31 / 276
琥珀・もうすぐ14歳・♀・遊び人Lv.1!
にぃ。『本当は、あの日アレフに誘われなかったら、私はこうして一人で初級クエストを受けていたはずなのだ』──2年経ってるけど、初心から始めよう
しおりを挟む本当は、あの日、アレフに誘われなかったら、私はこうして一人で初級の依頼を受けていたはずなのだ。
「初心に戻るってやつよね!」
──2年経ってしまったけど、それでも無駄な二年じゃなかった。
お料理技能だってLv2になったし。
一人では絶対に行けないような怖いダンジョンで、たくさん宝箱を鑑定して、いくつかの魔導具をゲット出来たし。こればかりは、一人では絶対無理。
それに、アレフ達とでなければ、踏破出来てなかっただろうし、宝箱から出て来た魔導具も、他のメンバーと分配して売られたり、手元に残せたのはもっと少なかったに違いない。
アレフ達は、まだ宵風の森のダンジョンの中だろう。どの辺まで進んだかな。
朝早く出て、ダンジョンに潜って早いうちに戦闘になって、そこで別れたから、まだ太陽は高い位置にある。
フィリシールをカゴいっぱいくらい、普通の人なら探すのは大変だろうけど、私は技能『薬草学』のおかげで、よく間違われるフィロシラと取り違えたりしないし、こうしてなにげに草地を見ても、あ、ある! ってすぐに目にとまる。
ふふふ。もう、10株の束が出来るくらい見つかったわ。
やはりすれ違う人の中には、私の頭の上のチルちゃんを見てギョッとするようだけど、誰も突っ込んでこない。
本当にみんなの思うスライムだったとしても、私が魔物遣いで、この子達は使役してるブロブだと思ってるのだろう。
私が持つ【薬草学】の技能を、チルちゃんやチットちゃんと心の一部を同調して共有する事で、草地を跳ねながら進むチットちゃんも見つけられるし、私も見つけるし、私の頭の上のチルちゃんは、更に【探索】を使って正確に見つけるのだ。
採集系のクエストのルールとして、根こそぎ集めるのはタブー。
根を残したり、複数生えている中から数株だけ取る。全滅させたら、次から困るし、何よりこの一帯の生態系を壊しかねない。
それでも順調に見つかる。
凄いね。街道から何mも離れてない位置なのに、こんなに見つかるなんて。
他の人達は、フィリシールが生えてるって気づかないのかな? フィロシラだと思ってるのかな?
ちょっと疲れたね、おやつにしようか。……なんて言う間もなく、サクサク仕事は捗り、あっという間にカゴいっぱい盛りもり零れそうなほど集る。
押し付けてギュウギュウに詰めると、せっかくの虹色の花や効能のある葉が傷むし、ふわっと入れるだけなので、依頼主の意図と違ったら困るので、予備のカゴにも摘み集めておく。
「ふふふ。チットちゃん、チルちゃんのおかげで、今日中に終わったね」
ふたりも嬉しそうに揺れている。
暗くならないうちに、街に帰れたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
156
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる