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勇者候補と言われるアレフだけど・・・?
じゅう。『靴底の形も間違いないよ、コハクの足跡が、この先に続いてる……』──分かれ道の真ん中を眇め見たアレフはコハクを探して不正解の道を進む
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👟
「靴底の形も間違いないよ、コハクの足跡が、この先に続いてる……」
アレフは、しばらくあちこちに踏み荒らされた足跡を見て、分かれ道の真ん中を眇め見た。
「この先、行き止まりだと思うけど、どこかに通じていたり、更に凶悪にダンジョンが広がってたら大変だな……」
クリスは、下の第二下層、第三下層の広さやその方角から、同じであれば、行き止まりだと予想していた。
「案外、行ってすぐに行き止まりで、引き返して来て、すでに外の森に出たのではないか?」
「森でも、帰りは多くの魔物が出るんだろうか?」
「まだ昼間よ? 宵風の森は、昼間は静寂な明るい森のはずよ?」
キャロラインも、置き去りにしたという事実に後味が悪いのだろう、自分の両肩を宥めるように撫で抱き、周りを見回しながら答える。
「とにかく、行き止まりで居ないのならそれでもいいから、一度確認してみよう。怪我をして、助けを待っているかもしれない」
アレフは自分に言い聞かせるように、真ん中の不正解の道を進みだした。
『癒しの夜光石の杖』を持っているコハクが、助けを求めるような怪我をしているのなら、重症か死んでいるのではないだろうか? クリスも気持ちはどんどん沈んでいく。
「コ……ハク?」
先を行くアレフが足を止め、小刻みに震え出す。
「え? コハクが居るの? こんな湿った、スライムが多くいる場所で?」
クリスの技能神聖領域Lv2のおかげで襲っては来ないものの、道の端の窪みや岩壁の隙間から滲み出して、捕食したそうに、ふるふるしているのが、薄暗くても見える。
神聖領域Lv2の効果に萎縮して眺めているだけだが、ちょっとしたきっかけで襲ってきそうなほど、集まって来た。
「ね、ねぇ、アレフ? こんな所にコハクは居ないわよ。神聖領域も守護結界もないコハクが、いられるはずないって。戻りましょう?」
そう、キャロラインが提案した時、小刻みに震えていたアレフが、狭い通路に響き渡る悲鳴を上げた。
「コハクが! コハクがぁ!! 僕のせいで、コハクがっ スライムに!?」
「靴底の形も間違いないよ、コハクの足跡が、この先に続いてる……」
アレフは、しばらくあちこちに踏み荒らされた足跡を見て、分かれ道の真ん中を眇め見た。
「この先、行き止まりだと思うけど、どこかに通じていたり、更に凶悪にダンジョンが広がってたら大変だな……」
クリスは、下の第二下層、第三下層の広さやその方角から、同じであれば、行き止まりだと予想していた。
「案外、行ってすぐに行き止まりで、引き返して来て、すでに外の森に出たのではないか?」
「森でも、帰りは多くの魔物が出るんだろうか?」
「まだ昼間よ? 宵風の森は、昼間は静寂な明るい森のはずよ?」
キャロラインも、置き去りにしたという事実に後味が悪いのだろう、自分の両肩を宥めるように撫で抱き、周りを見回しながら答える。
「とにかく、行き止まりで居ないのならそれでもいいから、一度確認してみよう。怪我をして、助けを待っているかもしれない」
アレフは自分に言い聞かせるように、真ん中の不正解の道を進みだした。
『癒しの夜光石の杖』を持っているコハクが、助けを求めるような怪我をしているのなら、重症か死んでいるのではないだろうか? クリスも気持ちはどんどん沈んでいく。
「コ……ハク?」
先を行くアレフが足を止め、小刻みに震え出す。
「え? コハクが居るの? こんな湿った、スライムが多くいる場所で?」
クリスの技能神聖領域Lv2のおかげで襲っては来ないものの、道の端の窪みや岩壁の隙間から滲み出して、捕食したそうに、ふるふるしているのが、薄暗くても見える。
神聖領域Lv2の効果に萎縮して眺めているだけだが、ちょっとしたきっかけで襲ってきそうなほど、集まって来た。
「ね、ねぇ、アレフ? こんな所にコハクは居ないわよ。神聖領域も守護結界もないコハクが、いられるはずないって。戻りましょう?」
そう、キャロラインが提案した時、小刻みに震えていたアレフが、狭い通路に響き渡る悲鳴を上げた。
「コハクが! コハクがぁ!! 僕のせいで、コハクがっ スライムに!?」
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