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廃鉱山の中は、アンデッドだらけ?

なな。『パラパラと、石壁や小石が剥離して落ちるような音が、だんだん増えていく』──廃墟のような崩れた床に取り縋って、どうするかを迷っています

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     ⛏️

 パラパラと、石壁や小石が剥離して落ちるような音が、だんだん増えていく。

「ラジエ、譲り合っている時間的猶予はない。そこもじきに崩れそうだ。行ってくれ」

 ため息を吐き、ラジエさんが、ナイフを抜いた跡に、ここにあった木箱から取り出していたのだろう金属の棒をねじ込み、背負った背嚢からロープを出して括りくける。

「万が一、届かなかった場合や、俺が飛んだあとここが崩れた時の保険だ」

 一本は自身の腰に。一本はギレウォッタさんに。

 そして更に長いのをギレウォッタさんに繋げると、反対の端を壁の金属棒ではなく、フィンタさんに投げて寄越した。

 もし、床が抜けたら、壁の棒とフィルタさんで、ギレウォッタさんを支えるのだろう。

「じゃ、行くぞ?」

 背嚢の掛け紐を短くして身体に密着させてぶれないように調整し、身を沈めて、飛ぶための力を溜める。

 手に汗握る瞬間だ。

 みんな固唾をのんで見守る。

 大きくしなるようにラジエさんが跳躍し、人ってあんなに跳べるんだ、と思うほどの距離を跳んだ。

 

 

 ラジエさんの足は、ちゃんと私達と別の坑道の入り口に届いた。

 筈だった。





 片足が届き、身体が僅かに届かず、落下してゆく。

 が、腰の鞭に似た金属の武器を振って、坑道の何かに引っ掛け、底の抜けた大穴にぶら下がる。
 そのまま壁を蹴り歩くようにして登り、なんとか坑道に這い上がった。

「ラジエ、大丈夫か?」
「あ、あぁ⋯⋯ 大昔のランプが掛けられた太いフックがあったんだ。うまくコレが引っ掛かってくれて助かったよ」
「ランプ? 灯りはつくのか?」

 フィルタさんの問いかけに、しばらくゴゾゴゾ何かをしていたラジエさん。一瞬、何か焦げるような臭いはしたけど、明るくはならない。

「⋯⋯つかないな。いや、熱いし獣脂の燃える匂いはするから、火はついているのに、冥気ヘルノの中では灯りにならないのかもな」
「⋯⋯と言うことは、ふた手に別れると、そっちは明かりがない状態で手探りか」
「待ってください。ふた手に別れると結界から出てしまうのに、無理があるのでは?」

 フィルタさんの袖口を引いて、ふた手に別れようとするみんなを引き止める。

「そうか。あまり普通にしてたからつい忘れそうになるな。明かりがないだけでなく、君からあまり離れると、活動できなくなるんだった」

 フィルタさんは、壁に張り付くように立っていたギレウォッタさんへ向き直り、
「と言うことだギレウォッタ。そちらが近いのだろうが、こっちへ来い。ロープは離さないから、安心して跳んで来い。
 ラジエも、悪いが、もう一度こちらへ来てもらう。ギレウォッタ、ラジエのロープの端を持ってこちらへ。その後、ラジエもロープで吊ってこちらへ渡ってもらう」
難しい顔で、彼らの取るべき行動を指示する。

 やはりみんな揃って行かなきゃね。

「下層へ降りる道があるのはラジエの方なのに?」
「そうだが、君らと同じ事を、コハクにはさせられないだろう?」

 ここに来て、再びみんなの足を引っ張ってます。ごめんなさい。

「まあ、こっちが正解とも限らねぇしな。わかった。ギレウォッタさんが無事渡れたら、俺もそちらへ行くよ」










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