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コハク、遊び人Lv1 初めての大きな依頼に緊張シマス
ろく。『その妖精たちは、どこで知り合ったの?』──野営中に、みんな気になってたのか、スニャイムが注目を浴びている
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🏕️
「その妖精たちは、どこで知り合ったの?」
ギレウォッタさんの解体したボアを調理して野営中に、みんな気になってたのか、私の頭の上のチルちゃんが注目を浴びている。
チットちゃんの認識阻害魔法に併せて、魔導師のアネッタさんが物理攻撃を弾く結界をキャンプ地を囲むように展開し、その外周りにターレンさんの精霊が、近寄る生き物を眠らせるミストを張り巡らせて、二重の結界を作っていた。
アレフ達とはレベルが違うなぁ。
「宵風の森のダンジョンの第一下層に、スライム溜まりな場所があって、もうだめ~ってヤケクソ気味に『妖精王の杖』を振ったら、召喚出来たんです」
「『妖精王の杖』?」
「名前は大層なんですけど、どうも、妖精族限定で召喚魔法の手助けをする杖みたいですね」
イチゴから取り出して、軽く振るようにみんなに見せると、
「本物の、妖精王の杖!?」
キールさんが驚きの声を上げる。そんなタイプに見えなかったけど。
「私は、おもちゃだと思ってて、7年近く、しまいっぱなしでした。このスニャイム達を喚び出すまで、忘れてたくらいで……」
私の説明は聞いてなかったみたいで、キールさんが、震える手で杖に手を伸ばし、でも触らずに引っ込める。
『癒しの夜光石の杖』を初めて見た時のクリスみたい。
「触ってみてもいいですよ?」
こんだけみんなが見てる前で、まさか、壊したり取り上げたりはしないだろうし、そんなに難しく考えなくてもいいだろうに、キールさんは首を何度も振った。
「かなり、強い妖精魔法がこめられているようだ。私には制御できない可能性もある。見せていただいただけでも感激だよ」
「ルーナ姫さまは、軽く振って小妖精を喚び出してましたよ?」
「姫は、一族でも一・二を争う強い魔力をお持ちの方だから」
「私なんか、魔力2なんですけど……」
「それは、消費魔力(MP)だろう? 強さと正確さを言う方の魔力だよ」
「私達人間は、その魔力はあまりないとされていて、鑑定してもわからないし、ギルドカードや能力値判定宝珠でも表示はされない。認識出来ないから確認も出来ないけど、妖精や魔族に比べて人間の魔力は、大人と子供の筋力の差以上にかけ離れていると聞いてるけれど?」
魔導師のアネッタさんが、魔族としてこの物質界で暮らす妖精族の森人の中で育った半妖精のキールさんに確認する。
「自分も、そうだと聞いている。現に、こうして森まで歩いて帰っている訳だけれど、一族のものなら誰でも、妖精しか通らない、この物質界と妖精界の狭間の空間を開いて、外敵に遭うこともなく、通常の半分以下の時間で戻れる。
そのための魔力は、自分には足りないのだが、一族のものなら子供でも息をするように簡単に行える。座標を固定したり空間の維持に使う制御力が続くかはともかくね」
妖精の通り道とか言うやつね。
「どんな景色か見てみたいなぁ」
気楽に、単純に見てみたかっただけなんだけど、やめたほうがいいと言われた。
「やめたほうがいい。子供の頃、一族の子供と一緒に通った事があるけれど、人間には向かない空間だ。呼吸も僅かにしか出来ないし、共同で通る他の妖精族は、人間に友好な種族とは限らないし、過去には、周りの妖気の強さに気がふれた者もいたと聞く」
「残念だわぁ」
ちっとも残念そうにない、と言うか、機会があれば通る気満々なアネッタさんがにこやかにキールさんにウインクした。
──あれは、本当に機会があれば、入る気だな……
おそらくその場にいたみんながそう思ったに違いなかった。
「その妖精たちは、どこで知り合ったの?」
ギレウォッタさんの解体したボアを調理して野営中に、みんな気になってたのか、私の頭の上のチルちゃんが注目を浴びている。
チットちゃんの認識阻害魔法に併せて、魔導師のアネッタさんが物理攻撃を弾く結界をキャンプ地を囲むように展開し、その外周りにターレンさんの精霊が、近寄る生き物を眠らせるミストを張り巡らせて、二重の結界を作っていた。
アレフ達とはレベルが違うなぁ。
「宵風の森のダンジョンの第一下層に、スライム溜まりな場所があって、もうだめ~ってヤケクソ気味に『妖精王の杖』を振ったら、召喚出来たんです」
「『妖精王の杖』?」
「名前は大層なんですけど、どうも、妖精族限定で召喚魔法の手助けをする杖みたいですね」
イチゴから取り出して、軽く振るようにみんなに見せると、
「本物の、妖精王の杖!?」
キールさんが驚きの声を上げる。そんなタイプに見えなかったけど。
「私は、おもちゃだと思ってて、7年近く、しまいっぱなしでした。このスニャイム達を喚び出すまで、忘れてたくらいで……」
私の説明は聞いてなかったみたいで、キールさんが、震える手で杖に手を伸ばし、でも触らずに引っ込める。
『癒しの夜光石の杖』を初めて見た時のクリスみたい。
「触ってみてもいいですよ?」
こんだけみんなが見てる前で、まさか、壊したり取り上げたりはしないだろうし、そんなに難しく考えなくてもいいだろうに、キールさんは首を何度も振った。
「かなり、強い妖精魔法がこめられているようだ。私には制御できない可能性もある。見せていただいただけでも感激だよ」
「ルーナ姫さまは、軽く振って小妖精を喚び出してましたよ?」
「姫は、一族でも一・二を争う強い魔力をお持ちの方だから」
「私なんか、魔力2なんですけど……」
「それは、消費魔力(MP)だろう? 強さと正確さを言う方の魔力だよ」
「私達人間は、その魔力はあまりないとされていて、鑑定してもわからないし、ギルドカードや能力値判定宝珠でも表示はされない。認識出来ないから確認も出来ないけど、妖精や魔族に比べて人間の魔力は、大人と子供の筋力の差以上にかけ離れていると聞いてるけれど?」
魔導師のアネッタさんが、魔族としてこの物質界で暮らす妖精族の森人の中で育った半妖精のキールさんに確認する。
「自分も、そうだと聞いている。現に、こうして森まで歩いて帰っている訳だけれど、一族のものなら誰でも、妖精しか通らない、この物質界と妖精界の狭間の空間を開いて、外敵に遭うこともなく、通常の半分以下の時間で戻れる。
そのための魔力は、自分には足りないのだが、一族のものなら子供でも息をするように簡単に行える。座標を固定したり空間の維持に使う制御力が続くかはともかくね」
妖精の通り道とか言うやつね。
「どんな景色か見てみたいなぁ」
気楽に、単純に見てみたかっただけなんだけど、やめたほうがいいと言われた。
「やめたほうがいい。子供の頃、一族の子供と一緒に通った事があるけれど、人間には向かない空間だ。呼吸も僅かにしか出来ないし、共同で通る他の妖精族は、人間に友好な種族とは限らないし、過去には、周りの妖気の強さに気がふれた者もいたと聞く」
「残念だわぁ」
ちっとも残念そうにない、と言うか、機会があれば通る気満々なアネッタさんがにこやかにキールさんにウインクした。
──あれは、本当に機会があれば、入る気だな……
おそらくその場にいたみんながそう思ったに違いなかった。
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