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魔族の小瓶 ── 私の手にはおえそうにありません!?

じゅうはち。『守秘義務もあるだろうから、詳しくは聞かないよ。でも、そういう事なんだろう?』──やはりバレますよね。ここは協同作戦ですか?

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    💣

「ああ、まあ、守秘義務もあるだろうから、詳しくは聞かないよ。でも、コハクちゃんが、この錬金術騒動を、自分達が先にどうにかしないとって思うのは、そういう事なんだろう?」

 ニッコリ笑うと眩しい人だ。アレフといいクリスといい、上位のお貴族様って、美人じゃないといけない決まりでもあるの?

 気を取り直して、そういえばお貴族様を、仮の宿とはいえお招き──呼んでないけど──して、おもてなしもしてないや。

 魔石を使う魔道焜炉コンロがあったので、今回はお祖母ちゃんの七輪ひちりんは出さずに、備え付けの焜炉でお湯を沸かす。
 お茶請けに、ポシェットからお菓子でも出そうと思った時、なにか、モヤっとしたものが漂ってるのが見えた。

「これ、なあに? 煙? もや⋯⋯じゃないよね」
〈コハ!! 離れて!〉
「コハクちゃん!!」

 空気が弾けた。そんなふうに見えた。

 トロい私は何が起こったのかよくわからなくて、後から遅れてぼんやりとわかったのは。

 ソファの裏側に、カイル様に抱え込まれ、庇うようにその身体で覆われて転がっていたこと。
 弾けた空気の衝撃波は、チルちゃんの防護領域セイフティエリアのおかげで私には当たらなかったこと。
 紫がかった濃い灰色の、煙のような水に流した墨のようなモヤっとしたものは、炸裂する時チルちゃんが広がって包み込み、お掃除スキルで洗浄ヽヽしたこと。

「どこか痛いところはない?」

 ぼーっとしてると、覆いかぶさったカイル様が、呆けた私の顔を覗き込んで、心配そうに頰や頭を撫でてくれているのを理解するのに少々時間がかかって、ハッとした時には、チルちゃん達の後始末は終わっていた。

〈や~な魔素返してくれるよネェ、ボク達のコハにさぁ?〉
〈ほーんと、どうしてクレヨウカ〉

 カイル様が身を起こし、体が軽くなったところで宙に浮いた。
 軽くなり過ぎた?
 カイル様にお姫様抱っこでソファまで運ばれたんだと気付いた時には、二人並んでソファに座っていた。

「で? さっきのは何だい?」
〈ギルベスダンとやらの、コハの持ってる瓶の気配を辿って、チルがアッチの消えた瓶の気配を探知サーチしてるのを呪詛返しの要領デ、ヨクナイ魔素を送り込んできたみたいダネ〉
〈正しく呪詛。ボク達のコハにヨクモやってくれた・ユルサナイ〉

 明日の、追撃部隊の到着を待たずに殴り込みをかければヨカッタとか、コッチから冥気ヘルノデモ贈ってヤロウカとか、物騒な事を言うチルちゃん達。

「だ、ダメよ、ふたりとも。この魔族瓶のレシピを入手解明するまでは、廃人にしたりお命頂戴する訳にはいかないのよ?」
〈うん。ソウダネ〉
〈解ってるヨー。言ってるダケ。ストレスは貯めちゃダメ、発散しないとネ?〉

「うん、ソダネ。ふたりが分別と理性ある子達で良かったよ。助けてくれてありがとうね。凄い連携プレイだったね。偉いよ」

 ふたりを労うと、隣に座るカイル様に向き直り。

「カイルロッド様、ありがとうございました。咄嗟にソファ裏まで運んでくださって、更に上に被さって庇ってくださるなんて、カイルロッド様こそ、お怪我はありませんか?」
「うん。大丈夫かな。コハクちゃんが無事でよかったよ」








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