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婦人活動
16.婦人活動の進捗状況
しおりを挟む刺繍や編み物、パッチワークなどといった手芸品、製菓や小料理の小分け販売などの制作ものは、始業のめどが立った。
諸事情で親元で暮らせない子供達の施設と協働で、試験的に販売会をする。
売り子と作り手とに分かれ、観客の前でスピーディーに行い、興味をひいておいて、作品を売り、払いたい者を生徒として受け入れる。
施設の子供にも、婦人達に負けない技術を持った子も育ち始めた。
小さいうちからやれば、技術の吸収も早い。
難航しているのは、女家庭教師の育成と手配だ。
本来、子供の教育と育成を目的とした、女性の就ける職業でも上位のもののはずなのに、現状は、子守り代わりの雑役婦であったり、子供の勉強をみる以外の空き時間に、メイドのような事をさせられたりして、賃金もまともに支払われない扱いの悪い雇い主も少なくない。
本来の、女性の憧れる知性的な職業としての地位を確立させるために努力してきたが、遅々として進まない。
各家庭での扱いを、内状に踏み込んで確認して歩く訳にもいかず、また、外聞の悪いことを答えてもらえるとも思えなかった。
そういった現状を打開するための組織を発足させようとしているのだ。
雑役婦や子守りを兼ねさせられたり、メイド扱いも問題だが、中には爵位にものを言わせて愛人のような扱いを受けている女性もいるのだ。
その話を聞いて、なんとかしたいと思ったのが、婦人活動を始めるきっかけだった。
なのに、その組織の発足準備が一番遅れている。
不当な扱いを受けている者ほど、職を失う事を恐れて、告発したり婦人会の代表に詳細を話そうとしないのも理由だろう。
なんとしても、軌道に乗せなくては。
ローゼは改めて決意を固くした。
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