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冥くて昏い地の底に眠るモノ
じゅういち。『黒くてツヤピカの鉱石の球体は、時折小刻みに震えて、やや音階が低めのグラスハープのような音を響かせた』──暫定古代神の球体は嘆く
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🔮
黒くてツヤピカの鉱石の球体は、時折小刻みに震えて、やや音階が低めのグラスハープのような音を響かせた。
「なんか、胸に響く、哀しい音ね?」
「属性が昏だから、かな? 昏いという言葉には、夕暮れや夜闇、目が見えないという以外にも、迷うとか、道理を失うとか、眠る、休むって意味もあるからね」
「冥も冥府のって以外に、同じ暗いって意味だろ?」
「そうだね。同じく道理に冥く愚かなって意味や目を瞑るって意味もあるから、アレは、何かを嘆いているのかもしれないね」
「レベルは判らないんですが、称号を三つ持ってました【昏き者】【嘆く者】【求む者】です」
「やな称号だな?」
「昏き者は、そのまま冥府で何も見えず眠るって意味かな?」
「嘆く者も、この音が嘆きの精霊的な叫びなのか、聴けば聴くほどメンタル下がってきてる気がするね」
「なにを求めてるのか、訊くの怖い……」
ターレンさんは、自身の使役する精霊達が姿を消して、精霊術士としてほぼ手段を失った事で弱気になっているみたい。
「ここから出してくれ、だったら叶った?」
「お前らの命をくれ、とかだったら?」
「何を、じゃなくて、何でも手当たりしだいにただ欲しいだけとか」
「七つの大罪【強欲】じゃあるまいし」
「よくわからないけど、この子、泣いてますよね?」
「この子?」✕6
この黒くて綺麗な子は、嘆く者というだけあって、泣いている。おそらくずっと。どうしたら、泣き止むんだろう。
襲ってくるでなし、ただ、泣いてるだけ。
冥の気を噴出するから、まわりが冥界みたいになって大変だけど、この子が直接私達を襲ってるわけじゃない。
ワンワンワンとあたりに響く音は、子供が泣いているような音だけど、でも、子を失くした親が嘆いているようにも聴こえる。
「子を失くした親?」
「同じ嘆きの精霊でも、子を失くした親や家族を失った子供、恋人を失った女性など、泣き方も違いますよね?」
「……」(嘆きの精霊に違いがあったのか?)
この子は、何か耐え難い喪失感に嘆いてるように感じる。
「子供が泣いてるみたいに聴こえるんですけど、聴いてると、子供や大切なペットを亡くした人のような泣き方なんですよねぇ」
(判らん)✕6
突然、磨き上げられた黒曜石のような球体は、激しく震え出し、この空間に反射して、耳も頭も痛くなるほどに響いてくる。
また、地震が起こり、何本も走った地割れから、火柱が立つ。
「わわっまたかぁ?」
黒い球体の古代神(冥・昏属性)が音量を上げるたびに、火柱が増えていく。
迫る熱気にみんなは再び汗だくになっていく。でも⋯⋯
ケルピーちゃんやサラピーちゃんの恩恵かな?
何故か、私は汗をかくほど熱くはなかった──
黒くてツヤピカの鉱石の球体は、時折小刻みに震えて、やや音階が低めのグラスハープのような音を響かせた。
「なんか、胸に響く、哀しい音ね?」
「属性が昏だから、かな? 昏いという言葉には、夕暮れや夜闇、目が見えないという以外にも、迷うとか、道理を失うとか、眠る、休むって意味もあるからね」
「冥も冥府のって以外に、同じ暗いって意味だろ?」
「そうだね。同じく道理に冥く愚かなって意味や目を瞑るって意味もあるから、アレは、何かを嘆いているのかもしれないね」
「レベルは判らないんですが、称号を三つ持ってました【昏き者】【嘆く者】【求む者】です」
「やな称号だな?」
「昏き者は、そのまま冥府で何も見えず眠るって意味かな?」
「嘆く者も、この音が嘆きの精霊的な叫びなのか、聴けば聴くほどメンタル下がってきてる気がするね」
「なにを求めてるのか、訊くの怖い……」
ターレンさんは、自身の使役する精霊達が姿を消して、精霊術士としてほぼ手段を失った事で弱気になっているみたい。
「ここから出してくれ、だったら叶った?」
「お前らの命をくれ、とかだったら?」
「何を、じゃなくて、何でも手当たりしだいにただ欲しいだけとか」
「七つの大罪【強欲】じゃあるまいし」
「よくわからないけど、この子、泣いてますよね?」
「この子?」✕6
この黒くて綺麗な子は、嘆く者というだけあって、泣いている。おそらくずっと。どうしたら、泣き止むんだろう。
襲ってくるでなし、ただ、泣いてるだけ。
冥の気を噴出するから、まわりが冥界みたいになって大変だけど、この子が直接私達を襲ってるわけじゃない。
ワンワンワンとあたりに響く音は、子供が泣いているような音だけど、でも、子を失くした親が嘆いているようにも聴こえる。
「子を失くした親?」
「同じ嘆きの精霊でも、子を失くした親や家族を失った子供、恋人を失った女性など、泣き方も違いますよね?」
「……」(嘆きの精霊に違いがあったのか?)
この子は、何か耐え難い喪失感に嘆いてるように感じる。
「子供が泣いてるみたいに聴こえるんですけど、聴いてると、子供や大切なペットを亡くした人のような泣き方なんですよねぇ」
(判らん)✕6
突然、磨き上げられた黒曜石のような球体は、激しく震え出し、この空間に反射して、耳も頭も痛くなるほどに響いてくる。
また、地震が起こり、何本も走った地割れから、火柱が立つ。
「わわっまたかぁ?」
黒い球体の古代神(冥・昏属性)が音量を上げるたびに、火柱が増えていく。
迫る熱気にみんなは再び汗だくになっていく。でも⋯⋯
ケルピーちゃんやサラピーちゃんの恩恵かな?
何故か、私は汗をかくほど熱くはなかった──
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