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冥界に一番近い山──楽園と地獄の釜
なな。『山頂は、異様な空気に包まれていた』──どうやらここが目的地で間違いないようです
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👻
山頂は、異様な空気に包まれていた。
加工からは硫黄の臭いがヒドい煙をはいているし、顔が火照る熱気が昇っている。
にもかかわらず、背筋はゾクゾクとして、早くここから離れたくなる。
と、言えば、ゆったり観察してるように思えるけど、実際は、みな激しく動き回っていた。
火口のすり鉢のそこから、死霊や屍喰鬼、焼け爛れた小動物の群れが押し寄せてくるのだ。
「ここが原因なのはいいけど、これ、どうしたらいいの?」
「生きた獣なら調伏を試みてもいいが、流石に死霊や動く死体になってるんじゃ、ムリだね。困ったね、自分の活躍の場がないよ」
アネッタさんは、キャロラインと同じように、ちょっと嬉しそうに、全方位型炎の矢を飛ばし、鳥や小動物の動く死体を燃やしている。
見た目はキャロラインの火の矢に似てるが、より強力で、標的を弾き飛ばし燃やし尽くしていた。
──たぶん、ストレス発散も兼ねてるんだろうな~
フィルタさんは、反りのある片刃刀に魔力を乗せて斬るので、物理攻撃の無効な、死霊や瘴気に侵されて暴走している精霊でも攻撃できるし、切り口が再生できなくなるみたいなので、正直一番の攻撃頭だった。
そして以外にも大活躍なのが、ギレウォッタさんである。空間拡張収納袋である腰のポーチから、衝撃で燃える小さな球を取り出して投げつける事で、屍喰鬼を燃やしてどんどん数を減らしている。
ラジエさんは、死霊や眠れぬ者が相手では、調伏しようにも対象に意思や感情がないので無理とのことだけど、先に突起がいっぱいついた金属製の鞭──分銅鎖に似てるけど、もっと滑らかに動くし、細くてメタリックシルバーに光る蛇みたいにも見える──で、標的の肉をどんどん削ぎ落としていた。……怖。
ターレンさんも、意思を汚染された精霊には手を出さず、形のない、元素の精霊を捕まえて、一時的に使役して精霊術を展開していた。主に火霊で燃やすか風霊で切り刻む。……怖。
意外にもキールさんが一番苦戦していた。
実体のない敵には、いくら精霊銀でも攻撃ができず、妖精族の使う補助魔法や初級回復魔法は使えても、攻撃魔法は苦手だとかで、悪霊系統には攻撃は入らず、屍喰鬼や黄泉帰りを少しづつ削っていくしかできない。
フィルタさんのように魔力を乗せて斬る事ができれば違ったのだろうけど、得手不得手ってあるよね。
どんなに頑張ってもとめどなく襲ってくるので、みんなだんだん疲弊していっていた。
山頂は、異様な空気に包まれていた。
加工からは硫黄の臭いがヒドい煙をはいているし、顔が火照る熱気が昇っている。
にもかかわらず、背筋はゾクゾクとして、早くここから離れたくなる。
と、言えば、ゆったり観察してるように思えるけど、実際は、みな激しく動き回っていた。
火口のすり鉢のそこから、死霊や屍喰鬼、焼け爛れた小動物の群れが押し寄せてくるのだ。
「ここが原因なのはいいけど、これ、どうしたらいいの?」
「生きた獣なら調伏を試みてもいいが、流石に死霊や動く死体になってるんじゃ、ムリだね。困ったね、自分の活躍の場がないよ」
アネッタさんは、キャロラインと同じように、ちょっと嬉しそうに、全方位型炎の矢を飛ばし、鳥や小動物の動く死体を燃やしている。
見た目はキャロラインの火の矢に似てるが、より強力で、標的を弾き飛ばし燃やし尽くしていた。
──たぶん、ストレス発散も兼ねてるんだろうな~
フィルタさんは、反りのある片刃刀に魔力を乗せて斬るので、物理攻撃の無効な、死霊や瘴気に侵されて暴走している精霊でも攻撃できるし、切り口が再生できなくなるみたいなので、正直一番の攻撃頭だった。
そして以外にも大活躍なのが、ギレウォッタさんである。空間拡張収納袋である腰のポーチから、衝撃で燃える小さな球を取り出して投げつける事で、屍喰鬼を燃やしてどんどん数を減らしている。
ラジエさんは、死霊や眠れぬ者が相手では、調伏しようにも対象に意思や感情がないので無理とのことだけど、先に突起がいっぱいついた金属製の鞭──分銅鎖に似てるけど、もっと滑らかに動くし、細くてメタリックシルバーに光る蛇みたいにも見える──で、標的の肉をどんどん削ぎ落としていた。……怖。
ターレンさんも、意思を汚染された精霊には手を出さず、形のない、元素の精霊を捕まえて、一時的に使役して精霊術を展開していた。主に火霊で燃やすか風霊で切り刻む。……怖。
意外にもキールさんが一番苦戦していた。
実体のない敵には、いくら精霊銀でも攻撃ができず、妖精族の使う補助魔法や初級回復魔法は使えても、攻撃魔法は苦手だとかで、悪霊系統には攻撃は入らず、屍喰鬼や黄泉帰りを少しづつ削っていくしかできない。
フィルタさんのように魔力を乗せて斬る事ができれば違ったのだろうけど、得手不得手ってあるよね。
どんなに頑張ってもとめどなく襲ってくるので、みんなだんだん疲弊していっていた。
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