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冥界に一番近い山──楽園と地獄の釜
じゅういち。『お祖母さんのイチゴポーチから出てきたもの』──三本の杖はわかるけど、一輪の花はなんだろう?
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お祖母さんのイチゴポーチから出てきたもの。
──『女教皇の安らぎを与える杖』『一輪の安らぎの花』『悪霊封印マジカルステッキ』『癒しの夜光石の杖』
三本の杖はまだわかる。効能の説明は微妙だけど、確かにこの場で使えそうなアイテムだろうとは思う。
でも、この安らぎの花とやらは、ただの、大きな生花にしか見えない。
形状はネモフィラやヒナゲシ、キキョウ、に似て四枚の花びら。
中に白い雄しべ雌しべがあり、花びらの質感はカワヂシャやコテングクワガタ、北方ヒナゲシにかなり似てる。綺麗な薄スミレ色で、仄かに光っている。
長い茎に、細長い柔らかな葉も左右対称についていて、本当に、光るヒナゲシに似たキキョウである。
ただ、大きい。ネモフィラやカワヂシャ、コテングクワガタなら2㎝前後、ヒナゲシやキキョウでも4~5㎝。でも、この花は10㎝はある。
お祖母さんの造った造花⋯⋯と思われるけれど、柔らかさ、匂い、適度な湿り気、溢れる花粉。どう見ても生花である。
【目利き】MAXのアネッタさんや同じく【目利き】MAXで【鑑定】もLv7のギレウォッタさんが見ても、生花で、安らぎの力を秘めた花としか解らないらしい。
「安らぎの力というからには、この場合、死者の霊魂を鎮めるとか、冥府に返すとか眠らせるとかじゃないかしら?」
「杖みたいに振ればいいのかな? 花粉を振りまくとか花びらで触れるとかかな?」
「まあ、今までの感じからして、何らかの効果は期待できそうだね」
「本当に、素晴らしいお祖母様だったんだね。本当に惜しまれる⋯⋯ぜひ教えを請いたかった」
「ははは⋯⋯ そんなたいそうな」
とはいえ、便利な杖やポーチなんかを、若い頃とはいえいくつも作っていたというお祖母さんは、確かに凄いのだろう。私には、原理も工程もなんにもわかんない。
「黄泉帰り達が復活しない内に、少しだけでも調査しておこう。それで、上級聖職者が必要そうなら、時間はかかるが出直そう」
確かに、一度戻って次来た時に、また魔物の群れに襲われないとも限らない。原因を取り除かない限り、むしろその可能性が高いだろう。
お祖母さんのマジカルバトンが効果を効かせている今が調査のチャンスともいえた。
「火口付近から増殖してたが、空気は大丈夫だろうか? 火山性の有毒ガスが噴き出ていたら⋯⋯」
こういう時、アレフの加護って凄かったんだなと思うな⋯⋯
女神の加護【英雄】は、アレフのレベルが上がれば、猛毒の息を吐き出すドラゴンと闘っても、痺れ毒の霧の中を歩いても、影響なく過ごせるようになるという。
「そう言えば、コハクちゃんのパーティリーダーは、女神の加護を持ってたんだっけ?」
「はい。ゆくゆくは勇者候補になれると、王様も期待してるみたいです」
「そうなんだ。あの坊やがねぇ」
アネッタさんやギレウォッタさんから見たら、アレフも坊やなのね⋯⋯
お祖母さんのイチゴポーチから出てきたもの。
──『女教皇の安らぎを与える杖』『一輪の安らぎの花』『悪霊封印マジカルステッキ』『癒しの夜光石の杖』
三本の杖はまだわかる。効能の説明は微妙だけど、確かにこの場で使えそうなアイテムだろうとは思う。
でも、この安らぎの花とやらは、ただの、大きな生花にしか見えない。
形状はネモフィラやヒナゲシ、キキョウ、に似て四枚の花びら。
中に白い雄しべ雌しべがあり、花びらの質感はカワヂシャやコテングクワガタ、北方ヒナゲシにかなり似てる。綺麗な薄スミレ色で、仄かに光っている。
長い茎に、細長い柔らかな葉も左右対称についていて、本当に、光るヒナゲシに似たキキョウである。
ただ、大きい。ネモフィラやカワヂシャ、コテングクワガタなら2㎝前後、ヒナゲシやキキョウでも4~5㎝。でも、この花は10㎝はある。
お祖母さんの造った造花⋯⋯と思われるけれど、柔らかさ、匂い、適度な湿り気、溢れる花粉。どう見ても生花である。
【目利き】MAXのアネッタさんや同じく【目利き】MAXで【鑑定】もLv7のギレウォッタさんが見ても、生花で、安らぎの力を秘めた花としか解らないらしい。
「安らぎの力というからには、この場合、死者の霊魂を鎮めるとか、冥府に返すとか眠らせるとかじゃないかしら?」
「杖みたいに振ればいいのかな? 花粉を振りまくとか花びらで触れるとかかな?」
「まあ、今までの感じからして、何らかの効果は期待できそうだね」
「本当に、素晴らしいお祖母様だったんだね。本当に惜しまれる⋯⋯ぜひ教えを請いたかった」
「ははは⋯⋯ そんなたいそうな」
とはいえ、便利な杖やポーチなんかを、若い頃とはいえいくつも作っていたというお祖母さんは、確かに凄いのだろう。私には、原理も工程もなんにもわかんない。
「黄泉帰り達が復活しない内に、少しだけでも調査しておこう。それで、上級聖職者が必要そうなら、時間はかかるが出直そう」
確かに、一度戻って次来た時に、また魔物の群れに襲われないとも限らない。原因を取り除かない限り、むしろその可能性が高いだろう。
お祖母さんのマジカルバトンが効果を効かせている今が調査のチャンスともいえた。
「火口付近から増殖してたが、空気は大丈夫だろうか? 火山性の有毒ガスが噴き出ていたら⋯⋯」
こういう時、アレフの加護って凄かったんだなと思うな⋯⋯
女神の加護【英雄】は、アレフのレベルが上がれば、猛毒の息を吐き出すドラゴンと闘っても、痺れ毒の霧の中を歩いても、影響なく過ごせるようになるという。
「そう言えば、コハクちゃんのパーティリーダーは、女神の加護を持ってたんだっけ?」
「はい。ゆくゆくは勇者候補になれると、王様も期待してるみたいです」
「そうなんだ。あの坊やがねぇ」
アネッタさんやギレウォッタさんから見たら、アレフも坊やなのね⋯⋯
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