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冥界に一番近い山──楽園と地獄の釜

はち。『火口のどこかと冥府とが繋がっているのか、冥気属性の妖精や魔物がどんどん出てくる』──私達が魔物のディナーでした?

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     🌋

 火口のどこかと冥府とが繋がっているのか、冥気ヘルノ属性の妖精や魔物がどんどん出てくる。
 きりがないので、みんな疲弊してきていて、このままでは、調査どころか、魔物に押し負けて全滅してしまうかもしれない。

「なんだって、急にこんなに大量発生してんだ?」
〈お前たちという、エサがあるからじゃないか?〉

 私の胸元で、静養中の海馬ケルピーちゃんが、さらっと怖いことを言う。

〈特に、魔道士のメスと魔剣士のオス。それからハーフエルフ。お前たちの霊魂、魔力は実に美味そうだし、肉を臓腑まで喰らえば、霊格が上がりそうだからな?〉
「け、ケケ……」
「ケケケ? コハクちゃん、変な笑い方しないで」
「ケケ、海馬ケルピーちゃん? 凄い怖いことを言わないで……」
「まあ、上位魔属とはいえ、別の面から見れば邪妖精だからな、今は召喚されて使役中だが、本来人間の味方ってわけじゃない」
〈ほざけ、半妖精 混ざり者 が。この中じゃ、お前が一番マズそうだぞ?〉

 馬の顔をした海馬ケルピーちゃんは、唇を捲りあげ歯を見せてニヒルに笑った。

〈なんのえにしもなくで遭えば敵となる事もあるだろうが、今は妖精王の杖シルフィールスタッフに喚ばれて契約に基づきここにいるのだ、契約が破棄されるまで、お前たちを喰らったりはせんよ。他の知らぬニンゲンとの見分けに、味見くらいはするかもしれぬがな?〉

 味見ってどんな? とは聞かないほうがいいかな。

〈仮主よ、その膨大なアイテムの中に、楽器はないか?〉
「楽器? どうして?」
冥の気ヘルノの者は、眠れぬ者たち。魔力を乗せて紡ぐみんの音色におとなしくなるだろう〉

 楽器はないけど、アレフ達を鼓舞するためのダンスに使った杖ならあるかな。

「鼓舞するダンスに使う杖? なあに?それ」

 アネッタさんが興味を惹かれたようだけど、もちろん振り返ってこちらを見る余裕なんかない。額に汗をかき、MPもかなり減ってきてる。

『奏でるHappy♡バトン』

 お祖母さんが若い頃使っていたという魔法の短杖バトンで、振ると音が鳴るのだ。

 下の方は片手で摑める大きさの雫形状で、ピンクの濃淡の縞模様でスッと伸びて70㎝くらい。
 先に一筆書きでタツノオトシゴみたいなアンクチャームトップが房飾りとともについてる。お祖母さんの話では、ト音記号と言って、音楽に関する力を込めた象形文字なんだって。

 アイテム名は、お祖母さんの命名なので、センスがどうとかは言わないでね。楽しそうでいいじゃない?

「ハッピーでもラッキーでもいいから、試してみてくれるかな?」

 そうでした。

「このバトンを振るには、古式ゆかしい伝統の姿勢があるそうです」












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