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廃鉱山の中は、アンデッドだらけ?

いち。『ポーチから波濤の郷で摘んだ香草を練り混んだクッキーを出してみんなに配る』──アレフやクリスの好物の、私のお手製のアレである

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     🌿

 私のポーチから、波濤はとう族の郷で摘んだ香草を練り混んだクッキー(郷についた日に夕飯の後で焼いといたの)を出し、みんなに配る。

 みな、逆さに伏せた手押し車や木箱に各自座って、くつろぎ始める。

 とは言っても、さすが上級冒険者ハイクラスハンター、アレフ達と違い、本当には寛いでいない。
 身体を休め、飲食をして歓談してはいても、周りの警戒は怠らない。

 物音がすると、全員で目だけでも確認する。凄いのは、みな一斉に、なのである。
 私が穴に落ちた時に慌てて当てたか何かで、壁に立てかけてあったラジエさんの背嚢がゆはいのう(背負袋)っくり崩れただけだったけど。

 キールさんは肩越しに振り返り、フィルタさんは腰の剣を確認しつつ目だけで様子を確認し、ラジエさんは腰に提げていた鞭のような武器に手を当てつつ振り返る。

 ターレンさんやアネッタさんは、元々魔術で索敵サーチしていたので本当の意味で確認しただけ、ギレウォッタさんは落ち着いたもので、眉が少し動いただけで、目は手元を見たままだった。

「コハクちゃんの焼菓子クッキー美味しいわね」
「疲れてるからか、練りこまれた香草のせいか、甘さが気にならないな」
「気のせいかな、美味しいし、疲れが取れるような気がするよ」
「アレフもクリスも、いつも元気になるって言ってくれてました。
 この生地に使った香草は、精神の疲れや緊張を和らげる効果があるんですよ。もちろん、薬や魔法ほどではないですけど」

 男性陣にも概ね好評で嬉しい。郷に帰ったら、もっと焼こう。キールさんの手作りの石組み竈でも、クッキーなら生地も材料を混ぜるだけで簡単に焼けるもの。

「そういえば、コハクは、薬草学の技能スキルを持ってるんだっけ?」
「はい。まだLv2ですけど。調理もLv2なので、ハーブを使ったお菓子くらいなら失敗しませんよ」

 調合はないので、チルちゃんのように、お薬を作り出したりは出来ないけど、ハーブの薬効成分を配合して、お菓子やお茶に混ぜるくらいは、さすがに失敗したりしない。

「もしかしたら、低級回復薬ロー·ヒールポーションくらいの効果はあるんじゃないか? マジで疲れが和らいだ気がする」
「ええ、まさか、そこまでは⋯⋯」

 お祖母ちゃんがよく言ってた言葉「鰯の頭も信心から」──意味は、効果があると信じていれば、実際にはなくてもあるような気がして、心豊かにいられるとか、気持ちが作用して僅かながら効果が出るってハナシだったかな? ちょっとうろ覚えだけど、小さい頃まだ7つになる前の話だから。

「そうかなぁ。気がついてないだけで、生地を作っている時に、技能スキルが発動してるんじゃないかな?」
「ははは、まさかぁ」

 だったら、いつも食べてるアレフもクリスも、意外に食べるキャルだって、疲れがとれたりMP(魔法精神力マジカリティサイコス)が回復して、もっとバンバン魔法撃ったり出来たでしょうに。

 でも、そう言ってもらえたら、ちょっと嬉しい。やはり、郷に帰ったらもっとたくさん焼こう。








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