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今度こそ、ソロデビューです!?
にじゅういち。『子供を持ってたから、気が立ってるのか⋯⋯』──ウサリス(仮)のお母さんは、4匹の子持ちでした
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💎
子供を持ってたから、気が立ってるのか⋯⋯
どうしようかな。とりあえず、帽子だけでも回収しとこうかな。
私がそう思ったのが伝わったみたいで、「任せル」と言ってチットちゃんが体をにゅーっと伸ばして、とりもちみたいに帽子をキャッチし、そのまましゅるしゅると縮みながら帰ってくる。
垂れたリボンが一瞬お母さんに触れると「フッ‼」と怒ったけど、子供から離れる気はないようで、それだけだった。
ただ、子供には垂れ下がったリボンが遊具に見えたのか、ひとりがリボンに飛びつく。
「ありゃりゃ?」
一人飛びつくと、二人目三人目と飛びついて、4匹ともブラブラ下がってついて来た。
これにはお母さんも慌てる。
けど、留め具代わりだったブローチがないので、4匹の重さに耐えず、リボンは帽子から取れて、ボタタッと子供ごと落下した。
なんとか、帽子ゲット! すぐ取り返されないように、ポシェットに収納した。お母さんが子供を一匹づつ咥えて集めるのを横目に、今度はチルちゃんが、触手のように体の一部を伸ばしてリボンを回収。これもすぐに収納。
探知スキル共有で繋がってるままだったので、私が帽子だけでも回収したいと思ったのが即ふたりに通じたみたいで、便利だけど、思っただけで倫理に反するような事をふと思っても行動に移されそうなので(妖精には人間の法律や道徳観は解らないかも)、スキル共有中は思考にも注意しないといけないのかもしれないなと思った。
〈仮主よ。それらまで、アイテム化して連れていくつもりではなかろうな?〉
チルちゃんが埋めるように抱える瓶から、ケルピーちゃんが呆れ声で訊いてきた。
「えっ、そ、そんな事考えてないよ?」
〈ウソだ、可愛い♡ 触りたい・思ってる〉
〈可愛い、一匹くらい持って帰っても・考えた、一瞬〉
「ち、違うもん、ちょっと思うのと、明確に意志があってそうしようと考えるのとは違うもん。
第一、生き物をアイテム化って何よ? そんな事できる訳ないでしょ?」
〈自覚が無いのか? 天然とはこの事か⋯⋯〉
なんだろう、ケルピーちゃん、今、バカにした?
〈サラピー⋯⋯〉ボソッ
まだなんか言ってるケルピーちゃんはほっといて、暗くなる前にブローチを探さなきゃ。
子供たちをお腹の下に隠そうとウゴウゴするお母さんのそばに、羽根とお尻が囓られて無くなってる火焰トンボが落ちてる。死んでるので当然、燃えていない。
「虫も食べるのね」
雑食性なのかな。木の実、キノコ、昆虫。
ピョコッ
再び、お母さんのお腹の下から、チビちゃんが顔を出した。
鼻をスンスン鳴らし、食べかけの火焰トンボを見つけると、シャクシャクシャクと食べる。そしてサラピーちゃんみたいに、炎のゲップをした。
「今の見た? ゲップが炎だったよ?」
〈そういう生態の生き物なのだろう〉
野生動物のようで、実は魔獣なのかな。
「あ、ブローチ!!」
チビちゃんが食べた火焰トンボの下に、ブローチが落ちていた。
私があれも回収しないと!! 回収したらクエスト達成だ! と思ったのが伝わったのだろう、いつもはゆるゆる動くチルちゃんが素早く、体の一部を伸ばしてブローチを回収、怒って鋭い前歯で齧り付こうとしたお母さんを、ゴムシートみたいに広がったチットちゃんが防ぐ。
見事な連携プレイで、私は受け取って速ポシェットに突っ込むと、
