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チーム再び!!──コハクちゃんを中心に

よん。『王家にも近い公爵家の嫡男に「存じ上げておりますよ」なんて言われて、アネッタが浮き立っているが、かくいう私も困惑と歓喜が半々だ』

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     🌮

 王家にも近い公爵家の嫡男に「存じ上げておりますよ」なんて言われて、アネッタが浮き立っているが、かくいう私も困惑と歓喜が半々だ。
 考古学者としてでも、上位ランカー冒険者としてでも、名を知られているという事が、今までの功績を憶えていただけているのだという実感が、胸を震わせる。
 それは、表には出ていなくても、フィルタも同じようだった。

「光栄です、テュバリス公爵令息殿」
「硬いなぁ。コハクちゃんにも言ったけど、この件を扱う間はチームなんだから、カイルロッドでいいよ。勿論、不敬には問わないから安心して」

 そうは言われても⋯⋯

「え? チーム?」
「そう。父がコハクちゃんに出した、この領内で自由に活動する事への条件が、わたしを同行させることなんだ」
「そ⋯⋯れは」
「ああ、大丈夫だよ。これでも、剣技と魔法は少々嗜むんだ。皆さんの足を引っ張らない程度にはなんとかできると思うよ」

 立ち姿勢、内包魔力、雰囲気からして、嗜む程度じゃなさそうだけど。

「皆さん、もしかして、朝食はまだじゃないですか? どうぞ?」

 私達が軽く挨拶をしている間に、手早く用意したらしい朝食をご相伴にあずかる事にした。

「さすがコハクちゃんのご飯は元気が出るね!」
「回復力、上がってない?」
「え? でも、【料理】も【薬草学ピュロニカル】も、レベル上がってないよ?」
「基礎身体能力値が上がってるんじゃない?」
「あ、魔力と技巧がだいぶ上がりました」
「それで効果も高くなってるんだね。もはや、低級回復薬ロー・ヒールポーション、クセになりそうだよ」
「コハクの作るものはなんでも旨い。ラジエが羨ましがるな」

 そう、ギルマスが、夕刻の帰り際に私達に話をしたのは、ラジエに聞かれないためでもあった。

 前回のクエストで一度死んだラジエは、現在冒険を禁止されている。

 刈り取る者グリム・リーパーに斬られ、抜けた魂が死霊化しかけたラジエは、コハクに強引に魂を押し戻されて息を吹き返したが、一度切れた魂魄と肉体の緒は、定着するまで再び切れやすくなるとかで、神聖魔法治療士に命の危険を冒すことは禁じられていた。
 コハクが助けを求めていると聞けば、恩人の招集に応えたいと言い出すに決まっている。

 結果、仮眠しながら夜通し歩くという強行軍を強いられたが、ラジエのためにはこれで良かったと思う。
 私達はコハクの回復力付与手料理も食べられたしね。

 そして、私やアネッタの作ったものは、文句は言わないし毎回礼は言うけど美味しいとは言わないフィルタが、コハクちゃんの手料理は旨いというのが、どれだけ美味いのかを物語っている。

「今の話を総合すると、コハクちゃんの手料理で、ヒールポーションを飲むのと同じ効果を、美味しくいただけるということなのかな?」
「まあそうですね。飲み物には、魔力回復力の追加効果もありましたよ」
「それは。今回行動を共にしてる間は、ぜひ毎回作ってもらいたいところだけど、チームだから、きちんと当番なんだろうね。コハクちゃんの当番の時が楽しみだね」
「私は戦闘はからきしなので、適材適所ということで、可能な限り、ご飯くらい作りますよ?」

 実は、私達三人はそのつもりだった。

 押しつけるつもりはないが、彼女の作るもののほうが美味しいし、回復効果もあるのだから。
 その分、攻撃はフィルタとアネッタに任せてもらいますとも。







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