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暗いダンジョンの中で捨てられました──捨てる勇者あれば拾う妖精あり?

にじゅうはち。『戦闘職や魔術師が派手に目立つが、サポーターも大切な役割だ』──ギルマスの勧めで、サポーターから始めます

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「戦闘職や魔術師が派手に目立つのは仕方ないが、サポーターも大切な役割だよ、コハク」

 もちろん、仕事に貴賤は無いと思う。どんなお仕事だって、それがなければ困る人はいるのだ。

 おばあさんのいちごのポーチを肩から提げられるようにして、満杯量がまだ判らないまま(ギルマスは無限収納と呼んでいるけど)、空間拡張収納袋として登録した。ギルマスの勧めである。
 識別魔法をつけて、私専用の持ち物として登録したのだ。

「もし、不慮の事故で手から離れて、拾った人が使おうとしたら、君のものだと主張できる。遺失・盗難届も全ギルドに通達できるから、覚えておくように」

 荷物係ポーター冒険補助サポーターとして登録してもらった。

「後は、受付のそばの掲示板から、仲間の募集をかけたり応募したり、自分に出来そうな依頼を見つけたりすればいい」

 ギルマスに礼を述べて、応接室から出る。

「本当に、人を疑わないんですね」

 受付のお姉さんが笑いかけてきた。

「え?」
「だって、殺してでも欲しがる人がいるって聞いたそばから、識別魔法を施すからと言われて預けるなんて。偽物とすり替えられたりするとは思わなかったの?」
「すり替えるんですか?」
「いや、そう疑わないのかな~って」

 少し考えたあと、自分の中のベストの答えを返す。

「この支部のギルマスと、おねえさん──アミナさん?以外の人には預けませんよ。大事なおばあさんの形見ですから」
「そう。信用してくれてありがとう。ついでにひとつ忠告。ここの会員たちや、なんならマスター以外の職員も、あまり信じ過ぎないほうがいいと思うわ」
「……ありがとうございます。あまりむやみに人を疑いたくないので、甘えたり馴れ合ったりしないように、礼節を外さない程度に、一定距離を置いてお付き合いしますね」

 最初のうちは。

 モノクルはポーチにしまい、短杖ロッドを握って、掲示板を確認しに行く。

 まずは、ソロで、薬草集めくらいから始めよう。まわりの様子もよく見て、信頼できそうな、素敵な、私の仲間を見つけよう。

 そう思って、屈強そうな戦士や賢そうな魔術士、腰を落として落ち着かない感じの斥候職の人なんかに混じって、掲示版を見る。

 文字が、綺麗で読みやすいのや、なんて書いてあるのか判らないような、急いで書いたような文字のもあって、とりあえず、初歩的な依頼は、低い位置にあることがわかる。

 小遣い稼ぎに、雑用やお使いをする子供なんかもいるからだろう。

 薬草採取の依頼は、あまりお駄賃が高くなかった。町の外の草原や林で見つかりそうな、ありふれたハーブや薬効草だからだろう。

 ため息をついて、これだけじゃ、食べていけないなぁと思っていると、キリッとして礼儀正しく(まわりの冒険者とは雰囲気が違いすぎた)、いかにも上位貴族の子息とわかるアレフが、声をかけてきたのである。






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