「お邪魔しました~!!」
お母さんが怒りだす前に脱兎の勢いでその場を離れた。
ギルドに無事帰れたら、クエスト達成だぁ♬
子供を持ってたから、気が立ってるのか⋯⋯
どうしようかな。とりあえず、帽子だけでも回収しとこうかな。
私がそう思ったのが伝わったみたいで、「任せル」と言ってチットちゃんが体をにゅーっと伸ばして、とりもちみたいに帽子をキャッチし、そのまましゅるしゅると縮みながら帰ってくる。
垂れたリボンが一瞬お母さんに触れると「フッ‼」と怒ったけど、子供から離れる気はないようで、それだけだった。
ただ、子供には垂れ下がったリボンが遊具に見えたのか、ひとりがリボンに飛びつく。
「ありゃりゃ?」
一人飛びつくと、二人目三人目と飛びついて、4匹ともブラブラ下がってついて来た。
これにはお母さんも慌てる。
けど、留め具代わりだったブローチがないので、4匹の重さに耐えず、リボンは帽子から取れて、ボタタッと子供ごと落下した。
なんとか、帽子ゲット! すぐ取り返されないように、ポシェットに収納した。お母さんが子供を一匹づつ咥えて集めるのを横目に、今度はチルちゃんが、触手のように体の一部を伸ばしてリボンを回収。これもすぐに収納。
探知スキル共有で繋がってるままだったので、私が帽子だけでも回収したいと思ったのが即ふたりに通じたみたいで、便利だけど、思っただけで倫理に反するような事をふと思っても行動に移されそうなので(妖精には人間の法律や道徳観は解らないかも)、スキル共有中は思考にも注意しないといけないのかもしれないなと思った。
〈仮主よ。それらまで、アイテム化して連れていくつもりではなかろうな?〉
チルちゃんが埋めるように抱える瓶から、ケルピーちゃんが呆れ声で訊いてきた。
「えっ、そ、そんな事考えてないよ?」
〈ウソだ、可愛い♡ 触りたい・思ってる〉
〈可愛い、一匹くらい持って帰っても・考えた、一瞬〉
「ち、違うもん、ちょっと思うのと、明確に意志があってそうしようと考えるのとは違うもん。
第一、生き物をアイテム化って何よ? そんな事できる訳ないでしょ?」
〈自覚が無いのか? 天然とはこの事か⋯⋯〉
なんだろう、ケルピーちゃん、今、バカにした?
〈サラピー⋯⋯〉ボソッ
まだなんか言ってるケルピーちゃんはほっといて、暗くなる前にブローチを探さなきゃ。
子供たちをお腹の下に隠そうとウゴウゴするお母さんのそばに、羽根とお尻が囓られて無くなってる火焰トンボが落ちてる。死んでるので当然、燃えていない。
「虫も食べるのね」
雑食性なのかな。木の実、キノコ、昆虫。
ピョコッ
再び、お母さんのお腹の下から、チビちゃんが顔を出した。
鼻をスンスン鳴らし、食べかけの火焰トンボを見つけると、シャクシャクシャクと食べる。そしてサラピーちゃんみたいに、炎のゲップをした。
「今の見た? ゲップが炎だったよ?」
〈そういう生態の生き物なのだろう〉
野生動物のようで、実は魔獣なのかな。
「あ、ブローチ!!」
チビちゃんが食べた火焰トンボの下に、ブローチが落ちていた。
私があれも回収しないと!! 回収したらクエスト達成だ! と思ったのが伝わったのだろう、いつもはゆるゆる動くチルちゃんが素早く、体の一部を伸ばしてブローチを回収、怒って鋭い前歯で齧り付こうとしたお母さんを、ゴムシートみたいに広がったチットちゃんが防ぐ。
見事な連携プレイで、私は受け取って速ポシェットに突っ込むと、
「お邪魔しました~!!」
お母さんが怒りだす前に脱兎の勢いでその場を離れた。
ギルドに無事帰れたら、クエスト達成だぁ♬
応援ありがとうございます!
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