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魔族の小瓶 ── 私の手にはおえそうにありません!?

じゅうに。『カイル様の顔を見て青褪める魔道研究協会のギルドマスター』──人の事、プラチナさんだとか、子供だとか──舐められてます

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     ✡

 カイル様の顔を見て青褪める魔道研究協会マギクスラボラトリギルドのギルドマスター。

「彼女は、我が公爵家の大切な客人なんだ、ぜひ、失礼のないように頼みたいね」
「は、も、もも、申し訳ありません」

 領主様のご令息、というだけのことじゃないのかな? ずいぶん恐縮してる。

「じゃあ、最初から仕切り直ししますね。クリステルパルスシティ支部から参りました、はな楽羅ささら琥珀こはくと申します。よろしくお願いしますね」
「は、はい、こちらへは、どういったご用件でしょうか?」
「錬金術や魔族の召喚使役に詳しい方を紹介願えませんか?」
「錬金術、と、言われますと? どういった事をお望みですかな?」
「私が望んでる訳じゃないんですけど⋯⋯ こう、瓶とかコップとか壺とかに、魔族を定着させる、とか、アイテムそのものが魔族になると言った錬金術ってあります?」

 ザワッ

 聞き耳を立てていた、まわりの魔道士たちも、明らかに狼狽えた。
 やっぱり、なんか知ってる?

「どこでそれを⋯⋯ いや、さすがはプラチナ級という事ですか。ピンポイントでこちらのラボにいらっしゃるとは⋯⋯」
「いや、だから、私はプラチナさんでは⋯⋯」
「コハクちゃん、後でよぅく言い聞かせておくから、我慢してくれるかな?」
「はい」

 カイル様の取りなしで、話が進みそうだし、私をプラチナカードを持ったお子様扱いは気分よくないけど、実際子供だし、ここは我慢しよう。

 でも、プラチナ、プラチナと、先月までのブロンズカードだったら赤銅カッパークラスって馬鹿にするのかな?

「ごめんね。そういう、肩書でしか人を見られない者はどこにでも居るんだよ。後でお灸を据えておくからね?」
「お手柔らかに?」
「どうしようかな。でも、コハクちゃん、先月までブロンズカードの赤銅カッパークラス(初級)だったの?」

 カウンターの遮音魔法を上回る感知魔法でみんな聞き耳立ててるので、まわりに聴こえないようひそひそ声にした上で、チルちゃんに、防護領域セイフティエリアの内外の空気を一時遮断してもらって(真空による音波の遮断)話をする。

「内緒ですよ。また、見下されそうだから。今月、完了したクエストの報酬が、過去2年間の三倍だったんです」
「⋯⋯それはすごいね。でも、報酬額だけではランクインも昇級もしないだろう? 確か。何かに貢献しないと」
「──たまたま、ラスボスが凄かっただけです」
「らすぼす?」

 ギルドマスターが奥へ案内してくれる。階段を下り、地下の研究室へ向かう。

「こちらのラボは、錬金術、特に生命に関する禁呪と紙一重の実験を行っていました」
「紙一重? 法には触れてないだろうね?」
「も、もも、勿論ですよ、カイルロッド様」

 マギ・ギルマスの顔色が悪い。本当にギリギリの事やってたんだろうな。ちゃんと見せてくれるのかな?

 地下の研究室は、若干空気が悪く、どこもかしこも黒と紫の、目も悪くなりそうに照明も暗い、陰気な場所だった。







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