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チーム再び!!──コハクちゃんを中心に

ろく。『コハクちゃんの味方だよ──公爵令息カイルロッドは、そう言った』──そこにはどんなメリットがあるのか?

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     🐺

 ──コハクちゃんの味方だよ

 公爵令息カイルロッドは、そう言った。そこにはどんなメリットがあるのか。
 最終的に、錬金術のレシピを取り上げる? まさかね。
 こちらの様子を探って、ギルドに情報を流す?
 実は錬金術士の雇い主とか、確保した後、手の内に取り込みたいとか?

 私は彼を知らないので、判断ができない。が、領主側であるのに、領主の息子であるのに、こちらの味方をする意味は何だろう。

「いいのですか?」
「僕は錬金術は使えないし、レシピを手に入れたところで、使いみちはないね。捕まえた後も、そんな頭のネジがどっかいった輩を匿ってもいいことはない。手の内の子飼いにするには、よほどの何か強力な手段でもない限り、飼いならせないだろう?」
「確かに」
「情報を流したり、下手人を引き渡したりしてあのギルドに便宜を図ったところで、あまり意味があるとも思えないね」

 ──恩を売っても、徒で返されそうだ

 どういう意味か訊いてみると、コハクが訪ねてきて、今回の調査を始めるまで、ギルドで起きた問題も、犠牲者がいる事も、内容どころか事実さえ報告はなかったという。
 そんな閉鎖的で秘密主義な団体は、扱いにくく、研究内容を領地に活かして還元してくる事もなかったので、協力する気にもなれないという。

「父に言わせれば、それでも恩を売っておいて損はないとか、都会の大手のギルドに恩を着せるのに利用するのもいいなんて言い出すかもしれないけどね。まず、信用出来なければ、利用するために神経や頭を使うのも嫌だなぁ、とね? どうせなら、可愛いコハクちゃんや、特級冒険者 スペシャリスト にいい顔しておいた方がいいと思わないかい? 将来、こちらが助けを求めることもあるかもしれない。どちらかを選べと言われたら、僕は、より信用出来る方を選ぶよ?」

 信用出来れば、利用するために頭を使うという事か? なら、利用されるのはこちら?

 私は、このカイルロッドという青年を測りかねていた。

「昨夜、カイルロッド様がこちらに泊まられた理由なんですけど⋯⋯」
「「泊まった!?」」
「はい。私は、こんなおもてなしも出来ない貸しコテージではご不便だろうから、お屋敷にお戻りになられる事をお勧めしたの。でも、錬金術士の反撃にあって⋯⋯」
「「「反撃?」」」
「ギルドから消えた、魔族瓶の痕跡をチルちゃんに辿たどってもらってるんだけど、それを逆手にのろい返しみたいに、黒いモヤみたいな変なのを送って来て⋯⋯それが爆発したの」
「だっ、大丈夫なのか? 怪我は?」

 あまり話さないフィルタも慌ててコハクの身体を確認するほど、驚きの話だ。

「カイルロッド様がとっさに、ソファの向こう側へ私を抱えて逃げてくださって、あとはチルちゃんの防御結界と、チットちゃんの浄化・洗浄でなんともなかったよ」
「我ながら、よく動けたと思うよ」
「それで、私ひとりでは心配だからって⋯⋯」

 ベッドは、我々が到着してすぐ、手狭だとしまわれていて、寝そべっていたサラマンダーは、コハクが今も、子供がぬいぐるみにしがみつくように抱きかかえている。
 抱き締めて、昼寝中の岩イグアナのようなサラマンダーに顔を埋め、こちらを伺うように、目だけで、自分は善処した!と訴える。

「恩人だし、危ないと言われれば、とても追い返せなかったの」

 それで、男性と二人きりは気まずくて、サラマンダーやカーバンクルが居たのか。
 チラッとケルピーに視線を送ると
〈まあ、概ねその通りだ。カイルロッドは、紳士的にの言葉を貫き、ただ夜番をして寝ただけだな〉と、請け負った。

 妖精は、眠るのが好きなモノも多いが、しょっちゅう寝る必要はない。ひと晩ふた晩起きてても問題はない。
 不安がるコハクのために、チル殿チット殿は結界や探知の魔法を駆使しただろうし、ケルピーは(カイルロッドがヽヽヽヽヽヽヽ不審なヽヽヽ行動をヽヽヽ取らないかヽヽヽヽヽ)起きて見張りをしていただろうから、そこは信用する事にした。







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