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魔族の小瓶 ── 私の手にはおえそうにありません!?

よん。『年齢的に、私と変わらないくらいかな? ちょっと上かな? ソバカスとくりっとした新緑色の瞳が活発な印象の少年』──公爵家のご子息かな?

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      📚

 年齢的に、私と変わらないくらいかな? ちょっと上かな? ソバカスとくりっとした新緑色の瞳が活発な印象の少年。
 多分、貴族かな? 着てる服はシンプルだけど上質だし。

「⋯⋯もしかして、テュバリス公爵のご令息?」
「そうだけど、君は?」

 まあ、公爵家の正面玄関ではなく、通用門と言われる、出入りの業者や使用人が出入りする所に立っている私は、ちょっと変かもしれないけど、訪問者と推測されるだろうし、なんで裏口を使うのかは知らないけど、貴族子息っぽい少年で、勝手知ったるって感じで入ろうとしていれば、大体の予想はできるよね。お互いに。

「えっとね、クリステルパルスシティの冒険者ハンター協会ギルドから来ました、はな楽羅ささら琥珀こはくと申します」

 一応、プラチナカードを見せるので、上級冒険者ハイクラスハンターの方で名乗ってみる。

「すごい! 君、僕と変わらない歳に見えるのに、プラチナなの? その頭と肩の子達、見た目によらず、ずいぶんと魔力高そうだけど、君、テイマーなの?」
「ううん。スキルも職階位クラスも、テイマーはついてないの。この子達は、使役獣じゃなくて、お友達なの」
「凄いね、父様か、兄様にご用?」

 すっかり信用したのか、本を片手にまとめて持ち、空いた手で私の腕を摑み、門をくぐって邸内へと案内してくれる。
 
 い、いいのかな?

「ここらで活動しようと思って、領主様にご挨拶を⋯⋯」
「凄いね、活動前にちゃんと父さ⋯⋯父上に挨拶に来る心がけの人あまりいないんだよ?」

 本当は違うんだけど、まあ、それも目的の一つではあるよね。
 令嬢を解放するべくあれこれとやるかもしれないし、その事でなにかご迷惑をかけることもあるかもしれない。また、事前に知らせておけば、叱られなかったり便宜を図ってもらえるかもしれない。挨拶は必要だし大切だよね。
 事前に挨拶する人あまりいないと言ってたけど、少しはいるんだね。
 今後も、大きな事をやりそうだったりあちこち調べ回らないといけないクエストの場合は、ちゃんと事前にお伺いをたてるよう気をつけよう。

「父様~、兄様~、凄いですよ」
「い、いや、あまり大袈裟には⋯⋯」

 大きな元気な声で、公爵様とお兄さんを呼びながら、やしきの中をずんずん進んていく。

「何がすごいって?」
「あ、大兄様、こちらの方が、領地内で活動をするからってわざわざ挨拶に見えられたんです。プラチナカードの上級冒険者ハイクラスハンターですよ、僕と変わらなそうなのに」

 あ、あまり大々的に宣伝しないでください。条件付きなんですよ。詐称レベルです。公爵様とご子息達だけに明かすつもりだったのに、大声で紹介されたら、使用人やお客様にまで聞こえるではないの。

 胡散臭いと思ったのか、面白いと思ったのか、お兄さんは、ニッと口の端を歪めて微笑み、私達を公爵家の執務室に通してくださいました。








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