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小さな嵐はやがて⋯⋯

12.ディオの真意は?

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 ──フレックと一緒に、さっさとこの部屋を出ていればよかった

 エルネストは、ディオの爆弾発言に、この場に残ったことを後悔した。

 クリスティーナ妃と共に各国を回り顔を売り、交流を図り語学も堪能で外交に強いデュバルディオは、ドゥウェルヴィア公爵にも馴染みがあり、確かに、将来的にシスティアーナと添うのに適しているかもしれない。

 フレックは自称親友と言うだけあって、同じ場で働く機会を与えてくれたり、システィアーナの警護を任せてくれたり、仕事上でも便宜を図ってくれるし、傍に居られるよう気を回してくれる。
 改めて考えてみると、デュバルディオは、応援してくれるような発言はするが、行動で励ましてくれたり後押しをしてくれることはなく、自身もシスティアーナと気後れする事なくちかしくしている。

 まさかの伏兵だったのか。それも強敵だ。

「たいした領地も貰えない状態で新しい公爵家を興すより、現行拝領している公爵家に養子に入る方が建設的でしょ? 僕は騎士や将軍になって国軍を率いるとか、近衛隊を統率するとかは向いてないと思うんだ」
「それはそうだけど⋯⋯ なにも侯爵家に婿入りしたり臣籍降下しなくても、ディオなら、外務省の長官として新公爵位を賜ることも出来るでしょう?」
「ん~、新公爵を興すのは、兄達の政策に反するんだよね⋯⋯とと、これ以上は今は言えないよ?」

 新公爵家を興すのは、王子達の政策に反する?

 だが、それ以上は詳しくは聞けないようなので、今はそれは置いておいてもいいだろう。

 エルネストにとって重要なのは、いつもの調子で、本気か軽口か判らない事だ。
 もし本気でシスティアーナの伴侶に収まるつもりなら、ディオとエスタヴィオのただ一声で勝敗は決し、自分に勝ち目はない。
 ディオの事だから、ミアの、親族になるならシスがいいという言葉に投げかけた、ただの軽口の可能性も捨てきれない。

 しばらくディオの台詞が頭の中で繰り返し再現されることになった。





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