯⋯お休みになるまで傍にいて、そのままお目覚めになるまでついていたの。それだけよ」
「そう。それで、このところ、調子が良くなって、ご機嫌だったのね」
ユーフェミアはそれで納得したのか、それ以上は訊いてこなかったので、システィアーナは助かった、と胸をなで下ろした。
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