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冥くて昏い地の底に眠るモノ
じゅうに。『取り敢えず、イチゴポーチから、ここに入る前に取り出した、ここで使えそうなアイテムを再び出してみる』──お祖母ちゃんの形見は凄い?
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取り敢えず、イチゴポーチから、ここに入る前に取り出した、ここで使えそうなアイテムを再び出してみる。
『女教皇の安らぎを与える杖』『一輪の安らぎの花』『悪霊封印マジカルステッキ』『癒しの夜光石の杖』
ここで何故か、コロンと大きな雪の結晶みたいなものが転がり出た。
「これ……」
「大ジャック・フロストに貰った結晶だね」
「そっか。コハクちゃんだけ涼しくしてられるのは、火蜥蜴や海馬、妖精くん達のおかげだけじゃなくて、雪だるまの結晶の加護もあったんだね」
「手が痛くなるほど冷たい訳でもないのに、ひんやりしてて触るの気持ちいいです」
魔法のアイテムに興味津々のギレウォッタさんは、ジャックさんの結晶にそっと触れてみて、「なんて涼しくなるのか! これが大ジャック・フロストの加護‼」と感動していた。
みんなが代わる代わる触る。「凉し~」と大好評である。
燃え盛る鉱石が噴き出して暑いのに、背後から嫌~な冷気が漂うと思って振り返ると、熔岩の盛り出ていない隙間から、お腹から上しかない動く死体が肘を使って匍匐前進して来ていた。
「いっ!! やァ! 亡くなった人には申し訳ないけど…… 気持ち悪いぃ」
「コハクちゃん、律儀に謝らなくても、大抵の人はアレ見て気持ち悪いと思うから」
ラジエさんもターレンさんも、アネッタさんに頷いて同意する。
私は『一輪の安らぎの花』を青褪めたターレンさんに握らせた。
「これ!あれに向かって振ってください。安らかに眠ってくださいってお願いしながら!」
更にラジエさんに『悪霊封印マジカルステッキ』を持たせて、
「いなくなってってお願いしてください!!」
「よっしゃ、任せろ!」
と頼むと、ノリノリで、ラジエさんは「どっかいけ~」と振る。すぐにステッキのチャーム部分の六芒星が淡く光りだす。
「おお? ラジエ使えるのか? それ」
ギレウォッタさんがやりたそうである。
六芒星からキラキラした光の粒──ギレウォッタさんいわく聖属性の魔素らしい──が溢れだし、動く死体を包み込む。
その姿が朧げになり、これは浄化出来そう!? とみんなが期待した時、「冥府へ帰れ!」とラジエさんが怒鳴った瞬間にキラキラは弾け飛び、リビングデッドは元気になって匍匐前進のスピードが上がった。
「あ、あれ?」
目が点になるラジエさん。
ギレウォッタさんが震えながら、怒気を噴出させていた。チルちゃんの【鑑定】は優秀だなぁ。感情が色で見えるんだね⋯⋯
「あ、阿呆か、ラジエ!! 今、この場こそ冥気に満たされて冥府と変わりない状態だろうが! せっかくどこかへ行きかけてたのにここへ召喚してどうする!!」
取り敢えず、イチゴポーチから、ここに入る前に取り出した、ここで使えそうなアイテムを再び出してみる。
『女教皇の安らぎを与える杖』『一輪の安らぎの花』『悪霊封印マジカルステッキ』『癒しの夜光石の杖』
ここで何故か、コロンと大きな雪の結晶みたいなものが転がり出た。
「これ……」
「大ジャック・フロストに貰った結晶だね」
「そっか。コハクちゃんだけ涼しくしてられるのは、火蜥蜴や海馬、妖精くん達のおかげだけじゃなくて、雪だるまの結晶の加護もあったんだね」
「手が痛くなるほど冷たい訳でもないのに、ひんやりしてて触るの気持ちいいです」
魔法のアイテムに興味津々のギレウォッタさんは、ジャックさんの結晶にそっと触れてみて、「なんて涼しくなるのか! これが大ジャック・フロストの加護‼」と感動していた。
みんなが代わる代わる触る。「凉し~」と大好評である。
燃え盛る鉱石が噴き出して暑いのに、背後から嫌~な冷気が漂うと思って振り返ると、熔岩の盛り出ていない隙間から、お腹から上しかない動く死体が肘を使って匍匐前進して来ていた。
「いっ!! やァ! 亡くなった人には申し訳ないけど…… 気持ち悪いぃ」
「コハクちゃん、律儀に謝らなくても、大抵の人はアレ見て気持ち悪いと思うから」
ラジエさんもターレンさんも、アネッタさんに頷いて同意する。
私は『一輪の安らぎの花』を青褪めたターレンさんに握らせた。
「これ!あれに向かって振ってください。安らかに眠ってくださいってお願いしながら!」
更にラジエさんに『悪霊封印マジカルステッキ』を持たせて、
「いなくなってってお願いしてください!!」
「よっしゃ、任せろ!」
と頼むと、ノリノリで、ラジエさんは「どっかいけ~」と振る。すぐにステッキのチャーム部分の六芒星が淡く光りだす。
「おお? ラジエ使えるのか? それ」
ギレウォッタさんがやりたそうである。
六芒星からキラキラした光の粒──ギレウォッタさんいわく聖属性の魔素らしい──が溢れだし、動く死体を包み込む。
その姿が朧げになり、これは浄化出来そう!? とみんなが期待した時、「冥府へ帰れ!」とラジエさんが怒鳴った瞬間にキラキラは弾け飛び、リビングデッドは元気になって匍匐前進のスピードが上がった。
「あ、あれ?」
目が点になるラジエさん。
ギレウォッタさんが震えながら、怒気を噴出させていた。チルちゃんの【鑑定】は優秀だなぁ。感情が色で見えるんだね⋯⋯
「あ、阿呆か、ラジエ!! 今、この場こそ冥気に満たされて冥府と変わりない状態だろうが! せっかくどこかへ行きかけてたのにここへ召喚してどうする!!」
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