46 / 276
琥珀・もうすぐ14歳・♀・遊び人Lv.1!
じゅうひち。『手首をくるくる回して返しながら、癒やしの杖を回転させると、じわじわと光り出す』──おばあさんの魔法の杖で、治療するよ!
しおりを挟む
🗽
手首をくるくる回して返しながら、『癒しの夜光石の杖』を回転させると、じわじわと杖の先の夜光石珠が淡く青白く光り出し、次第に緑味を帯びてくる。
そろそろかな~って頃合いで、しゃがみこんで、
「えいっ」
男性の額にコツンと当てる。
「ええっ!?」
ギャラリーがどよめく。私の「えいっ」ってかけ声が、力いっぱいぶつけてるように感じるのだろう。失礼な。怪我人にそんな事する訳ないじゃない。
「いや、そのかけ声は必要なのか?」
「よく効いてください、狙いを外さないように、って、気合です!」
なんだか、微妙な空気が流れた。納得いかぬ。
「かけ声はアレだけど、結構効いてる?」
顔にいっぱいあった引っかき傷や切り傷は全部消えてた。
でも、肩や胸に向かっての深い傷は、血が止まった程度に過ぎない。
「もう一度、やってみますね」
くるくる~。早く良くなぁれ、○○さん!(名前知らない)
「その踊りも必要なのか?」
「気持ちを込めるんです! 早く良くなぁれって」
くるくる~
「魔法の杖なんだから、振るだけでいいんじゃないのかね」
ギルマスの呟きは無視! 今は、このお兄さんの怪我が優先ですよ!
レベルアップしたクリスの使える上級回復や、神殿の上級治療士には及ばない、軟膏塗ったり薬草すり込むよりはいいよね、魔法ってすごい、程度の効果しかない。
何度も何度も、くるくる回って、振り回して、傷口に当てないギリギリにかざす、を繰り返す。
ちょっと汗が出てきた頃、お兄さんが目をギュッとさせて、鼻先でうなりだした。
「おお!」
また、背後でどよめきが起こる。
回りすぎて、目がまわるよ。ふらふらとよろけると、引退したはずなのに筋肉もりもりの腕で、ギルマスに支えられる。着痩せする方なんだね。
「お疲れさん。よく頑張ったな」
ニッと微笑まれる。
「お兄さんは、もう大丈夫そうですか?」
「そうだな。傷は表ては塞がったようだ。中の方の組織まで治ってるかは俺にはわからんが、意識が戻りそうだから、後は専門家に任せて、一旦様子を見ても大丈夫だろう」
ふぃ~
額に滲んだ汗を拭い、アミナさんが持ってきてくれたハーブ水を一気に飲む。そのまま待合用のベンチに座って、休ませてもらう。
「いつも、みんなが怪我した時は、ああやってたの?」
「そうだよ。アレフやクリスは喜んでくれるし、エドガーもブスッと横向くけど、ちゃんと治療受けてたよ」
「おかげで、新しい【舞踏】って技能ゲットしたし、初級回復魔法程度だけど、みんなが喜んでくれるから、頑張って何回も振ったの」
クリスが中級回復魔法や状態回復魔法の治療を使えるようになると、あんまり活躍しなくなったけど。
それでも、クリスのMP(魔法精神力)の温存のため、まだクエスト中で、軽症だけど後々のために治しておく時とかに頑張ったもん。
手首をくるくる回して返しながら、『癒しの夜光石の杖』を回転させると、じわじわと杖の先の夜光石珠が淡く青白く光り出し、次第に緑味を帯びてくる。
そろそろかな~って頃合いで、しゃがみこんで、
「えいっ」
男性の額にコツンと当てる。
「ええっ!?」
ギャラリーがどよめく。私の「えいっ」ってかけ声が、力いっぱいぶつけてるように感じるのだろう。失礼な。怪我人にそんな事する訳ないじゃない。
「いや、そのかけ声は必要なのか?」
「よく効いてください、狙いを外さないように、って、気合です!」
なんだか、微妙な空気が流れた。納得いかぬ。
「かけ声はアレだけど、結構効いてる?」
顔にいっぱいあった引っかき傷や切り傷は全部消えてた。
でも、肩や胸に向かっての深い傷は、血が止まった程度に過ぎない。
「もう一度、やってみますね」
くるくる~。早く良くなぁれ、○○さん!(名前知らない)
「その踊りも必要なのか?」
「気持ちを込めるんです! 早く良くなぁれって」
くるくる~
「魔法の杖なんだから、振るだけでいいんじゃないのかね」
ギルマスの呟きは無視! 今は、このお兄さんの怪我が優先ですよ!
レベルアップしたクリスの使える上級回復や、神殿の上級治療士には及ばない、軟膏塗ったり薬草すり込むよりはいいよね、魔法ってすごい、程度の効果しかない。
何度も何度も、くるくる回って、振り回して、傷口に当てないギリギリにかざす、を繰り返す。
ちょっと汗が出てきた頃、お兄さんが目をギュッとさせて、鼻先でうなりだした。
「おお!」
また、背後でどよめきが起こる。
回りすぎて、目がまわるよ。ふらふらとよろけると、引退したはずなのに筋肉もりもりの腕で、ギルマスに支えられる。着痩せする方なんだね。
「お疲れさん。よく頑張ったな」
ニッと微笑まれる。
「お兄さんは、もう大丈夫そうですか?」
「そうだな。傷は表ては塞がったようだ。中の方の組織まで治ってるかは俺にはわからんが、意識が戻りそうだから、後は専門家に任せて、一旦様子を見ても大丈夫だろう」
ふぃ~
額に滲んだ汗を拭い、アミナさんが持ってきてくれたハーブ水を一気に飲む。そのまま待合用のベンチに座って、休ませてもらう。
「いつも、みんなが怪我した時は、ああやってたの?」
「そうだよ。アレフやクリスは喜んでくれるし、エドガーもブスッと横向くけど、ちゃんと治療受けてたよ」
「おかげで、新しい【舞踏】って技能ゲットしたし、初級回復魔法程度だけど、みんなが喜んでくれるから、頑張って何回も振ったの」
クリスが中級回復魔法や状態回復魔法の治療を使えるようになると、あんまり活躍しなくなったけど。
それでも、クリスのMP(魔法精神力)の温存のため、まだクエスト中で、軽症だけど後々のために治しておく時とかに頑張ったもん。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
156
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる