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廃鉱山の中は、アンデッドだらけ?
にじゅいち。『そんなこんなで、私は神殿の人達にはあまりいい印象はない』──神聖術は大変なものだと解ったし、負担が大きいとも知った上でもデス
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✙
そんなこんなで、私は実は大きな神殿の人達には、あまりいい印象はないのだ。
クリスと一緒に冒険するようになって、神聖魔法はとてつもなく大変なものだっていうのは解ったし、術士に負担が大きいのも知った。
それでも、年収の三倍ものお金を出せって、治療する前に言うかな。
とりあえず治療してもらって、その後、みんなで感謝しながら、こつこつ分割払いでお返しするなら、お祖母ちゃんもあそこまで怒らなかったと思う。タイミングと言い方だよね。
恐らくアネッタさんも似たような経験があるのかな。
「そこまで胸糞悪い話じゃないけど、そう変わらないわね」
笑いながら答えてくれて、広場に辿り着いたとたん、振り返って坑道を睨みつけ、アレらが姿を見せたすぐに攻撃に転じれるよう、火炎魔法を待機詠唱する。
ターレンさんも、火の精霊を喚ぶけれど、この辺りにいる精霊は瘴気や冥気に汚染していて、なかなか言うことを聞いてくれないみたいだった。
「ターレン、無理はするな。その精霊達まで敵に回ったら、みな無事では済まないかもしれないから、外に出たときの為に魔力は温存しておいてくれ」
ここまでついてきたのに、精霊術でほぼ役に立てないと、肩を落とすターレンさん。
「そんな事ないわよ。あなたが飛翔魔法を何度も、魔力枯渇で昏倒するまでかけ続けてくれたから、私は地底に激突して死なずに済んだのよ」
アネッタさんの励ましと感謝に目に涙を溜めるターレンさん。そうなふうに言ってもらえたら嬉しいよね。
私も、お祖母ちゃんの花で灯りをともしたり、作り置きのおやつを提供したりはしてても、戦闘面ではちっとも役に立ててないし、そもそも私が大穴に落ちたりしなければ、キールさんが床に剣を刺して踏ん張ったりする事もなかったし、あの一撃がなければ、床は抜けなかったかもしれない。
みんなの足を引っ張ってるのは私じゃないのかな。
──お前には、才能はない。
目をそらし、苦々しい表情でそう言って背を向けたエドガー。
──この先は、君とは一緒に行けない
今まさに棄てられる私よりもつらそうな、泣きそうに口元を歪めてひどい顔色でそう伝えたアレフ。
私、ここでもみんなの足を引っ張ってるよ。
「コハク、ボーッとするな。ずっと持っていて腕も怠いだろうし疲れてるだろうが、花を掲げる位置をもう少し高くしてくれ」
そうだ、今は、泣き言をいってる場合じゃない。せめてみんなの邪魔にならないように、少しでも負担を軽くするように、ちょっとでも役に立たなきゃ。
両手で『生命を宿した大輪の花』を高く掲げ、重いものを引きずるような嫌な音のする方をキッと睨んだ。
そんなこんなで、私は実は大きな神殿の人達には、あまりいい印象はないのだ。
クリスと一緒に冒険するようになって、神聖魔法はとてつもなく大変なものだっていうのは解ったし、術士に負担が大きいのも知った。
それでも、年収の三倍ものお金を出せって、治療する前に言うかな。
とりあえず治療してもらって、その後、みんなで感謝しながら、こつこつ分割払いでお返しするなら、お祖母ちゃんもあそこまで怒らなかったと思う。タイミングと言い方だよね。
恐らくアネッタさんも似たような経験があるのかな。
「そこまで胸糞悪い話じゃないけど、そう変わらないわね」
笑いながら答えてくれて、広場に辿り着いたとたん、振り返って坑道を睨みつけ、アレらが姿を見せたすぐに攻撃に転じれるよう、火炎魔法を待機詠唱する。
ターレンさんも、火の精霊を喚ぶけれど、この辺りにいる精霊は瘴気や冥気に汚染していて、なかなか言うことを聞いてくれないみたいだった。
「ターレン、無理はするな。その精霊達まで敵に回ったら、みな無事では済まないかもしれないから、外に出たときの為に魔力は温存しておいてくれ」
ここまでついてきたのに、精霊術でほぼ役に立てないと、肩を落とすターレンさん。
「そんな事ないわよ。あなたが飛翔魔法を何度も、魔力枯渇で昏倒するまでかけ続けてくれたから、私は地底に激突して死なずに済んだのよ」
アネッタさんの励ましと感謝に目に涙を溜めるターレンさん。そうなふうに言ってもらえたら嬉しいよね。
私も、お祖母ちゃんの花で灯りをともしたり、作り置きのおやつを提供したりはしてても、戦闘面ではちっとも役に立ててないし、そもそも私が大穴に落ちたりしなければ、キールさんが床に剣を刺して踏ん張ったりする事もなかったし、あの一撃がなければ、床は抜けなかったかもしれない。
みんなの足を引っ張ってるのは私じゃないのかな。
──お前には、才能はない。
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私、ここでもみんなの足を引っ張ってるよ。
「コハク、ボーッとするな。ずっと持っていて腕も怠いだろうし疲れてるだろうが、花を掲げる位置をもう少し高くしてくれ」
そうだ、今は、泣き言をいってる場合じゃない。せめてみんなの邪魔にならないように、少しでも負担を軽くするように、ちょっとでも役に立たなきゃ。
両手で『生命を宿した大輪の花』を高く掲げ、重いものを引きずるような嫌な音のする方をキッと睨んだ。
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