上 下
158 / 276
冥くて昏い地の底に眠るモノ

じゅうよん。『とにかく、ターレンさんは片っ端からアンデッドに『一輪の安らぎの花』を振って振って振りまくる』──単体づつ処理なので大変そうです

しおりを挟む
     🎭

 とにかく、ターレンさんは片っ端から、アンデッド達に『一輪の安らぎの花』を振って振って振りまくる。

「凄いわねぇ。ほとんど魔力は使わないで、このアイテムの力で浄化したるみたいよ?」
「そうなのか?」
「だって、まったく疲れないもの」
「そんな事あんのかね? コハクちゃん、あれと同じ花まだあるのか?」
「んーと、……ごめんなさい、ないみたい」

 ポーチの中に手を突っ込んで探してみるけど、何も手には当たらない。

「いやいや、あれ一本あるだけでも全然違うよ」

 ついでなので、サラピーちゃんを摑みだし、周りの溶岩流の熱を無効化してもらう。

〈オマエ、ヒト使い荒イナー?〉

 顎の下をこしょこしょ撫でてあげると喜んだみたいで、ジタバタ踊っている。可愛いなぁ。
 サラピーちゃんは炎の精霊なので、冥気ヘルノの影響を受けないように、熱を抜き取ってもらったあとはポーチに戻す。

〈オイ、扱イ、ヒドクネーカ?〉
「頑張ってくれたから、お家に帰ったら、御飯いっぱいあげるね?」
〈ゴハン……ぺっとジャネェシ。何喰ワス気ダ?〉

 トカゲの食べるものって、蝿とかコオロギとか虫よね? 身体大きいし、イグアナだったら、野菜や鶏のササミとかでもいいのかな?
 火蜥蜴っていうくらいだもの、宵風の森へ行く途中の街道にある、火の草原の火焰蠅ファイアフライが群生してるところに連れて行ったげたら、自分でとれるかな?
 サラピーちゃんと初めてのお散歩、楽しみだな♬

〈ナンカ、嫌ナ予感スルゼ〉

 先程のように歩き回らない分、フィルタさんもキールさんも、溶岩だった熱い鉱石を、魔力や闘気を載せた衝撃波で壊していくのはあっという間だった。

 熱を、魔力を失い、地割れに引っ込んでいく溶岩だった鉱石。
 動く死体リビングデッドも減っていき、あとは大本の古代神。

 いや、これ、どうしたらいいんでしょうね?

 と、みんなで眺めていたら、また、なげき始める。

 ぅわんわんわんわんわんわんゎん……

 こんな状況でなかったら、グラスハープみたいで、聴いてても悪くない音なんだけど、ヘルノクルム属性というだけあって、どこか気鬱な気分になってくる。ほんと、音は澄んでていいのに。

「あの音、止めないとだめみたいだね」
「……だな」

 黒いツヤピカの球体が震えて音を出す度に、死霊レイス動く死体リビングデッド、それらを食べるという屍喰鬼グールがどこからともなく湧き上がるので、キリがないのである。

「魔力が無限大って事は、音を出すのを止めるとか、ぶっ壊すとかしねぇと、延々と呼び出されるのか?」
「いずれこちらの体力が尽きて、付き合ってあげられなくなるわね」
 アネッタさんがそう言った途端、ピタッと嘆く音が止まった。

 んん? どーゆーこと?







しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

かくまい重蔵 《第1巻》

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:349pt お気に入り:1

【完結】無能に何か用ですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:447pt お気に入り:3,741

推しが尊過ぎてっ!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:48

僕は君が大嫌い

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:9

体質が変わったので

JUN
キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:199

処理中です...