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琥珀・もうすぐ14歳・♀・遊び人Lv.1!
じゅうはち。『男性は、少しづつ思い瞼を開ける。女性の頰に手を添え・・・』──美男美女でため息の出るシーンだけど、ここはギルドの営業窓口だから
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🙊
男性は、唸りながら少しづつ重い瞼を開ける。
「ここは……たどり着いたのか?」
ちゃんと私達にもわかる公用語だった。
ギルド営業所の中を見回しながら上半身を起こそうとして、苦しげに、うめいて、身を捩って横たわり直す。
「キール」
女性が、はらはらとして男性の様子を覗いつつも、手を出せずにいる。
泣いている女性の頰を伝う涙を、痛みにか震える指で掬い、そのまま手のひらを添える男性。
大怪我をしていた男性も森人の女性も、美男美女で、ため息の出る光景なんだけど、ここ、ギルドの営業窓口だから。
「ちょっといいかな? 君は、公用語を話せるんだね?」
「あ……はい。すみません、ご迷惑を……」
「なんで、血だらけでウチのギルドに飛び込んできたのか、訊かせてくれるかな?」
「あなたは?」
泣き濡れた顔を騎士?護衛剣士?の肩に寄せてギルマスの顔をみる女性の肩を抱いたまま、お兄さんも確認してくる。
「俺ぁ、この冒険者協会──クリステルパルスシティ支部の協会長だ」
❊❊❊❊❊❊❊
遮音壁で囲まれた談話室ではなく、カウンター横から別室に移動してもらった。
壁自体がすべて、遮音魔法と外部からの干渉を反射する結界魔法に守られている部屋で、特殊な事情や条件のある依頼の相談などに使われる。
入ったのは三度。
一度目は、初めて来て登録をした時。能力値と持ち物が特殊だと言うので、ギルマスとの面談のため。
二度目は、アレフ達と偶発的に解決した事件の、被害者からの謝礼と事実確認のため。あのときは、パーティ全員で入った。
そして、先日、アレフ達のパーティから離脱したので報告に来て、ギルマスとお話をするため。
特別室なんて呼ばれる部屋に、短い冒険者生活の二年間で、四回も入ることになるとは。
「……ていうか、なんで私まで?」
「その頭のスニャイムに、彼女に通訳してもらうためだ」
一人がけのソファに、ドカッと座っているギルマスが宣う。
「その男性……キールさん? 共用語出来るんですよね?」
「だが、同じ妖精族という事で信用してるのか、ずいぶんと懐いてるじゃねぇか。彼女が」
そう。三人がけソファの両端に座るキールさんと、森人の美女。
その美女の膝には、チットちゃんがプルプルしている。
チットちゃんの意志ではない。彼女が、部屋に入るなりチットちゃんを抱き上げて、以来、膝の上で、所在なげにプルプルしているのだ。
男性は、唸りながら少しづつ重い瞼を開ける。
「ここは……たどり着いたのか?」
ちゃんと私達にもわかる公用語だった。
ギルド営業所の中を見回しながら上半身を起こそうとして、苦しげに、うめいて、身を捩って横たわり直す。
「キール」
女性が、はらはらとして男性の様子を覗いつつも、手を出せずにいる。
泣いている女性の頰を伝う涙を、痛みにか震える指で掬い、そのまま手のひらを添える男性。
大怪我をしていた男性も森人の女性も、美男美女で、ため息の出る光景なんだけど、ここ、ギルドの営業窓口だから。
「ちょっといいかな? 君は、公用語を話せるんだね?」
「あ……はい。すみません、ご迷惑を……」
「なんで、血だらけでウチのギルドに飛び込んできたのか、訊かせてくれるかな?」
「あなたは?」
泣き濡れた顔を騎士?護衛剣士?の肩に寄せてギルマスの顔をみる女性の肩を抱いたまま、お兄さんも確認してくる。
「俺ぁ、この冒険者協会──クリステルパルスシティ支部の協会長だ」
❊❊❊❊❊❊❊
遮音壁で囲まれた談話室ではなく、カウンター横から別室に移動してもらった。
壁自体がすべて、遮音魔法と外部からの干渉を反射する結界魔法に守られている部屋で、特殊な事情や条件のある依頼の相談などに使われる。
入ったのは三度。
一度目は、初めて来て登録をした時。能力値と持ち物が特殊だと言うので、ギルマスとの面談のため。
二度目は、アレフ達と偶発的に解決した事件の、被害者からの謝礼と事実確認のため。あのときは、パーティ全員で入った。
そして、先日、アレフ達のパーティから離脱したので報告に来て、ギルマスとお話をするため。
特別室なんて呼ばれる部屋に、短い冒険者生活の二年間で、四回も入ることになるとは。
「……ていうか、なんで私まで?」
「その頭のスニャイムに、彼女に通訳してもらうためだ」
一人がけのソファに、ドカッと座っているギルマスが宣う。
「その男性……キールさん? 共用語出来るんですよね?」
「だが、同じ妖精族という事で信用してるのか、ずいぶんと懐いてるじゃねぇか。彼女が」
そう。三人がけソファの両端に座るキールさんと、森人の美女。
その美女の膝には、チットちゃんがプルプルしている。
チットちゃんの意志ではない。彼女が、部屋に入るなりチットちゃんを抱き上げて、以来、膝の上で、所在なげにプルプルしているのだ。
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